「与党過半数割れ」報道が続く中、永田町担当デスクの本音はどこに

与党で過半数確保は微妙  7月3日公示、20日投票の日程で行われる参議院選挙は、248議席のうち改選は124議席と東京選挙区の欠員の補充を合わせて125議席をめぐって争われる。自民・公明の与党は非改選の議席と合わせて「与党で過半数の議席(50)を確保すること」を目標にしている。報道各社が報じた序盤の情勢はおおむね「与党で過半数確保は微妙」のようだが、永田町に生きる人々は現状をどうとらえているのだろうか。 【写真を見る】いつになくサマになってる……石破首相の「超高級オーダースーツ」姿 “ヨレヨレ”と心配された普段の着こなしと比較すると 「石破政権が低空飛行を続けているのはその通りだと思いますが、先の衆院選で自公与党が過半数割れに追い込まれた結果、野党に対して丁寧な対応を取り続けざるを得なくなり、石破氏らしさを出せないままズルズル来てしまったということもあるでしょう」 石破首相(自民党総裁)  と、政治部デスク。石破氏らしさとは主として防衛・外交・安全保障面を指すのだろうが……。 「もっとも、トランプ米大統領がかなり無茶苦茶な関税政策などを次々に打ち出す中で、それと渡り合うのは“なかなか難しいというか無理だよね。他に誰ができるんだろうね”というふうには言われています。実際、ほぼすべての国が対応に苦慮しているわけですし」(同) 「既成政党への不信」とは  自公は6月の都議選で歴史的大敗、惨敗を喫したと報じられた。 「そうですね、想定以上の敗北でした。これを受けて参院選で目標に掲げた“与党で過半数の50議席”割れも現実味を帯びてきた、石破退陣か、あるいは政権交代か、などといった報道が出てくるようになりました。ここには多分に、報じる側の願望というか、面白がりたいといった気持ちが関係している面は否定できません。永田町はとにかく狭い社会で、政治家も記者も政局好きが集まっています。年中“衆参ダブル選だ!”と言っている人も少なからずいる。メディア側も反権力を標榜しているので政権アンチにふるまって、その種の記事を出す。それが情報番組などで利用されて拡散され……といった流れで政権アンチ記事が定着していく印象です」(同)  自公の都議選での惨敗については「既成政党への不信」との分析記事も見られた。 「私自身が記事の担当でもそう受け止められる内容のものをあげていた可能性はあります。が、実は第一党の都民ファーストはすでに新興勢力ではありませんし、そもそも候補を政党だけで見極めて絞り込んでいる有権者はそれほど多くないと見ています」(同) 長引く物価上昇やコメ価格上昇も 「都議選に限らず、既成政党への不信感どころかそもそも政治全般に興味・関心がない。ただ、国民民主は“年収の壁”打破を訴えて党勢を拡大しました。それが“自分たちの言っていることは見向きもされない”と思っていた人たちに政治参加を促したのは間違いないと見ています」(同)  長引く物価上昇やコメ価格上昇も政権批判につながっている。 「江藤拓・前農水相の失言や石破氏の任命責任など政権に不手際がなかったとは言いませんが、コメの価格上昇は構造的な問題であることは明らか。欧米の消費者物価指数の伸び率は2%台であるのに比べて日本は3%を超える上昇が続いています。日銀が目標としているのは2%ですから金利を上げる必要があるのにそうなっていない・できていない現状はもっと検証されるべきでしょう」(同)  本来ならばそうした大きな議論が求められるところだが、論点は主に給付金か減税かというあたりに矮小化されている観もある。多くの野党は消費税率の引き下げを訴えているが、仮に消費税減税が実現しても物価が下がる保証はまったくない。 野田氏は意識して活動  衆院のみならず参院での与党過半数割れ、そして政権交代も現実味を帯び始めていることについて永田町ではどうとらえられているのか。 「永田町に政局好きが集まっているとはいえ、毎年首相が交代するのを本音ではよしとはしないでしょう。政権交代への期待感は2009年の時に比べてかなり低調。当時の民主党への絶望が今もなお続いているのが実感です。あの時、霞が関には埋蔵金があるように主張していたが、見つかりませんでしたよね。今回も、減税の財源はあると言っていますが、どこまで信用できるのかと思う人もいることでしょう。  現在の野党第一党である立憲の政権担当能力には他にも疑問がつきまとっています。特に外交・安全保障の経験が乏しい。  野田佳彦代表自身そのことを自覚して各国のキーマンとの面会を希望して元首相の肩書を生かそうとしてきました。が、かつての首相在任は1年ちょっとであり財務相を少し務めた以外、主要省庁のトップを経験したこともない。野党は一枚岩ではなく、特に国民民主の玉木雄一郎代表は周囲に”首相になりたい”と話すなど、野心を秘めている。立憲主体の政権交代の実現度も低く、万一成立してもたちまち立ち往生するだろうというふうに言われています。今石破内閣に向けられている厳しい目は、次に誰がなっても同じように向けられる。野田氏もそこはよくわかっているはずです」(同)  自公への逆風、野党への順風が吹き続けている状況は簡単に変わりそうにない。しかし選挙後、その風が国民にとってプラスかどうかは不透明なままなのである。 デイリー新潮編集部

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