参院選ついて「ひと目でわかる政策比較」と題して各党の公約を詳しく解説します。今回は各党の外交・安全保障政策について日本テレビ政治部・外務防衛キャップの細川恵里記者とお伝えします。 ◇ ——8日朝、アメリカから関税を一方的に通知する書簡が届きました。 そんなトランプ政権とどう向き合っていくのかは、今回の選挙での大きな注目ポイントです。各党党首の報道番組での発言などから整理しました。 まず、トランプ政権と近い距離を保ち、アメリカとの二国間の関係を重視する与党のグループと一定の距離を保ち多国間の枠組みを重視するグループに分けられます。 石破首相は、「日米同盟と多国間の枠組み、両方満たす努力を続ける」と話していますが、複数の与野党の議員が「関税交渉を優位に進めるためトランプ政権に近いスタンスをとっている」と指摘しています。 公明党の斉藤代表は、「石破首相の交渉を全面的にバックアップする」としています。 一方、立憲、維新、共産、社民は多国間の枠組みを重視しています。 立憲民主党の野田代表は、「自由貿易圏の拡大を日本が主導すると覚悟を決めるしかない」、日本維新の会の吉村代表も「同じ価値観の国との取引を増やす」、共産党の田村委員長は「トランプ政権はルール破り。ルール是正を求めるよう国際的な協議を行うべき」、社民党の福島党首は「アジア、ヨーロッパ、アフリカともっと貿易などを拡大すべき」と発言しています。 ——残る政党はどのようなスタンスなのでしょうか。 残る政党のうち3つが主張するのが「内需の拡大」です。つまり、そもそも貿易に左右されない強い経済を作るべきで、そのためには、個人消費の拡大などによって国内の需要を増やすことが必要だという主張です。 国民民主党の玉木代表は、アメリカが「重要な同盟国であることは間違いない」としながらも、「自分の国は自分で守る。内需拡大策をしっかり取る」と指摘。れいわ新選組の山本代表は「アメリカは日本から何でも取れるとわかっている。徹底的な内需の拡大が必要」と主張。また、「内需拡大へのシフト」を主張する参政党の神谷代表は「トランプ政権が進めていることはアメリカ国民の国益を追求している」とトランプ政権を評価する発言もしています。 そのほか、日本保守党の百田代表は「トランプ氏はおそらく日本を同盟国として見ていない。相当不満を持っている」と主張しています。 ——党によって距離感は様々ですね。でも日本が抱える問題はトランプ政権だけじゃないですよね。 はい、中国の脅威が日々高まるなど、日本を取り巻く安全保障環境は大きく変化しています。 どのように対応するか。防衛力強化、なかでも日米同盟に関する各党の考え方を整理します。 まず、日米同盟を重視して防衛力強化に積極的なのが7つの政党です。 自民・公明の与党は「日米同盟を基軸に、防衛力を強化する」との立場です。立憲民主は「専守防衛に徹しつつ、日米同盟を深化させる」、日本保守党の百田代表は「安全保障のための軍隊は当たり前だ」と主張。 他の政党は日米同盟の必要性は認めつつも立場が多少違う点があります。維新は「日米が対等な関係に立つことが同盟の維持には不可欠」と強調しています。国民民主は「アメリカに過度に依存し過ぎている防衛体制の見直し」に触れています。 また、参政党は防衛の三本柱として「日米同盟」を挙げていますが、神谷代表は「日本の国防が在日米軍なしでは考えられない状況を見直す」と在日米軍の撤退の必要性を主張しています。 ——日米同盟というのは日本側が基地を提供する代わりに核を保有するアメリカが軍事力で日本を守るという関係だと思います。参政党は在日米軍が撤退してどのように日本の安全を守ると主張しているのでしょうか? 神谷代表は、ドローン部隊など「新しい戦闘方法を考えて、専守防衛でやっていく体制を国産の武器、兵器で賄う。投資した分が内需となり経済も回る」と主張していました。 一方で、日米同盟自体に慎重で防衛力強化に反対なのが、れいわ、共産、社民の3党です。 公約で、れいわは「『アメリカに追従する外交』からの脱却」、共産は「日米軍事同盟を絶対視し強化を図ることに断固反対」、社民は「軍拡増税は論外。ミサイルよりコメを!」とコメ価格対策に費用を回すべきと訴えています。 日本を取り巻く安全保障環境が大きく変化するなか、各党の政策の違いを丁寧に見て投票するきっかけにしてほしいと思います。