最近のホンダってどうですか?(シビック&アコード・ハンズオフ編)【新米編集長コラム#37】

先代5ドアハッチバックの6速MTは名車 最近のホンダ話、その続きです。前回はフリードとアコードについて書かせて頂いたが、今回はその次にお借りしたシビックから稿を進めたい。3台とも約1週間ずつ取材を行った。 【画像】どちらもスポーティ!今回取材したホンダ・シビックとアコード 全51枚 今回お借りしたシビックは、『e:HEV EX』と呼ばれる2L直列4気筒+2モーターのハイブリッドモデル。同じパワーユニットで『e:HEV LX』というグレードがあり、1.5L直列4気筒ターボを搭載する『LX』、『EX』、『RS』の3グレードを合わせた計5モデルが発売されている。RSは6速MTでタイプR風のルックスを持つ、BMWにおけるMスポーツのようなモデルだ。ボディは5ドアハッチバックのみとなる。 今回取材したホンダ・シビックe;HEV EX。試乗会で乗れなかったハイブリッドを選択。 平井大介 2017年に発売された先代10代目シビックは、5ドアハッチバックが英国生産、4ドアセダンが日本国内生産だったが、ご存知のように2021年で英国工場は閉鎖されてしまった。そこで2021年に登場した現行11代目シビックの国内販売は5ドアハッチバックのみとなり、埼玉県寄居町にある工場で生産されている。なお、北米市場でメインとなる4ドアセダンはカナダ工場生産だ。 個人的に先代5ドアハッチバックに用意された6速MTは名車だと思っていて、当時のカー・マガジンで私は『欧州車の香りが漂う良車』と書いている。その系譜は現在もRSがしっかりと受け継ぎ、試乗会で「これはよい……」と感心してしまった。なのでもう1回乗ってみたい気持ちもあったが、試乗会では触れることのできなかったハイブリッドを優先した次第だ。 同系統のパワーユニットをひとまわり小さいボディに搭載 前回アコードの印象を『自分が思っているよりも1〜2割は速く走っている』と書いたが、シビックは同系統のパワーユニットをひとまわり小さいボディに搭載しているため、速さはそれ以上だった。ここで簡単にスペックを比較しておこう。 アコードe:HEV 全長×全幅×全高:4975×1860×1450mm ホイールベース:2830mm 車両重量:1580kg 最高出力(エンジン/モーター):147ps/184ps 最大トルク(エンジン/モーター):18.6kg-m/34.2kg-m 日本国内は5ドアハッチバックのみを販売。生産は埼玉の工場で行われる。 平井大介 シビックe:HEV EX 全長×全幅×全高:4560×1800×1415mm ホイールベース:2735mm 車両重量:1490kg 最高出力(エンジン/モーター):141ps/184ps 最大トルク(エンジン/モーター):18.6kg-m/34.1kg-m ちなみにボア、ストローク値も含めて排気量1993cc、圧縮比13.9は全く同じということで、ほぼ同じパワーユニットで90kg軽いシビックの走りがいいのは、当然と言える。 ボディサイズも静岡県東部の自宅周辺ではちょうどよく、伊豆縦貫道を走っていて、箱根から帰ってきた? あるいは今から向かう? と思しき現行シビックをよく見かけるのは、偶然ではないかもしれない。 また、美点も気になる点もアコードと似ていたのが興味深い。簡単に書けば、前者はハイブリッドがもたらす走行フィーリングなど、後者はスポーティがゆえに街中で少しドタバタする乗り心地、そしてシート座面が薄いのかすぐに疲れてしまうところなどだ。 しかし偶然にも、先にお借りしたフリードと同じボディカラー、シーベットブルーパールが好みだったこと、リアシートやラゲッジスペースが広くいいパッケージだと思ったこと、そしてやはり『シビック』であることが何だか嬉しくて、自宅の駐車場を見ながらニヤニヤしてしまった。 車両価格430万7600円、広報車の仕様で445万6100円というスペックシートを見て意気消沈してしまったことは正直に書いておくが、その『価値』については後述することにしよう。 レッツ、ハンズオフ! この3台を取材することが決まったあとに、偶然にもアコード試乗会の案内が届いた。その内容は、ホンダ量販モデル初のハンズオフ機能を搭載した追加グレード『e:HEVホンダ・センシング360+』を体験するというもの。 ハンズオフ、つまり一定条件で運転中に手を放すことができるわけだが、今回は開発担当エンジニア氏同乗の元、高速道路で体験することができた。 ホンダの量産モデル初となるハンズオフ機能を搭載。走行条件が整うと、ステアリングのイルミネーションが青になる(写真はイメージです。安全のため撮影時はステアリングを握っています)。 AUTOCAR JAPAN 走行中に条件が整うとステアリングホイールのイルミネーションが青になり、そこで速度を設定すれば、そのままハンズオフが可能になる。表示がわかりやすいのと、使用するかどうかがドライバーに委ねられているのがポイントだ。 ハンズオフ走行中は、いくつか感心した制御があった。 まず、前に遅いクルマがいるとモニターと音で知らせてくれるので、ステアリングのスイッチでOKをすると、後方の安全を確認したうえで自動的に車線変更できたことだ。変更後に元の車線へ戻りはしないので、そこはドライバーの意志で戻るかを決める。 また、ナビ(グーグルマップ)で目的地を設定した場合、降りるインターチェンジ近くで車線変更を促し、OKをすると同様に車線変更。インターチェンジ手前でも表示がでるので、OKをすると自動的に車線を変更して降りてくれる。 他にも走行中、横に大型車が走行する場合は車線内での走行位置を調整する機能、ドライバーの異常を感知し安全な場所に駐車できる機能など、書くべき話はたくさんあるが、とにかく一連の動きが実にスムーズで、この手の自動運転にありがちな不自然さを感じなかったことを強調したい。聞けば、日本中の高速道路でテストを重ねたそうで、その労力が並大抵ではないことは容易に想像ができるのだ。 ホンダらしさとは? ここで、前回書いたホンダの『2050年までに全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルと、交通事故死者ゼロを実現するという目標達成』、そして前段で書いたシビックの価格価値に繋がってくる。 今回の『アコードe:HEVホンダ・センシング360+』は599万9400円で、ハンズオフ機能のない『アコードe:HEV』は559万9000円と、約40万円の価格差がある。今回の試乗を体験するとこの40万円は高く感じないが、とはいえ、乗り出し価格600万円以上となれば輸入車でも選択肢は増えてくる。 試乗車の『アコードe:HEVホンダ・センシング360+』。約600万円の価格をどう捉えるか。 平井大介 しかし、2050年を見据えた前提を考えると、これは必要なプロセスと考えるのが自然だろう。販売台数が圧倒的に多いとはいえ、北米だけでは不十分ということだ。そういった複合的な背景を見ていくと、現行アコードの立ち位置も合点がいく。そして『ミニ・アコード』といえるシビックも、同じ方向を向いているように感じるのだ。 しかし、それで終わらないのがホンダが面白いところで、どのクルマもどこかスポーティなのである。足まわりは若干硬めで乗り心地が……という場面もあるが、ハンドリングはクイック気味で、アコードもシビックも走らせるのが楽しいのだ。 試乗会で別のエンジニア氏も、ホンダとして求められる走りやハンドリングはしっかりと実現したうえで、乗り心地を出していると話してくれた。また、そんな話を広報担当者としていたところ、ホンダのエンジニアにはスポーティであることが前提だと思っている節があり、資料で謳っていなくても、自然とスポーティになっていることがあるとのことだった。 これにはなるほど! と思わず膝を叩く気持ちになった。2050年の目標がありそこに向かってはいるが、M・M思想やスポーティさというDNAも持ち続けているのが、『ホンダらしさ』ということなのだろう。そう気がついた瞬間、俄然、現在のホンダに興味が沸いてきたのであった。

