“政権選択選挙”そんな声も上がる2025年参議院選挙。都議選で大敗した自民党は、NNNと読売新聞が6月に行った世論調査で、支持率を政権復帰以来、最低タイまで落としています。参院選が政権の行方を左右するのか?岸谷蘭丸さんと考えます。 ■参議院ってなに?今さらきけない参議院選挙 実業家・インフルエンサー 岸谷蘭丸氏: 基礎から入るんですけど、参議院って何ですか? 政治部 竹内真デスク: すごく細かく言うと違うんですが、衆議院はより人数が多く、細かい地域から代表を選ぶ仕組みにしています。例えば東京だと目黒区、渋谷区など小さいエリアで選びます。対して参議院だと、東京全部で6人選ぶというふうに、選び方が違うんです。 国の議会を2つ持っておくのにはいろいろ狙いがあるんですが、1つだけで決めて失敗したり間違った判断をしたりしないように、保険みたいな感じで2つ作っているんじゃないかと思われます。 とは言え、2つに同じぐらいの決める力があると意見が違った時に喧嘩します。喧嘩になっちゃってものが決まらないのも困るんで、日本は衆議院で決めたことの方が優先するルールがあります。 ■参議院選挙がなぜ“政権選択選挙”といえるのか? 岸谷:そんな、もしかしてどうでもいいかもしれない参議院が選挙をやるってことで。 竹内:「どうでもいい」と言うとちょっと強いですけど。 岸谷:国会とか国の動きに、より大きな影響をもたらすのは衆議院であると。 竹内:例えば総理大臣は衆議院を解散する権限もあります。 岸谷:参議院って解散しないんですか? 竹内:解散しないんですよ。6年間任期があって、3年ごとに選挙があり、半数ずつ入れ替わります。 本当だったら、衆議院の選挙のことを“政権選択選挙”といいます。戦後、今の憲法のもとでは衆議院議員しか総理大臣になったことがないですから、その衆議院議員を選ぶからこそ政権を選択する選挙になるんだと。 でも去年、衆議院選挙があって、すごく久しぶりに自民党と公明党が過半数を失って、少数与党になったわけですね。石破さんって去年1回国民から「半分は君にはあげません」って、ダメ出しされているわけです。 岸谷:少数与党になって、議席数50%を切ってしまったから、自公は困っちゃって、大きくない政党の主張とかを「聞いてあげるからうちに賛成してよ」っていう妥協をしなきゃいけなくなっちゃったと。これ、面白いですよね。 竹内:今回の参議院選挙は、そういう意味では1回“バッテン”が付いている石破さんで、もう1回国民が意思表明できると。 「今度は石破さんを応援するためにみんなで石破さんに票を入れてあげる」でいいのか? 「やっぱり石破さんにやらせてもしんどいんじゃない?」 「本格的に野党でまとまって石破さんとか自民党・公明党じゃない体制にした方がいいんじゃない?」と国民の意見が示されるのか? それがわかるいい機会だ、チャンスだということですよね。 ■世論調査で明暗…下落する自民党と勢いを増す参政党 竹内:6月の世論調査で見えてきたものがあるんです。去年、自民党、公明党及び石破さんは評判が良くなくて半分が取れなかったんだけど、今回の参議院選挙もあんまり良くないぞというのが分かってきました。 岸谷:引き続き国民民主党の支持率が落ちたっていうのも見たんですけど、じゃあ保守層の受け皿が参政党みたいな感じなんですか? 竹内:これは数字で証明するのは難しいです。6月の調査で言えば、国民民主党って5月は11%の支持率を得ていたのに、6月は5%ですから、だいぶ減っていますよね。参政党なんて1%だったのが5%になっているんで、その勢いの差は明確です。 岸谷:自公は着実に落ちていそうなんですか? 竹内:そうなんですよ。一番分かりやすいので言うと、例えば3年前の参議院選挙の直前にですね、「投票するんだったらどこに投票しますか?」みたいな話をきいたら、36%の人が自民党に入れるって言ってたんです。今回同じ質問をしたら、自民党に入れるという人は24%と、12ポイント減っているんです。 岸谷:それは顕著ですね。最近の自民党の支持率の落ち方は凄まじいなと思っていて。だって結構な高カードの小泉進次郎さんをコメに切って、若干上がったかな?ぐらいだけど、下がりましたもんね、結局は。 竹内:内閣支持率はこの半年ぐらいほとんど変わらないんですけど、自民党の支持率はどんどん下がっていますね。 ■参院選で石破政権が倒れるか?“政権交代”のシナリオ 岸谷:いよいよ来ますか?政権交代の波。政権交代が現実的に起こり得るシナリオとしてはどういうのが考えられるんですか? 竹内:選挙の前になるとそれぞれが自分の目標を言うんです。石破さんの言っている目標は、今回変える分と変えない分と、全部足して過半数を維持することなんですね。 でも、自分で目標を設定しておいて、それに達さなかったら、いよいよ「自分で言った目標に達してない、負けてんだから、やっぱり辞めた方がいいんじゃないか」ってみんなに言われるわけですよね。これが1つの目安になると思います。 岸谷:言われたとて、言われるだけじゃないですか?内閣不信任案的なものは? 竹内:それもあります。 岸谷:その不信任案でジャッジをするのは参議院か衆議院、どっちの人なんですか? 竹内:実は同じようなものって衆議院でも参議院でもどっちでも出せるんですけど、参議院の方には法的な拘束力がないんですね。衆議院だと、内閣不信任案が可決すると、石破さんは解散をするか内閣総辞職をするか選ばなきゃいけないっていう義務が法的に決まっているわけです。 でもそんな不人気なのに解散総選挙をやるぞなんて言おうもんなら、今、衆議院は野党の方が多いわけですから、負け戦になってしまう。今度は仲間の自民党から「あんたみたいな不人気の人で選挙をやったら俺ら落選しちゃうじゃん」と言われる可能性がある。 衆議院選挙も嫌なのであれば、もう総辞職するしかないんですよ。 岸谷:じゃあ今回の参院選の楽しみ方は、石破さんおよび自民党政権が倒れるかもしれないっていうラインのためにみんな投票するってことですね。