『帝乃三姉妹は案外、チョロい。』日向未南×天海由梨奈×古賀葵×青山吉能 「優はずるいよね」4人が語る、ときめきと本音

 ひらかわあや原作によるテレビアニメ『帝乃三姉妹は案外、チョロい。』は、芸・武・文それぞれの分野で天才的な才能を持つ帝乃三姉妹と、すべてが平均以下の“凡人”・綾世優が、ひとつ屋根の下で共同生活を送るホームラブコメディー。そんな個性のぶつかり合いと心の通い合いが描かれる“帝乃家”の物語に命を吹き込むのは、日向未南(綾世優役)、天海由梨奈(帝乃一輝役)、古賀葵(帝乃二琥役)、青山吉能(帝乃三和役)の実力派声優陣。アフレコ現場で芽生えた絆、キャラクターとの向き合い方、そして作品に注がれた愛情を、4人がリアルな言葉でたっぷりと語ってくれた。 【動画】日向未南×天海由梨奈×古賀葵×青山吉能、笑いあり本音ありの“全力トーク”! ■「誰もが主人公」声優陣が感じた、原作に込められた優しさ ——原作を読まれた際の感想を教えてください。 日向:ひらかわ先生の作品は、どのキャラクターにもきちんと“人生”があって、たとえモブのような立場でも背景や想いが細かく描かれているんです。 ラブコメって、どうしても当て馬的な存在が出てきたり、光が当たりにくいキャラもいたりしますが、この作品にはそれがまったくなくて。「あ、この人また出てきた!」「今回はこんな一面があるんだ」と、読んでいて新しい発見があるのが嬉しくて。 だから読めば読むほど「この先、この人たちは何を思い、どんな選択をするのかな?」と、ずっと気になり続ける。そんな“終わらないワクワク”がある作品だと思いました。 天海:初めて原作を読んだのは、オーディションの際でした。とにかく、いただいたセリフのシーンまでには絶対に追いつこうと思って読み始めたんですが……もう、本当に面白くて! 一気に作品の世界に引き込まれてしまいました。 ひらかわ先生が描く世界は、誰かが不幸から幸せを掴むようなシンデレラストーリー的な展開がないのに、それでも物語としてすごく心が動かされて、読んでいてあたたかい気持ちになれる。そういうところがすごく好きなんです。 一輝という役を通して作品に関わらせていただいていることが本当にありがたくて、それ以上に、私自身が一人の読者としてこの物語のファンになってしまいました。 古賀:表紙の雰囲気から「ふんわりしたラブコメなのかな?」と思っていたら、中身はすごくパワフルで。そのギャップにびっくりしましたし、まるで“ボンッ!”と爆発するような勢いに圧倒されて(笑)、ページをめくる手が止まらなくなってしまって。気づいたら夢中になって、一気に読んでいました。 特に印象的だったのは、どんなキャラクターにも“物語”があるところ。三姉妹と優以外にもスポットが当てられていて、「あ、この人ちょっと自分に似てるかも」と共感できる瞬間がたくさんあって。 読み終えたあと、「家族と話したくなるな」とか、「この気持ち、誰かと共有したいな」と思わせてくれる作品でした。 青山:最初に原作を読んだとき「この作品、1ページ読むだけで感情の波が押し寄せてくる……!」という衝撃を受けました。恋愛的なキュンも、笑いも、時にシリアスも詰まっていて、そのバランスが絶妙なんです。 そしてなにより、絵の力がすごい。キャラクターたちの心の動きやテンションが、セリフじゃなくても絵だけでビシビシ伝わってくるんです。 「ここまで絵が語ってくれるなら、私も声でその先を届けたい」と強く思ったのを覚えています。三和としてこの作品に参加できて、本当に嬉しいです。 ——演じるキャラクターの第一印象、演じる際に大切にしたポイントは? 日向:1話のモノローグを読んだとき、「優くんはすごく客観的に自分を見つめられる人なんだ」と感じました。でも、そうなるまでにきっとたくさんの葛藤があったんだろうなとも思っていて。大女優として知られていた彼の母親や周囲と比べて、自分にはできないことがあると感じながらも、それを飲み込み、受け入れてきた人なんだなって。 演じる上では、三姉妹の変化に比べて、優くん自身はあまり大きく変わらないように意識しました。根本にある“優しさ”や“三姉妹を繋ぎたいという願い”がぶれないように。彼の中にある芯を、ちゃんと伝えられていたら嬉しいです。 天海:一輝の最初の印象は、もう「顔がいい!」(笑)。私にとってビジュアル的にも性格的にもいちばん刺さって、すごく惹かれました。でも、それ以上に彼女は“誰かの憧れであること”を大切にしているキャラクター。自分を磨いて、夢を追って、努力しているその姿がとても魅力的でした。 ただ、演じるにあたって最初は理想像に囚われすぎて、うまくハマらないこともあって……。そんなときに、古賀さんの言葉がすごく心に響いたんです。「もっと自由に演じていいんだ」って。