参院選(7月20日投開票)は7月3日に公示され、選挙戦がスタートした。 争点のひとつとなっているのが、物価高対策。政府与党の自民党、公明党は国民1人あたり2万円の給付を公約とした一方で、野党側は消費税の減税や廃止などを求めている。 そうしたなか、公示日を翌日に控えた7月2日の党首討論で、石破茂首相が「消費税減税って、時間かかりますからね。1年ぐらいかかるんですから」と発言したことについて、波紋が広がっている。 政治担当記者が言う。 「石破首相は、6月30日に出演したニュース番組『報道ステーション』(テレビ朝日系)でも、消費税減税について『それって1年くらいかかる』などと述べていました。 ところが、いま2023年11月28日の参議院予算委員会での政府側の答弁に、注目が集まっています。れいわ新選組の山本太郎代表が、岸田文雄首相(当時)に『消費税の減税は時間がかかるのか?』と聞いたところ、岸田氏は各国とも事情はさまざまで、日本の場合は値札の貼り替え、システム改修など、相応の準備が必要であるなどと答弁しました。 続けて、山本氏がイギリス、ドイツ、アイルランド、マレーシアの、各国の付加価値税(日本でいう消費税)の減税実施までにかかった期間はどれくらいなのかと、4カ国の事情をもとに聞いたところ、政府側の国立国会図書館の専門調査委員による答弁では、どの国も発表から1カ月以内に実施されていたことが判明しました」 このときの政府側答弁では、4カ国の実例が以下のように述べられた。 英国では、レストランなどにおける飲食の提供、宿泊・娯楽サービスには、通常であれば付加価値税の税率として標準税率の20%が適用されることになっているが、コロナ禍のもとでは2021年9月までの時限措置として、5%の軽減税率が適用された。このときの付加価値税率の引き下げは、2020年7月8日に公表され、その7日後の7月15日からおこなわれたという。つまり、発表から実施までにかかった日数は7日だった。 ドイツでは、コロナ禍のもとで2022年12月までの時限措置として、付加価値税の標準税率が19%から16%に、軽減税率は7%から5%に引き下げられた。これらの税率引き下げは2020年6月3日に発表され、28日後の7月1日から実施された。 アイルランドでは、2009年12月9日に付加価値税率を21.5%から21.0%に引き下げると発表され、23日後の2010年1月1日にそれがおこなわれた。 マレーシアでは、2018年5月の下院議員総選挙で、付加価値税の廃止を掲げる野党連合が勝利して、政権が交代した。そうしたなかで同年5月16日に付加価値税率を6%から0%に変更することが新政権により発表され、公表から16日後の6月1日に実施に移されたという。 この答弁に対して、山本氏は「イギリス7日、ドイツ28日、アイルランド23日にマレーシア16日。日本は値札つけ替えるのに時間がかかりましてね、減税まで半年です、1年ですって。こういったボンクラ議員は引退すべきですよ。やる気がないだけじゃないですか。さっさとやってくださいよ」と発言していた。 「このときの4カ国の、発表から実施までにかかった期間が、石破氏が言う1年よりもかなり短かったことがいまになってクローズアップされ、SNS上で議論が巻き起こっています。日本ではシステムの改修などに時間がかかるとはいわれていますが、これら4カ国がすぐにできたのに、日本ではなぜそんなに時間がかかるのか、という不満の声が出ています」(前出・政治担当記者) Xでは《でも他国の例を見ると、もっと早くできるのでは…?》《世界の国々、消費税の減税を1カ月以内にやってしまう…》《やる気がないから時間がかかるんでしょうね!?》などと疑問や不満の声があがっている。 投票日まであと2週間あまり。減税に踏み切らない首相に、有権者はどう判断を下すのだろうか。