公立の小中学校で、授業時間を短縮して独自の教育課程を編成している研究開発学校が今年度は４６校となり、昨年度からほぼ倍増したことが、文部科学省への取材でわかった。 　２０３０年度から実施の次期学習指導要領では、授業時間設定の自由度を広げて各学校が裁量で使える時間を拡大する方針で、先行して取り組む学校が増えているとみられる。 　小中学校の授業時間は学校教育法施行規則で、小学校が１コマ４５分、中学校は５０分と定められている。現在も１コマの授業時間を短縮することはできるが、教科ごとに決まっている年間の総授業時間は維持しなければならない。このため多くの公立校が施行規則通りに授業時間を設定している。 　一方、研究開発学校では、年間の総授業時間を変更することが認められる。小学校で、ある教科の授業時間を１コマ４５分から４０分とした場合、短縮した５分間をまとめて別の教科の指導や独自の教育活動の時間に振り向けることができる。教員が授業準備や校外での研修に使うことも可能だ。 　文科省によると、こうした研究開発学校は昨年度、東京都目黒区と滋賀県愛荘町の２５校だった。今年度は２１校増え、９都道府県１０自治体に広がっている。京都市の市立御所南小学校では、各教科の授業時間を５分短縮してまとまった時間を作り、児童が興味関心を持ったテーマについて調べ、発表する探究学習の時間などに充てている。 　文科省が学校の裁量拡大を図るのは、一定の水準が保てる一方で「画一的」とも指摘される学校教育を、各校が創意工夫を凝らして特色あるものへと変える狙いからだ。文科省幹部は「学校の意識で教育の質が変わる。研究開発学校の事例を共有し、これから取り組む学校を支援していきたい」と話している。 　指導要領は、文科相の諮問を受けた中央教育審議会の答申を経て２７年に改定され、３０年度の小学校から順次実施される見通し。 　◆研究開発学校＝学習指導要領に縛られず独自の教育課程を実践する学校。申請校の中から文部科学相が指定し、国の予算措置がある。今年度の指定は計９９校。授業時間の短縮以外にも、小学校に設けられていない教科「情報科」の開設や、不登校生に対応した教育課程を組む学校などがある。