同僚弁護士の職印などを使って民事訴訟の書面を捏造（ねつぞう）したとして、有印私文書偽造・同行使罪に問われた元札幌弁護士会の弁護士で無職井上大造被告（３９）（宮崎市）の初公判が３０日、札幌地裁（藤井俊彦裁判官）で開かれ、被告は起訴事実を認めた。 検察側は懲役１年６月を求刑し、弁護側は情状酌量を求めて即日結審した。判決は７月２２日。 採用された証拠によると、井上被告は２０２０年４月、千葉県の女性から依頼された民事訴訟の提訴を約１年１０か月にわたって放置したことを隠すため、訴状や相手方の答弁書、準備書面など８点を捏造し、依頼者に偽造文書のＰＤＦファイルをメールで送信。勤務先の事務所内で捏造が発覚すると、所長の弁護士に「ばれたら大変なことになる。所長が許可したことにしてほしい」などと迫ったという。 井上被告は同年６月、札幌弁護士会に退会届を提出して失踪。２１年７月から宮崎県で弁護士業務を再開したが、所長らの請求を受けた同県弁護士会が２３年５月、業務停止８か月の懲戒処分とした。 今年３月の在宅起訴後は国選弁護人（解任）からの連絡を一切無視し、５月１２日に指定された初公判も無断欠席していた。この日の被告人質問では「起訴がショックで『先延ばし』にする以外に何も考えられなかった」と説明。無断欠席後に弁護士登録を取り消したことを明らかにした。
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