「枝豆」と「ビール」はなぜうまい!?科学が暴き出す「最強コンビ」の「必然」!

ビールが美味しい季節がやってきました! コクやキレ、さらには喉ごしの爽快さまでもが求められる。「勘と経験」に「最新の科学技術」を融合して日本のビール造りは世界に類を見ないほどの発展を遂げ、発泡酒や新ジャンルの開発へと進化を続けている。生きた酵母を使いこなすビール造りの真髄からビールがおいしくなる注ぎ方や世界各国の名ビールまで、知ればもっとビールが飲みたくなる話を多角的に解説! ビールのおいしさのすべてがわかる! 7000年ものあいだ人類に愛されてきたビールは、最先端の科学を駆使して、 今も日々進化を続けている。その製造工程から家庭でおいしく飲むコツまで紹介! ※本記事は『カラー版 ビールの科学』(2018年刊行)を一部再編集の上、お送りいたします。 日本のビールの特徴 ビールの種類は世界各国さまざまで、その国ごとに自慢のビールがあります。日本でも、明治以降のビール文化の到来とともに、日本人の嗜好に合ったビールが開発・製造され、これと歩調を合わせるように、ビールのつまみとなる料理や、ビールと食事の相性などが永年研究されてきました。 ここではおもに、ピルスナータイプの下面発酵淡色ビールを取り上げます。地ビールやクラフトビールも含め、多種多様なものが製造されている現在でもなお、日常的に最も多く飲まれているビールの代表的存在だからです。 ビール文化の本格的な導入から150年ほどしか経っていないにもかかわらず、日本のビールは世界に冠たる品質を誇っています。その特徴は、「おだやかで、突出した特徴ではなくバランス重視の、ふくよかな麦芽の旨味と爽やかな後味の、新鮮感・軽快感・爽快感あふれる、繊細な香味のビール」と表現できるでしょう。 日本人は古来から感性豊かで、四季折々の風情や旬の味覚、「だし文化」に見られる繊細で絶妙な味のバランス、個々の地域それぞれがもつ汲めども尽きない奥深い食文化、そのような食に対する日本人の感覚にマッチするかたちでビール文化も磨かれ、進化してきたと考えられます。 日本のビアホールでの定番おつまみは? 少し古い調査結果ですが、ビジネスマン向けの雑誌に以前、「ビヤホールのつまみベストテン」という特集が掲載されたことがあります(『日経ビジネス』1997年7月14日号)。ランキングの第1位は「枝豆」でした。 ビアホールでは「とりあえず枝豆」という人も多いのでしょうが、ビールと枝豆の塩味の相性がぴったりであることが大きな要因と考えられます。特に、梅雨明けや夏の疲れがたまる時期にビアホールで味わう旬の枝豆と、爽快感あふれる冷たい生ビールによるリフレッシュ感は最高といっても過言ではありません。 血液などの体液中はカリウムに比べてナトリウムが多いのに対し、ビールではその反対になっています。生理学的には、カリウムが多いビールを飲むとやがて尿となってカリウムを排出しますが、その際にナトリウムも排出してしまうので、体内は一時的にナトリウム不足になります。その結果、体がナトリウムを欲することになるのです。すなわち、ビールを飲むと枝豆などの塩分が多いものを食べたくなるのは理にかなっています。 ランキングの結果に戻ると、第2位はシーフード刺身サラダ、第3位はフライドポテト、第4位はソーセージの盛り合わせ、第5位はミックスピザ、第6位はステーキ焼きそば、第7位はローストビーフ、第8位は生ハム、第9位は自家製枡とうふ、第10位はトマトとアスパラサラダとなっていました。ランキング外ではありますが、鶏の唐揚げはコンスタントに人気が高かったようです。 2008年・2017年の調査結果 その約10年後に行われた調査(2008年8月「ビヤホールライオン銀座七丁目店」調べ)では、人気の酒肴は、第1位がポテトとソーセージのガーリック炒め、第2位はコンビネーションサラダ、第3位はソーセージ盛り合わせ、第4位は枝豆、第5位はローストビーフ、第6位はチキンの唐揚げ、第7位はビヤホールウインナー、第8位はピッツァマルゲリータ、第9位は海鮮ソース焼きそば、第10位はロングガーリックトーストとなっています 2017年の調査(8月「ビヤホールライオン銀座七丁目店」調べ)でも、トップテンはほぼ変わっていません。枝豆やソーセージ、チキンの唐揚げは、相変わらず人気が高いようです。 以上を見ると、塩味の効いた料理がほとんどであることがわかります。塩味だけでなく、脂肪や油系の料理に対してもビールは相性がよいといわれますが、ビールの爽快感、すっきり感が口中をリフレッシュさせ、脂分のしつこさを洗い流すことがその理由として考えられます。 コク・キレセンサーを用いた最近の研究では、ホップの成分には食べ物の脂分を口中から洗い流す効果があることが科学的に示されました。昔に比べて現代の日本人の食事は脂分が多くなってきていますので、ビールとの相性はますます高まっているといえます。 また、味のおだやかな従来の和食メニューにも、日本のビールは相性がよいと思われます。繊細な舌をもつ日本人の感覚がビール造りにおいても発揮され、洗練されたおだやかな香味を特徴とする方向へ発展してきたことによるのでしょう。 同じピルスナービール系でも、ドイツやチェコのピルスナーはホップを効かせたしっかりした味で、いかにもドイツやチェコの肉料理に負けじと自己主張できるビールです。また、アメリカのピルスナーは、苦味が弱くて止渇効果が強く、水のようにゴクゴク飲める、パンチの効いた清涼飲料水的なものになっていて、ハンバーガーやポテトチップスなどによく合います。 それらに比べ、日本のビールは味のバランスが非常によく、全体としておだやかで繊細であるという国際的な評価も正当なものであると思います。 「生ビール」と「ラガービール」がどう違うか、知っていますか?

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