カンニングを手助けしたことから始まる——タイの青春映画をハリウッドでリメイク『BAD GENIUS』7月11日公開

 2017年にタイで公開され、国内興行収入1位を記録したバズ・プーンピリヤ監督の長編2作目『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』をリメイクした『BAD GENIUS(原題)』が、『BAD GENIUS/バッド・ジーニアス』の邦題で7月11日から全国公開される(配給:ギャガ)。 【動画】『BAD GENIUS』インタビュー映像(3本)  オリジナル版は16の国と地域でヒットし、中国、香港、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、マカオ、フィリピンではタイ映画史上歴代興収1位を記録した。  リメイク版の製作には、フランス映画『エール!』をハリウッド版『コーダ あいのうた』としてリメイクし、第94回アカデミー賞作品賞を受賞したプロデューサー、パトリック・ワックスバーガーらが参加している。  監督・脚本を務めたのは、本作が長編映画監督デビューとなるJ・C・リー。映画や演劇、テレビシリーズの脚本を数多く手がけ、2019年のサンダンス映画祭で上映された『ルース・エドガー』で高い評価を受けた。共同脚本は『ルース・エドガー』でも組んだジュリアス・オナーが担当し、オナーはMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の『キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』でも監督を務めるなど注目を集める若手クリエイターの一人だ。  物語は、貧しい家庭に育ち特待生として名門高校に入学した天才少女リンが、落第の危機に瀕した友人を助けるため、試験中にカンニングを手助けしたことから始まる。やがてその行為が、世界をまたぐ前代未聞のカンニング計画へと発展していく。  オリジナル版の監督であるバズ・プーンピリヤは、ハリウッド版について「オリジナルと同じくらいスリリングで面白く、新しい視点や解釈を加えてより興味深い作品になった」と評価し、日本公開にあたり「ぜひ楽しんでほしい」とコメントを寄せている。  リメイク版では、主人公リンを中国系アメリカ人の女子高校生、相棒でありライバルのバンクをナイジェリアからの移民という設定に変更。アメリカ社会における大学システムの問題や「自由」という概念の幻想を問う新たな切り口が加えられている。  監督のリーは「原作を尊重しつつ、異なる観客にも響く作品にしたかった」と述べ、「一人の若者が意外なことを成し遂げるというエキサイティングなストーリーです。本作を観てリンやバンクの中に自分自身を見つけてほしい」と期待を込める。「彼らに共感できれば、行動の理由も理解できるはず。それが理解できたら、楽しめるし、何かを感じてもらえると思う」と語っている。  また「私たちは皆、人生で人より上に出るために努力しなければならないと感じています。若者たちが『自分は成功した』と思える将来のために、社会は何を求めているのかを考えてほしい」と呼びかける。  本作の舞台を2016年に設定した理由については「暗号通貨の台頭、イギリスのEU離脱、世界各地で破壊的な指導者が選挙で勝利するなど、社会不安を象徴する年だった」と説明。「混沌とした世界で将来に障壁を感じ、必死に生きようとする若者たちの姿に、多くの人が共感できるはずだ」と語る。「私たちは皆、“明日はどうなるのか”と考えています。本作の登場人物も同じです。“成功するためにはルールを書き換えなければならないのか”と葛藤している」と思いを明かしている。  主人公リンを演じるのは、新鋭のカリーナ・リャン。オーストラリアやシンガポールで暮らし、現在はトロントとロンドンを拠点に活動。シンガポールのラ サール芸術大学で演技を学び、国際試験「IGCSE Drama 2016」で“Top of the World”に選ばれた。数々の舞台や短編映画で経験を積み、近年ではスティーヴン・ソダーバーグ監督作『プレゼンス 存在』(2025年)でルーシー・リューと共演し、サンダンス映画祭でも注目を集める新星だ。  一方、努力型の秀才でリンの相棒となるバンクを演じるのは、アメリカ・フィラデルフィア出身のジャバリ・バンクス。『The Fresh Prince of Bel-Air』(1990〜96年)のリブート版ドラマ『BEL-AIR』(2022年〜)で俳優デビュー。ピアニスト、ソングライター、シンガー、ラッパーとしても活動し、多彩な才能でZ世代から支持を集めている。  バンクスもリンと同様に高い学費を奨学金でまかなう役どころで、「物語の序盤ではバンクは殻に閉じこもっていますが、リンと出会うことで本来の優しさや人間味があふれ出ます。まさに“自分らしさを見つける”成長の物語だと思います」と語っている。

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