【ジュネーブ＝船越翔】米国とイスラエルから攻撃されたイランの核施設について、国際原子力機関（ＩＡＥＡ）が監視できない状態が長期化している。 イスラエルとイランの交戦が始まって１３日で１か月となるが、監視再開のめどは立たない。ＩＡＥＡは近く理事会の臨時会合を開き、対応を協議することを検討している。 ＩＡＥＡのラファエル・グロッシ事務局長は今月９日のポーランドメディアとのインタビューで「我々はイランの核開発問題に長く取り組んできたが、事態は悪化している」と懸念を示した。交戦開始からＩＡＥＡ査察官は核施設に立ち入れず、停戦発効後の４日には安全上の理由から査察官はイラン国外に退去した。 焦点はイランの核物質の保管状況だ。ＩＡＥＡは詳細を把握できていないと説明しているが、米紙ニューヨーク・タイムズは１０日、イスラエルの分析では、イランが保有する６０％濃縮ウランの一部が攻撃を免れて残存していると報じた。 グロッシ氏は「イランは大きな経済力と技術力を持ち、これらは軍事力で排除できない。交渉が解決策だと信じている」と述べ、監視活動の早期再開に向けて、イランに対話を呼びかけた。
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