陸上・日本選手権第１日（４日・国立競技場）——９月の世界選手権東京大会代表選考会を兼ねて行われ、女子５０００メートルは田中希実（ニューバランス）が１４分５９秒０２の大会新記録で４連覇を果たし、４大会連続の世界選手権代表に内定した。 　男子走り高跳びは真野（しんの）友博（九電工）が２メートル２９で３年ぶり３回目の優勝。女子三段跳びは高島真織子（九電工）が１３メートル９２、同やり投げは上田百寧（ゼンリン）が５９メートル８８でともに初優勝を飾った。 代表切符とともに自信も手に 　世界転戦の中で、迷いが生じていた女子５０００メートルの田中が、代表切符とともに自信も手にした。「ホッとした。やっと自分らしい走りができた」。原点に立ち返って、再び世界と戦うきっかけをつかんだ。 　参加標準記録の１４分５０秒００は突破済み。久々に一緒に走る同世代の広中璃梨佳（りりか）（日本郵政グループ）の背中につくと、３０００メートル過ぎに前へ出た。ラスト１２００メートルからは「覚悟を持って」強烈なスパートを放って独走し、福士加代子が２００４年に出した大会記録を２１年ぶりに約６秒塗り替える１４分台をマークした。 　昨夏のパリ五輪は決勝進出を逃した。今季は世界のトップ８人だけが出場する新設シリーズに挑みながら成長するはずが、全て７〜８位と打ちのめされた。「練習で実力自体はすごく上がっていると感じる」のに、ペース変化の激しいレースに振り回された。「あれもほしい、これもほしいと手を出し過ぎ、元の自分の姿が分からなくなった」と振り返る。 　イタリアでの腰を据えた合宿で、考えを整理して迎えた今大会。高速ペースに食らいついて、ロングスパートから粘り抜く持ち味を発揮した。秋に戦う会場での快走に「自分の財産になった」。レース後、晴れ晴れとした表情で、１５００メートルでの２種目目の代表切符を見据えた。（井上敬雄）