万博会場にユスリカ第2波?、今月にも再び大量発生か…天敵不在で第1波より増える可能性

 大阪・関西万博の会場で大量に発生した昆虫のユスリカの数が5月にピークを迎えたものの、さらに数を増やした第2波が7月以降に到来する可能性が高まっている。  第1波の成虫が産んだ卵の多くがかえり、再び成虫となるためだが、専門家からは「ユスリカの生態を知り、万博が掲げる自然との共生を模索する機会となれば」との声が上がっている。  ユスリカはハエの仲間で、国内に1000〜2000種いるとされる。成虫は蚊に似ているが、人を刺して血を吸うことはない。  日本国際博覧会協会(万博協会)や環境分析会社「MIZUKEN」(堺市)によると、会場内で飛んでいるのは、淡水と海水が混じる水域に生息する「シオユスリカ」。成虫の寿命は数日から1週間と短く、300〜500個の卵を水中に産んで死ぬとされる。  ユスリカの研究で博士号を持つ同社社員の山本直さん(47)は「昨年秋に産み付けられた卵からかえった幼虫が越冬し、5月頃に一斉に羽化したのが第1波と考えられる」と指摘。会場内の水域には幼虫を食べる天敵の魚がおらず、大量発生につながったという。  大阪府の吉村洋文知事は5月下旬、殺虫剤大手「アース製薬」(東京)に協力要請したことを明らかにしたが、万博協会は発生源の水域への薬剤散布はこれまで行わず、清掃や消毒などで対応。正確な発生数を把握していないものの、6月に入ると、SNSでは「万博に行ったけど、ユスリカはほとんどいなかった」との書き込みが相次ぎ、第1波の多くはそれまでに産卵して死んだとみられる。  一方、山本さんによると、水温が高い夏場は産卵から30〜45日で成虫となり、10月13日までの万博期間中、第2波、第3波のピークが7月頃、9月頃にそれぞれ訪れる可能性がある。幼虫の天敵がいない状態が続くため、成虫の発生数は増える見込みだ。  殺虫剤を使った駆除は環境への悪影響やコスト面から現実的でなく、万博協会は屋内への侵入を防ぐネットを設置するなど、人との接点を減らす対策を進める。万博協会が設置した「ユスリカ等対策本部」の有識者委員会で委員長を務める平林公男・信州大教授(衛生動物学)は、「期間限定のイベントであり、薬剤で根絶するのでなく、共生を探るべきだ。万博をきっかけに自然の生態に関心を持ってほしい」としている。

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