もっと
Recommendations

フォルクスワーゲン「”新”SUV」発表! 精悍ボディ×スポーティなスタイリングがカッコいい! 「T-Roc R Black Style Performance」発売開始

目を惹くマットカラーに黒のアクセントが特徴!フォルクスワーゲン …

ホンダ最新型「“コンパクト”3列SUV」公開! 全長4.5m級なのに「7人」乗れる! i-VTECエンジン×MTもある「BR-V N7Xエディション」尼国に登場

コンパクトな7人乗りSUV ホンダのジャカルタにおけるメインディーラ…

新たな「超高級・正統派SUV」発表! “匠”の手仕上げ「24金バッジ」×豪華「専用レザーインテリア」採用! “都会”イメージのレンジローバー「SV ビスポーク アーバン トワイライト」登場

日本限定「3つのテーマ」を発売!2025年6月18日、ジャガー・ランド…

日産「新型スポーツセダン」登場は? 高級×スポーティがウリだった「セドリック/グロリア」最新e-POWER&プロパイロット搭載で復活に期待!?

ネット上では「日産に復活させて欲しい車種」として名前が挙がっている

2025年版 自動車専門誌が選ぶ、最高の小型車 10選 スタイリッシュで気楽な都市生活の相棒

街乗りにぴったりなコンパクトカーデザイン、実用性、乗り心地など、…

ジャガー240のこまごました問題に対処|『Octane』UKスタッフの愛車日記

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は1968年ジャガー240に…

イモトアヤコ、愛車の“600万円超え”「“高級”ハイエース」を“満喫”し話題に! “爆買い”もした「最高の1日」に「おしゃれ」「最高すぎ」の声も

イモトアヤコ、車中泊キャンプ大満喫の様子に反響!タレントのイモ…

レクサス新「LBX」用マフラー登場! 存在感際立つサウンドを楽しめるエキゾーストシステム「トムス・バレル」発売!

LBXの個性に寄り添うこだわり抜いた逸品!トムスはレクサス「LBX MO…

348万円! “旧車顔”のダイハツ「軽バン」実車公開! 俊足&超快適な「どこでも車中泊」仕様? ゴードンミラー「GMLVAN S-01リミテッド」登場

40台限定の特別仕様車を出展2025年6月27日から29日まで、幕張メッセ…

約187万円! スバル「25年落ち軽トラ」に反響多数! 「いい車です」「羨ましい」 “サビ凹み”ありなのに「新車価格超え」で驚愕 “埼玉出身”の「農道のポルシェ サンバー」が米で落札

埼玉で使われていた25年落ち「中古サンバー」に驚愕の声アメリカの…

loading...