東京新聞の望月衣塑子記者が、新たな「個人事業」をスタートさせた。自分の名を冠したYouTubeチャンネルを本格始動させると共に、自身をキャラクター化した「イラスト入りグッズ」の販売まで始めたのだ。副業が当たり前の時代になったが、ジャーナリストがこのような“ファンビジネス”を展開するのは異例のことである。もっとも社内では大ブーイングが起きているようで…。 *** 【写真】ピンク色の髪の毛がかわいらしい「望月衣塑子グッズ」一覧。Tシャツは税込3971円プラスその他費用、マグカップは2904円(同)。望月氏の個人チャンネルで購入可能だ 盟友だった「アークタイムズ」の尾形聡彦氏とは決別? 「どうやら望月記者は最近アークタイムズと何かあったようなのです」 望月衣塑子記者 こう語るのは東京新聞の中堅記者だ。アークタイムズとは、望月氏の盟友として知られる尾形聡彦氏が運営するYouTubeチャンネル。2022年に同チャンネルが立ち上げられて以降、望月氏は番組の看板キャスターとして出演を重ね、記者会見場でも2人が並んで質問する場面が度々見られてきた。 だが、最近2人は行動を共にしていないというのである。確かに先月、山尾志桜里氏が開いた記者会見に2人は出席していたが離れて座っていた。 ただしYouTuberを卒業して本業の新聞記者に専念しているわけではないという。 「社内でもあまり知られていなかったのですが、彼女は元々個人でもYouTubeチャンネルを立ち上げており、最近はそっちの方での発信に力を入れています」(同) 新たな相棒はパペットの「オッカ君」 そのチャンネル名は「望月いそことオッカ君チャンネル」。概要欄を見てみると、開設は20年3月となっているが、本格的に動き出したのは今年に入ってからのようだ。週に数本のペースで配信し、これまでの配信総数は351本(7月15日現在)、登録者数は2万1400人(同)に達している。視聴回数も着々と伸びており、元フジテレビアナウンサー・阿部知代氏のイタンビュー動画は2万回以上再生。収益化はクリアしているとみられる。 このチャンネルを精査すると、尾形氏との決裂を想起させるくだりも出てくるのである。 「4カ月くらい前を境に自己紹介の仕方が、『東京新聞記者でアークタイムズキャスターの望月衣塑子』から『東京新聞の望月衣塑子』に変わっています」(同) 代わりに新たな“相棒”として登場するのが、チャンネル名にもある“オッカ君”である。その正体は望月氏が操るオオカミのパペットだ。 「裏声を出しながら『僕はオッカ君でーす』などとやっていますよ…」(同) 個人口座への寄付まで募集 これだけでは望月氏が一風変わった表現活動を始めたというだけで、いまさら騒ぐ話ではないだろう。社内で問題視されているのは、望月氏がこの新規事業に伴い始めた「グッズ販売」と「寄付の募集」だ。 チャンネルのストア欄では、望月氏とオッカ君のイラストが入ったTシャツ、タオル、キーホルダー、マグカップ、ハットなどが売られている。宣伝文には〈お洒落なオッカ君グッズで、日常に笑顔をプラスしましょう〉。Tシャツは税込3971円、マグカップは2904円(同)。なかなか強気の値段設定である。 説明文によると、これらは〈チャリティグッズ〉とのこと。〈商品1点あたり、1千円の利益(トリブン)を設定しています。いただいたトリブンは寄付と同様、全額を活動・運営費に充てさせていただきます〉としている。 寄付は〈現状まだ赤字ですので、機材・撮影経費、謝礼に充てさせていただきます〉という名目で募っており、寄付先として指定されているのは望月氏の個人口座だ。 社内から噴出する批判 こうしたやり方に、社内からは「えげつない」といった批判が噴出しているのである。 「芸能人になったつもりなのでしょうか。チャリティという言葉を安易に使っていますが、どう見たってファンビジネスでしょう。誰がこんなグッズを買うのかと疑う人が多いと思いますが、彼女には熱烈なファンも多いので購入する人も少なからずいると思います。今は赤字だとか言っていますが、どうせ黒字化したらすべて儲けをポケットに入れるんでしょう」(中堅記者) 別の記者は「ジャーナリストが安易に寄付を募っていいものなのか」と呆れる。 「彼女は東京新聞記者として1000万円以上の収入を得ていますし、これまで講演や本の印税などそれなりの副収入を得てきたはず。新規ビジネスを立ち上げるにあたり初期投資がかかるのは当たり前の話。どれだけ身銭を切ってから寄付を募っているのか怪しいものです」(ベテラン記者) そして、同僚たちが口を揃えて言うのは「そもそもあなたは会社の業務をちゃんとやっているんですか」という文句だ。 ある若手記者は、望月氏が記者クラブ内でYouTube活動に勤しんでいた“疑惑”を明かす。 望月氏は8月からデジタル報道部へ異動になったが、長らく社会部に所属してきた。社会部記者には月1回くらいのペースで、突発的な事件発生に備え、警視庁クラブに泊まって待機する業務があるのだが、 「昨年、他社の記者がウチのブースを通りがかった時、番組に出演中の望月記者の喋り声を聞いたというのです。泊まり勤務は一人でやるものなので、他社から指摘が入るまでクラブ員は全く知らなくて驚愕したとのことです。夕刊デスクをやっている最中も、YouTube収録がある日はいつも気がそぞろだと聞いています」(若手記者) ベテラン記者は「すべてにおいてサラリーマンとしてあり得ない」と断じる。 「彼女は東京新聞の記者として取材して得た成果を個人の仕事に利用し続けています。平日も堂々と配信活動をしていますが、そもそも副業は土日にこそこそやるものでしょう。その上、『東京新聞記者』の肩書を利用しながらグッズ販売までして個人で儲けようとしているのですから、呆れてモノが言えません」(同) 会社は本当にこうした“やりたい放題”な副業を認めているのだろうか。質問状を送ったところ、 〈記者の個人的な活動については回答を控えさせていただきます〉(東京新聞編集局) との回答だった。 望月記者にも、アークタイムズに出なくなった理由、グッズ販売や寄付を募っている理由、警視庁クラブ内での副業疑惑、社内からの批判についてどう受け止めているか、の計4点を会社を通して尋ねたが、 〈回答は控えさせていただきます〉 とのことだった。 ベテラン記者はこう続ける。 「会社も悪いんです。『新聞記者』がネットフリックスなどで映像化されて以降、特別扱いを続けたからここまで増長させてしまった。望月も好きなことをやりたいなら、とっととフリーになればいい。会社から給料をしっかりもらっておきながら、寄付を募るなんて甘ったれるなと言いたいです」 デイリー新潮編集部