そこから、一輝の“引き出し”が広がって、アフレコごとにできることが増えていった気がします。日向さん、青山さん、そして古賀さんの姿から、本当にたくさんのことを学びました。 古賀:二琥の第一印象はとにかく「かっこいい!」。小柄だけど、その内側にある芯の強さやストイックさがものすごく魅力的で、すぐに好きになりました。ただ、その強さの裏に、自分自身でも抱えている“ギャップ”や“悩み”があって。天才と言われながらも努力を重ね、悩みながら生きている姿に共感しましたし、演じる上でとても大事にした部分でもありました。 現場でも、共演者のみなさんがそれぞれに悩みながら役と向き合っていて。「みんな戦ってるんだ」って思えたことが、私にとって大きな励みになりました。あの現場で一緒にマイク前に立てたことを、すごく誇りに思っています。 青山:三和は“将棋の天才”として描かれていて、「頭のいい子」という印象が強かったんですけど、自分にそのイメージが馴染むのか最初は少し不安もあって。しかも、声のイメージが自分の中でなかなか湧かなかったんです。でも、だからこそ「自分なりの音を出そう」と思って収録に挑みました。 役作りの過程の中で印象的だったのが、原作に描かれている“三和自身の葛藤”でした。三女という立場ならではの悩みや、天才ゆえに感じる孤独がだんだんと見えてきて。私自身も上に姉と兄がいるので、「これ、わかる……」と共感できる部分がたくさんあったんです。今では、三和という存在が私の中でとても特別で、大切なキャラクターになっています。 ■「優ってずるい」三姉妹を“チョロく”する無自覚イケメンの正体 ——日向さんから見た一輝、二琥、三和の魅力は? 日向:一輝さんは、自分自身を“帝乃一輝という存在”としてしっかり確立しているところがすごく印象的でした。男役トップスターとして、「こう在るべき」と覚悟を持って立っている感じがして、その姿がとても凛としていてかっこいいんです。でも、その裏側には努力の積み重ねや、迷い、壁がちゃんとあって。それがこの作品ではとても丁寧に描かれているんです。 優と出会ってから少しずつ見えてくる、彼女の女性的な一面や照れた表情が、またすごくかわいくて……。悩みながらも前に進もうとする姿や、壁を乗り越える過程すらも一輝さんらしくて、やっぱり「この人、かっこいい!」って改めて思わされます。 二琥さんは、三姉妹の中で一番“乙女”な部分が強くて、すごくヒロイン感のある子だなって思います。表向きはとても強くてストイックな印象なんですけど、優の何気ない一言にもちゃんと心を揺らしたり、ちょっとした優しさに嬉しそうに反応したり……。そんな一面がとても愛らしくて。 それに、かわいい服や小物が好きだったりと“少女趣味”なところがあって。でも、それをすぐに表に出せるタイプではなくて、どこか奥ゆかしさがあるんですよね。 三和さんとの関係は、他の姉妹とはまた違った、すごく“対等”な関係だなと感じています。 優は三和さんのことをちゃんと見ていて、「三和さんってこういうのが好きなんだろうな」って理解しているし、三和さんもまた、姉妹のことも優のこともすごく丁寧に見ている。どこか友達のようで、でもちゃんと“お互いを認め合ってる”関係性で。心の距離が一番近いコンビなんじゃないかなって思います。その歩み寄り方がすごく自然で、見ていてとても面白いし、あたたかい気持ちになります。 ——天海さん、古賀さん、青山さんから見た優の魅力は? 青山:優は……ずるいよね(笑)。 天海:ほんと、無自覚って一番タチが悪い(笑)。でもそこが優のすごさだなって思います。三姉妹はそれぞれの分野で完璧を目指して、理想像を背負って生きてきたけど、優だけはその“完璧じゃない部分”をちゃんと肯定してくれるんですよね。どんなときも変わらない距離感で接してくれて、誰に対しても公平であろうとする。そのうえで、相手ごとに微妙に異なる“優しさのベクトル”を自然に向けてくれるから、もう心を持っていかれちゃうんです。 古賀:でも、それってただ優しいだけじゃなくて、優がたくさんの経験をして、本物を見てきたからこそ言える言葉だったり、態度なんですよね。表面だけじゃなくて、“その人の本質”をちゃんと見ようとしてくれるから、フィルターをまとって生きてきた三姉妹には、彼の言葉が深く刺さるんだと思います。たぶん、他の誰が言っても届かない。優だからこそ、三姉妹の心を揺らせるんですよね。 天海:そうそう。急にスイッチが入って“イケメンモード”になったりもするじゃないですか。あれは反則(笑)。それまで完璧を保っていた三姉妹が、急にじたばたし出すんですよ。もう、完全にやられてる。そういうギャップがたまらないし、だからこそ、優ってこの物語の中で本当に大切な存在なんだなって、読み進めるたびに実感します。 ■4人が語る“理想のキュン”とは? ——作中では“不意にキュンとする”瞬間も多いですが、みなさんの理想のキュンシチュは? 天海:私はちょっと変わってるかもしれないんですけど、最初はちょっと他人行儀だった人から、冷たくあしらわれたりする関係性にグッとくるんですよ。大人になると、距離を縮めるのって本当に難しい。でも、その関係が少しずつほぐれていって、「あ、この人、私の前でだけちょっと違う顔見せてくれてるのかも」って思えた瞬間、すごくキュンとしますね。“ここまで進めた”って思うと嬉しいし、特別な関係になれたような気がして……。そういう過程に弱いです(笑)。 古賀:私がキュンとするのは、普段絶対に弱みを見せないような子が、自分の前でだけふっと涙を見せてくれたとき。ああ、ここまで心を許してくれてるんだ……って思うと、胸がギュッとなるんです。「その顔、私に見せてくれるんですか!?」って感じで(笑)。悩みを共有してくれること自体がすごく嬉しいし、「言ってくれてありがとう」っていう気持ちにもなる。そういう“信頼から生まれるキュン”に弱いですね。 青山:私は、たとえば帰り際に「私、◯番線なんだけど……今日はそっちの電車に乗って帰ろうかな」って、自分に合わせてくれた瞬間にキュンとします。「選んでくれた」って感じがして。なんか、自分がその人の“特別”になれたような気がするんですよね。でもその分、「ちゃんと楽しませられるかな?」ってプレッシャーもある(笑)。それでも、ふとした優しさや選ばれた感覚に、やっぱり嬉しくなります。 日向:私もどちらかというと、そういう“何気ない時間を一緒に過ごす”ことにキュンとするタイプです。前に友達と遊んだ帰りに、「帰りたくないね」ってなって、終電までずっと公園で話していたことがあって。ブランコをこぎながら、あーだこーだと話して、「まだ日向といたい」って言われたとき、すごく嬉しかった。私も同じ気持ちだったから、「ああ、今この時間って本当にかけがえのないものなんだな」って、胸があったかくなりました。 天海:これからはみんなで“終電の仲”になりましょう(笑)。 青山:じゃあもう、ガラスの靴落としていきます……! ——最後に、放送を楽しみにされているみなさんへメッセージをお願いします。 日向:『帝乃三姉妹は案外、チョロい。』の見どころは尽きないのですが、私が特に好きなのは、キャラクターたちの“ヒューマンドラマ”としての側面です。演じていても読んでいても「この子、本当に生きてるな」って思うんです。それぞれ悩み方も違えば、乗り越え方も違う。だからこそ、見ている方もきっと「わかる、これ自分と似てる」と共感できる瞬間があると思います。 ぜひ、そんなキャラクターたちの心のぶつかり合いや絆に注目してほしいです。圧巻の映像美と音楽、そしてキャストの“命を吹き込んだ声”。そのすべてを、まるごと味わっていただけたら嬉しいです! 天海:私自身もこの作品のいちファンとして、本当に放送が楽しみです。映像や音楽がとても素晴らしくて、私たちが吹き込んだお芝居を、まわりのキャストさんやスタッフのみなさんが全力で支えてくれているのを感じました。家族の絆を描いた物語ですが、それにとどまらず、仲間や人と人との繋がりにも心が揺れる場面がたくさんあって、それが本当に美しいんです。 三姉妹それぞれにスポットが当たる瞬間だけでなく、サブキャラたちの想いや支えにもぜひ注目していただきたいです。見終わったあとに、「ここが良かった!」という感想をたくさん聞けたら嬉しいです! 古賀:本当にたくさんの“キュン”が詰まっている作品ですし、三姉妹のやりとりだけじゃなく、ほかのキャラクターとの関係性にもグッとくる瞬間がたくさんあります。そして、映像の美しさにもぜひご注目ください! とくに、瞳の描き方が本当に素晴らしいんです……。 見終わったあとに、「家族っていいな」「友達って大事だな」って、身近な誰かと過ごす日常が愛おしく感じられる。そんな作品になってくれたら嬉しいです。ぜひ放送を楽しみにしていてください! 青山:私たちが今までお話ししてきた以上に、アニメの中ではたくさんのキュンが次々と飛び出してきますので、「最近ときめきが足りないな……」という方にも、ぜひ見ていただきたいです! そして、映像も音楽も本当に素晴らしいですし、私たち声優陣もそれに全力で食らいつくようにお芝居をさせていただきました。演出・演技・音・絵、そのすべてに注目して楽しんでいただけたら嬉しいです。放送をどうぞお楽しみに! (取材・文・写真:吉野庫之介)  テレビアニメ『帝乃三姉妹は案外、チョロい。』は、7月9日よりTOKYO MXほか各局にて毎週水曜24時30分放送。MBSでは7月12日より毎週土曜26時8分放送。

