「天敵中の天敵なのに」…統一教会側の選挙陣営に笑顔で潜り込んで取材する、鈴木エイトの圧倒的な「コミュ力」

オールドメディアはなぜ信用を失ったのか? 追及・糾弾一辺倒ではなく、ときに相手を思いやり、事件や騒動の当事者たちの胸の内を引き出す鈴木エイト——。取材者でありながら当事者となることへの責任をまっとうし、自らの使命と向き合う覚悟を日々忘れない。そんな鈴木エイトの作品は「私小説」ならぬ「私ノンフィクション」と評される。 さまざまな会見で「NG記者」となりながら真実を追い続ける著者が独自の取材手法をはじめて明かし、この時代の報道の問題点、ジャーナリズムのありかたを模索した『NG記者だから見えるもの』より一部抜粋・再編集して、本当に知るべき日本の深層をお届けする。 『「私小説ならぬ私ノンフィクション」…統一教会2世問題や安倍元首相銃撃事件を独自の視点で切り取る鈴木エイトの「狙い」』より続く。 圧倒的コミュ力 私の取材現場での声の掛け方や、取材手法を見て、時事芸人のプチ鹿島さんとラッパーのダースレイダーさんが人気ユーチューブ番組「ヒルカラナンデス」の2025年3月28日の配信において、私のコミュニケーション力、コミュ力をこう評してくれていた。 プチ鹿島:「エイトさんの本『統一教会との格闘、22年』(角川新書)出ましたね。22年ずっと取材してきて、そもそもが渋谷の繁華街で『手相を見ます』とか言って、実態を言わずに統一教会の洗脳という、そこを『それ統一教会の勧誘ですよ』と、そこから始まったんですよ」 ダースレイダー:「これ言ったら義憤というか、自分は判っていて、知らない人が騙されているという状況を黙っていられなくて、つい動いてしまったというところからの22年ですからね」 プチ鹿島:「だってそれ皆さんできますかって話ですよね、『明らかになにか騙されかかってる』という。言われてみれば90年代とかね、僕も東京とか出てきましたけど、ありましたよね、しょっちゅうどこかで。この本の論評とか解説とかはほかの偉い人に任すとして、僕はやっぱり自分の体験として、思ったのが『コミュニケーション』という言葉なんですよ。僕とダースさんが『あっ!』と思ったのが、エイトさんのコミュニケーション、コミュ力の高さですよ。選挙現場でご一緒すると、たとえばエイトさんが行くと嫌がるような陣営もあるわけですよね。だけど、その候補者は別にして、周りのスタッフとはいつも行っているから、顔馴染みになっていて、ちゃんと笑顔でお話ししてるんです」 ダースレイダー:「具体的に言うと、(統一教会から支援を受けていた)菅原一秀さん陣営ですね」 プチ鹿島:「菅原一秀陣営からするとエイトさんが来るというのは天敵中の天敵で、嫌なはずなんですけど、でも演説が終わって片付けしてる時にエイトさんが声を掛けると」 ダースレイダー:「みんな割と笑顔ですよね。『また来ちゃったの?』みたいな感じで」 プチ鹿島:「でも、エイトさんは『今日のあれはどうですか?』って笑顔で。俺それ見て、本当にエイトさんってすごいなと思ったし。だって今、足りないものが全部そこに入ってると思うんですよ」 ダースレイダー:「そうなんですよ」 鈴木エイトはNG プチ鹿島:「もう『嫌い』とか『あいつふざけんな』ってなったら、もう絶対もうバチバチしかない。バチバチか黙殺か。エイトさんは人間の情とかを信頼しているんでしょうね。そうやって向こうも普通にそういう話し合いとか若手と話しているんですよ。で、この本を読むと、やっぱり22年前から同じことやっているわけ。統一教会の信者の人たちも誤解のないように言えば、例えば本当にこの世の中を良くしたいという真面目な人が多く、末端の人たちもね。そういう人たちでもやっぱり『それ間違ってますよ』とか『統一教会ですよ』って言うと、トラブルになるのは当たり前で」 ダースレイダー:「統一教会側が記者会見を開いた時に、エイトさんにNG出してるんですね。この間、日本外国特派員協会での記者会見も『鈴木エイトはNG』と教団側が言ったら特派員協会側が『エイトさんを入れないと会見やりません』ということで、エイトさんも会見場に入れるような形に。エイトさんに来てほしくない人っているんですよ。来てほしくないけど、選挙の現場とか除外できないけど、結局こうやって会見とかする時に『エイトさんはNG』ということを言ってること自体が、エイトさんの意味というか価値というのが」 プチ鹿島:「最近、兵庫(県知事選)なんかも行ってらして」 ダースレイダー:「(選挙)漫遊をね、エイトさんが始めてからね、やっぱり選挙取材の視点がまた広がって、すごくよくなったっていうのと、小池知事陣営の都民ファーストの会の人とかもエイトさん、普通にぱって話しかけてね、会話するんですよね」 プチ鹿島:「僕らがなんかいいなって思う人たちの共通点っていうのは、ちゃんと追及はしてるんですけど、柔らかいというか」 ダースレイダー:「芯はすごくありますからね。そう、芯はそうあるけども、接し方とか人当たりとかで攻撃的にならなかったり。あと、エイトさんは全然、人を馬鹿にしないとか、馬鹿にするっていうかギャグにはしますけど、ちゃんと話しますよね、どんな人とでも。そこはすごく尊敬するスタンスだと思いますよ」 選挙に関する映画を何本も作り、鋭い視点を持ちトークイベントでもご一緒させてもらう機会の多いお2人からの、このような評価はありがたい。 そんな私の“コミュ力”は実際の取材現場でどのように生かされているのか。実例は次章の選挙取材での実際のやり取りから示したい。 『「選挙カー追い回し」の「つばさの党」が法のあり方を揺るがす…鈴木エイトが語る公選法と政治家との理想の関係』へ続く。 【つづきを読む】「選挙カー追い回し」の「つばさの党」が法のあり方を揺るがす…鈴木エイトが語る公選法と政治家との理想の関係

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