イラン人俳優 サヘル・ローズさん「同じ地球人、何か共有できる」大阪・関西万博、朗読劇で平和を語る

 アートディレクター・水谷孝次さん(東京都港区)が主宰する「MERRY PROJECT (メリー・プロジェクト)」が6月29日、大阪・関西万博会場で世界の平和と持続可能な未来を目指すステージイベント「MERRY EXPO(メリーエキスポ)2025」を開催した。 「MERRY EXPO 2025」世界各国の紛争地や被災地など、35か国で5万人以上の人々の笑顔の画像を大きなパラソルにプリントし、メッセージを発信<2025年6月29日午後 大阪市此花区・夢洲>  水谷さんは1980〜90年代、大手航空会社やファッション、食品メーカーのヒット商品の広告ポスターやパッケージ、 プロ野球チームのロゴマークなどのデザインを手がけ、日本の広告界になくてはならない存在だった。その経験から、「今、地球そのものをデザインする時代。みんなの笑顔をデザインしたい」と話す。  「MERRY PROJECT」は、水谷さんが1999年に立ち上げ、これまでに自身が取材した世界各国の紛争地や被災地など、35か国で5万人以上の笑顔の画像を大きなパラソルにプリントし、メッセージを発信している。  イベントには、イラン人俳優のサヘル・ローズさんが登場、朗読劇で平和について語った。サヘルさんは、イラン・イラク戦争の最中に4歳で家族と生き別れ、8歳の時に来日。  日本で貧困やいじめなど、壮絶な経験を乗り越えてきた。その後、俳優として活躍するかたわら、世界の貧困地域や難民キャンプなどで暮らす子どもたちを中心に、人道支援活動にも力を注いでいる。  サヘルさんは、「ペルシャ絨毯(じゅうたん)に乗ってやって来ました。今回(大阪・関西万博で)、私の生まれたイランのパビリオンがなく残念ですが、イランは7000年以上の歴史があります。いま、中東をはじめ世界中で様々な紛争、戦争が起きています。苦しむのは、子どもです。 私は日本に来て31年。 私自身も戦争によって人生が何度も変わりました。 物心つくころには、私は家も家族も失ってしまいました。 戦争によって孤児になった私は大勢の子ども達と同様に、孤児院へ。 お腹いっぱいになる食べ物もなく、 子どもらしく声を出すことも、 笑うことも忘れていました」と自らのこれまでを語った。  そして、難民の子どもたちから託された手紙をまとめた自著『Dear 親愛なるあなたへ』から一部を抜粋、朗読した。  その内容は、 【国と国じゃ友達になれなくても、人間と人間は友達になれるんじゃないかな。いじめ合うより、みんなの笑顔がたくさんできたら、戦争はおびえて消えていくよ。子どもは臆病じゃないけど、大人は臆病だからさ】 【大人は、戦争をゲームとして見てるけど、人類全員、大人が経験してわかって欲しい。国の偉い椅子に座ってる大人に戦場を歩かせたい。生き残った人のつらい痛みを知ってほしい】 【互いに話したり、見たり、感じたり、相手も同じ地球人なんだから、分かり合えなくても、何かが共有できるんじゃないかな】という“心の叫び”だ。 「MERRY PROJECT」主宰・水谷孝次さんとサヘル・ローズさん  水谷さんは、これまで何度もサヘルさんと平和のためのプロジェクトを展開してきた。  水谷さんも幼い頃、先の大戦で耳を失った父の手助け、“耳代わり”をしていた。父を見る世間の視線が厳しいことが、とても辛かったという。  ただ、「私が笑えば、周りの人も笑って、空気が変わることを知った。笑顔の大切さに気づいたんだ」と話す。  この時、「世界を笑顔で平和にする」と決意したという。  そして、「サヘルさんと同じような境遇で育ち、幼い頃から平和への強い思いも同じ。大阪・関西万博では、最新のAI(人工知能)をはじめテクノロジーが注目されているが、今起きているウクライナ、ガザ、イランなどの紛争や戦争を見て、まさに今、万博から平和を発信しなければ。太平洋戦争の終戦から80年の節目だからこそ」との使命感にかられたという。  大阪・関西万博には不参加のイラン。水谷さんはこのことをサヘルさんに話すと、逆に「万博で、何か私にできることはありませんか?」と懇願されたという。  水谷さんは今、私たちが暮らす地球上には、紛争・環境破壊、差別など、さまざまな社会問題がある。こんな時代だからこそ、2025年大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を体現する大きな意味がある。そして、「世界で起きている社会問題の解決に向けて、私たちができることを考えてみよう」と訴える。

もっと
Recommendations

ナショナルズ小笠原慎之介「悔しいの一言」3回途中4失点でメジャー初黒星 「自分のベストピッチをやるだけ」次回リベンジ誓う

■MLBナショナルズ4ー6レッドソックス(日本時間7日、ナショナルズ…

住宅ローンは「変動金利」か、「固定金利」か…金利上昇時代の賢い選び方【不動産コンサルタントが解説】

住宅ローンを組むときにもっとも迷うのが、「変動金利と固定金利、ど…

大谷翔平 タイミングのズレを修正できず ド軍は中継ぎ崩壊、押し出し&2者連続被弾 今季2度目の同一カード3連敗

■MLBドジャース1ー5アストロズ(日本時間7日、ドジャー・スタジア…

中国籍の女(52)を逮捕「盗んでいません」と容疑否認も盗んだとみられる化粧品自宅で見つかる

北海道羽幌警察署は2025年7月6日、北海道苫前町の技能実習生で…

【天気】全国各地で危険な暑さ 山沿い中心に急な雷雨に注意を

7日(月)は、全国各地で危険な暑さと急な雷雨にご注意ください。<7…

日差し優勢で猛暑続く 北日本も気温上昇で暑さの逃げ場なし

きょう7日(月)も全国的に晴れて暑くなります。特に西日本はカンカン照…

盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催

小学校教員らによる“変態教師グループ”の存在が明らかになった─…

佳子さまの水着姿、ダンスまで…生成AIを用いた悪質投稿が物議に

7月4日、秋篠宮家の次女・佳子さまがブラジルの公式訪問を終えたこ…

【話題】北見市相内神社にアオサギの巣 10組ほどのつがいが子育て エサねだる鳴き声響く境内に

北見市内にある神社ではアオサギが巣を作り、ひなの子育てに奮闘して…

虐待死の事例に「自死」追加で見えてきた“こどもの苛烈な環境” トー横の少女が経験した「父親からの虐待」

警察庁によると、2024年の一年間に自ら命を絶った小中高生の数は202…

loading...