もっと
Recommendations

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』2人のスパイダーマン登場シーンはネット掲示板で先に予想されていたため急きょ変更されていた

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021…

スピルバーグ78歳「引退するつもりは全くございません」

巨匠スティーブン・スピルバーグは現在78歳。今後も現役…

新ジェームズ・ボンド役候補にトム・ホランド、ジェイコブ・エロルディ、ハリス・ディキンソン ─ 30歳未満が検討、アーロン・テイラー=ジョンソンは外れるか

『ブレードランナー 2049』(2017)や『DUNE/デュӦ…

シャーリーズ・セロン、『オールド・ガード2』でマレットヘアにして娘に泣かれる

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)や『ワイルド・…

岩田剛典、崖から落下オファーに俳優根性「来たらやりますよ!」 

「ジュラシック」シリーズの新章始動イベントが1日、都内スタジオに…

「国宝」1か月後に“バンパイア”撮影、吉沢亮に板垣李光人「おい、ちょっと待ってくれ」

吉沢は「(役の)ギャップがあった分、めちゃくちゃ楽しかった」と回顧

昭和100年の世界で岡本太郎の芸術が爆発『大長編 タローマン』迫力の場面写真解禁

8月22日公開の同作の場面写真14点が、解禁された

昭和100年の世界で岡本太郎の芸術が大あばれ! 『大長編 タローマン 万博大爆発』場面写真解禁

映画『大長編 タローマン 万博大爆発』より、場面写真14点が解禁さ…

見取り図ラジオ公式「今日の収録で知らない人がいました…」報告にファン仰天

お笑いコンビ・見取り図のラジオ番組『スタンド・バイ・見取り図』…

山本裕典、キレてホスト挑戦を初めて放棄!? 今夜『愛のハイエナ』新章開幕!

お笑いコンビ・さらば青春の光とニューヨークがMCを務めるABEMAのド…

loading...