九州発祥の格安スーパー「トライアル」が関東に進出。老舗「西友」の買収で実現したのですが、新たにどんなスーパーになっていくのでしょうか? 【写真で見る】買い物カートにタブレット端末、カゴに入れると金額表示。トライアルの「レジ機能付きカート」 狙いは「西友の好立地」 東京への初進出も? 高柳光希キャスター: 「西友」を買収することになった「トライアル」。まずは、それぞれのスーパーについて見ていきます。 トライアルは、福岡県発祥のディスカウントストアで、2月末時点で九州を中心に343店舗を展開しています。 西友は、関東・中部・関西を中心に展開しており、6月26日時点で、本州に245店舗があるという状況です。 「トライアルが西友を買収した」形ですが、西友はなくなってしまうのでしょうか? TBS報道局経済部 藤原由季子 記者: そういう不安を持たれる人も多いと思いますが、現状、西友がなくなるという情報は出ていません。 トライアルの狙いは、西友の持つ好立地です。出店エリアが飽和状態となる中、▼関東中心で▼駅が近いという西友の土地を活かして、トライアルは東京への初進出を目論んでいます。 「顔認証」で決済 スマホも財布も不要 藤原記者: 2日に会見を行いましたが、西友を拠点に置いて、周辺に「トライアルGO」というものを新たに出していくというのが今後の戦略だそうです。 高柳キャスター: その「トライアルGO」は、どういったスーパーになっているのでしょうか。 トライアルは“郊外などの大型のスーパー”というイメージがある人もいると思いますが、「トライアルGO」は都市型小型店です。 現在、福岡県などを中心に約20店舗が展開されているという状況です。 店はコンビニのような外観ですが、惣菜などが豊富で中身はミニスーパーのような感じになっています。 藤原記者: そして、24時間営業で、コンビニのような形になっています。ただ、似て非なるものでもあり、買い物の形が今後変わっていくかもしれません。 「トライアルGO」はいろいろ画期的な取り組みをしていて、会計時に「顔認証」で決済が可能となっています。 ▼初回登録時に本人確認と▼決済ができる専用アプリをダウンロードすると、次回からは顔パスで、スマホも財布も持たずに会計ができます。 「トライアルGO」は小型店なので、「少量・目的買い」というニーズに応える形です。 井上貴博キャスター: もう開始しているのですか? 藤原記者: すでにある店舗です。九州の方で20店舗ほどあり、まだ実験的にやっているものです。 出水麻衣キャスター: 会計で結構並んでいると「もういいかな」とお店を出てしまうこともあるので、顔認証だとレジの会計時間も短縮できそうですね。 高柳キャスター: ランニングなどをしていて手ぶらで入って、スポーツドリンクを買えたりするということなので、本当に便利だと思います。 値下げが自動化も…「東京進出の道のり」は長くなる? 藤原記者: そして、「値下げが自動化」されています。 本来であれば、店員が値下げシールを貼っていったりしますが、人件費や手間暇がかかるため自動化されています。 レジで賞味期限を自動認識していて、商品を読み込むだけで勝手に値下げされるようになっています。 井上キャスター: 形態がイオン系列の「まいばすけっと」に近いとも思いました。 「まいばすけっと」は、コンビニを圧倒する勢いで広がっていますが、競合にはならないのでしょうか。 藤原記者: 関係者からは、トライアルはイオンの「まいばすけっと」を意識しているのではないかという声もありました。 高柳キャスター: 先進的な取り組みがされていますが、東京進出はこのままスムーズに実現すると、取材をしている藤原さんは感じますか。 藤原記者: その道のりは、なかなか長そうです。 西友は、業績不振が長く続いているので、店舗を見てみると古い部分もあり、修繕などにコストと時間が必要になってきます。 そういったところをいかにスピード感を持ってできるかが今後の焦点になると思います。 田中ウルヴェ京さん: 先見の明ですよね。 デジタルトランスフォーメーションは重要であったり、スマートシティであったり、日本は高齢化・少子化などと考えると、これからもっとデジタル化していかなくてはいけないですよね。 そうした中で、西友の課題もいつかは必ず解決していかなければいけません。 異文化の企業同士が交わると、良い意味の化学反応が起こるので、そういうことを見据えていかなければいけないと思います。 ========== <プロフィール> 藤原由季子 TBS報道局経済部 コンビニ・スーパーなど流通業界を中心に取材 田中ウルヴェ京さん スポーツ心理学者(博士) 五輪メダリスト 慶應義塾大学特任准教授 こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