元金沢市長の山出保さんが１４日に肺炎のため亡くなっていたことが１５日、関係者への取材でわかった。 ９３歳だった。市は後日お別れの会を開く方向で検討している。 山出さんは金沢市出身。金沢大卒業後、１９５４年に金沢市役所に入庁し、財務部長や助役などを経て、９０年の市長選で初当選した。「小さくとも世界の中で独特の輝きを放つ都市」を目指して「山出流」のまちづくりを進めた。 ５期２０年の市長在任中は北陸新幹線開業を見据え、米国旅行雑誌の「世界で最も美しい駅」にも選ばれた「もてなしドーム」と、鼓門からなる金沢駅の完成に尽力した。２０２３年の講演会では「日本の駅は画一化して金太郎飴（あめ）的だ。そういうまちづくりに対するレジスタンスがあった」と振り返っていた。 景観保護や文化施策にも力を入れ、とりわけ金沢２１世紀美術館の開設には思い入れがあったという。藩政期の風情が残る街並みに現代美術館を建てることは挑戦的な取り組みで、「当時は批判を受けたが、伝統工芸品を展示する県立美術館と役割分担することで、にぎわいにつながった」と語っていた。 ◇ 山出さんの死去を受け、村山卓市長は取材に対し「まちづくりの基本的な考え方について、ご指導をいただいた」と述べた。都市政策だけでなく、０６年に中核市として初めて児童相談所を設置したことも踏まえ、「長期的な視野を持ち、ハードからソフトまで行き届いた市政運営を実現した。こんな市長は、ほかにいない」と惜しんだ。
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