7月20日に行われる参議院選挙では、止まらない「物価高」が大きな争点となっています。有権者が何を重視して投票しようとしているのか、聞いてきました。 【写真で見る】投票で何を重視するのか?街で有権者に聞いてみた 都議選で大敗の自民党 石破総理「先頭に立って全身全霊、参院選を戦う」 2024年の同じ時期と比べ、5倍もの食品が値上げされることとなり、出費がかさむ夏になりそうな中、7月3日に迫るのが、参議院選挙の公示です。 参院選の前哨戦とも位置づけられた東京都議会選挙では、過去最低の21議席(−9)と大敗した「自民党」。 6月28日、石破総理は自民党の会合で、都議選で3議席を獲得した「参政党」などを念頭に、警戒感を示しました。 石破茂 総理大臣 「いろんな新しい政党が支持を集めているのはなぜなのかということを、きちんと党として分析して、私自身も先頭に立って全身全霊、この選挙(参院選)を戦ってまいります」 さらに、“消費税の減税”を支持する声が高まっていることについて、武見参院議員会長は… 自民党 武見敬三 参院議員会長 「それ(減税)がSNSなどを通じて、大衆迎合主義の中で広がってしまっている状況を、私どもは何としても、これから抑え込まなければならない」 「物価高」「子育て」有権者が投票で重視することは? 有権者は、何を重視して投票先を決めるのでしょうか。 個人事業主(60代)⇒物価高対策 「個人としたら、消費税とかなくなってほしいが、実際やるとなったら膨大な手間と予算がかかる。出来ないようなことをワーワー言ってる政党は論外」 アルバイト(40代)⇒物価高対策 「税金を払っているのに、『じゃあ(給付金)2万円配ります』と言われても。もっと物価が高いので2万円じゃ何もできませんという話で」 自営業(60代)⇒賃上げ 「給料アップですね。日本って、いま物価安くないと暮らせないみたいな感じになっているから、物価高くても給料上げたら、もっと楽しく暮らせるんじゃないかと思う」 会社員(20代)⇒子育て政策 「子育ての政策とか」 「複数人子どもがいる人への手当が(もっと)あったりすると、より少子高齢化とかも解消に向かったり、子どもを育てやすくなるんじゃないかなと」 自営業(70代)⇒関税交渉 「アメリカの関税問題、通商問題、早くクリアになることを期待しています。交渉力なんでしょう。基本的にトランプがあんな状態ですから、 強気ですよ彼らは」 会社員(70代)⇒公約を守る 「嘘をつかない人。自分の言ったことを通せるやつ。出来る、出来ないはいいから、仕事をやってくれれば良い」 与党が過半数を維持するのか。野党が過半数割れに追い込むのか。 石破総理は周囲に、「与党で過半数という目標設定が低いなんて言う人がいるけど、これでもかなりキツい」と漏らしてるといいます。 低迷している自民党が過半数は難しい? 小川彩佳キャスター: (今回の参議員選挙は)「減税」と「給付金」を巡る事実上の“政権選択選挙”と、ご覧になっているのでしょうか。 TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: そうですね。「参議院選挙」というのは通常、政権を評価する選挙なのですが、現在は与党が半数割れしています。参議院でも半数を割れれば、立ち行かなくなるということで、“政権選択選挙”になってしまっているんです。 今回、自民党は「裏金問題」をまだ引きずっています。それから、「物価高対策」になかなか有効な手が打てない。給付金をやろうとしているんですけど評判が悪い、ということで、非常に伸び悩んでいるというか、低迷しています。 与党で50(議席)という低いハードルなんですけど、実はそう簡単ではないというのが現状だと思いますね。 藤森祥平キャスター: 参議院で与党が過半数(125議席)を維持するには、今回の選挙で50の議席が必要になってくる。石破総理はこれを目標にしているということです。 スポーツ心理学者(博士)田中ウルヴェ京さん: 現状に満足していないという人が多いわけです。今は先の見えない時代ですから、簡単な解決策がない。難しい時代だというときに、政権与党としては難しい選挙になるだろうなと思います。 ポイントは「1人区」自民党の党勢の衰退がどう響くか… 藤森キャスター: 参議院選挙の鍵を握っていると言われているのが、全国30にある「1人区」です。石破総理は「新興政党の動きの分析が必要だ」とおっしゃっていて、かなり警戒しているようですね。 TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: 「1人区」というのは、地方の選挙区です。どちらかというと、経済もあんまり思わしくなくて、物価高の影響が直撃しています。そういう意味では、政権に対して不満が多いです。 その上で、自民党・安倍さんのときは保守派として右のエンジンをフル稼働していましたけど、岸田さんになって、石破さんになると、どちらかというとリベラル派寄りになってきました。「保守派」の右のエンジンがなかなか稼働しないんです。 加えて、「保守派」に参政党や保守党というグループが現れて、自民党内でも保守派側がどんどん侵食されているという現状が、自民党の苦戦の非常に大きな原因だと思います。 一方で、乱立模様だった「野党側」は少しずつ一本化が進んでいます。そういう意味では、与野党一騎打ちの「32にある1人区」が最大の焦点になると思います。 スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん: 自民党は与党として、どういうふうな訴求をしていくことがいいんでしょうか。 TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: 自民党は2025年、結党70年です。今まで、消費税を導入する、農業の市場開放するなど、国民にとっては苦い薬だけども、ときには党が結束し国民を説得して、苦い薬を飲んでもらってきた。 その自民党が全体の党勢が落ち込んでくると、そういう厳しいことも言えなくなって、ポピュリズムに走って、さらに党勢の衰退に繋がるという悪循環に今、入ろうとしているのだと思います。 藤森キャスター: 石破総理は、その都度その都度、その苦い薬を何とかこらえて飲んでもらおうとしてはいるのだけれども、またひっくり返ってしまうというのが、ここまでの流れですね。 TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: 石破総理は、確かに口では時々そういうこと言うんですけど、党内では少数勢力ですから、実行ができない。 そういう弱みが何となく出てきていて、それが選挙の中で批判を浴び始めているという状況ですね。 ========== <プロフィール> 星浩さん TBSスペシャルコメンテーター 政治記者歴30年 福島県出身 田中ウルヴェ京さん スポーツ心理学者(博士) 五輪メダリスト 慶應義塾大学特任准教授 こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