ロシア外務省によると、セルゲイ・ラブロフ外相は１２日、訪問先の北朝鮮南東部・元山（ウォンサン）で、金正恩（キムジョンウン）朝鮮労働党総書記、崔善姫（チェソンヒ）外相と個別に会談した。 　北朝鮮はロシアによるウクライナ侵略を無条件に支持する姿勢を強調し、両国は軍事・経済面でのさらなる関係強化を確認した。北朝鮮兵の追加派兵や正恩氏の訪露も協議された可能性がある。 　インターファクス通信によると、ラブロフ氏は正恩氏との会談で、プーチン露大統領が「近い将来の直接対話の継続を希望している」と述べ、首脳会談の開催を示唆した。正恩氏は、ラブロフ氏の訪問を「（両国の）様々な分野の協力において非常に重要だ」と評価した。 　これに先立ち行われた外相会談では、ラブロフ氏は、北朝鮮兵士を「露軍兵士と共に血と命を犠牲に、クルスク解放の日を近づけた」と称賛した。崔氏はウクライナ侵略を念頭に「ロシアの主権と領土の一体性を守る政策を無条件かつ一貫して支持する」と応じた。 　ウクライナ当局などは、北朝鮮が今後、ロシアに最大３万人の兵士を追加派遣する可能性があるとみている。タス通信によると、ラブロフ氏は会談後、記者団に、北朝鮮の追加支援は「正恩氏が決める」と語った。「北朝鮮が核開発計画をなぜ進めるのか、ロシアは尊重し、理解する」とも述べて擁護した。 　ウクライナ国防省の情報機関「情報総局」局長は最近、米ブルームバーグ通信に対し、北朝鮮が現在、露軍の砲弾の最大４０％を供給していると指摘。見返りにロシアは資金や技術を提供しているという。 　協力拡大は軍事面にとどまらない。今回の会談場所である元山では７月、正恩氏肝いりで開発されたビーチリゾートが開業した。ラブロフ氏は外相会談で「ロシア人観光客が増えると確信する」と語った。 　露メディアによると、ロシア国内では国連安全保障理事会の制裁で禁じられた北朝鮮労働者が増えている。露側は人の往来を見込み、交通網の整備も相次ぐ。露航空当局は今月、露ノードウィンド航空にモスクワと平壌を結ぶ直行便の就航を許可した。６月には２０２０年から運休していた首都間の列車運行も再開した。