京都大のチームは、マウスのＥＳ細胞（胚性幹細胞）から、卵子のもとになる「卵母細胞」を作ることに成功したと発表した。 チームは２０１７年に同様の成果を論文に掲載したが、今回はより卵子に近い状態にできた。人にも共通する卵子形成の仕組みを解き明かすことにつながり、将来的に不妊治療などへの応用が期待できるという。今回の成果は３０日、国際科学誌に掲載される。 チームの斎藤通紀（みちのり）・京大教授（発生生物学）らは今回、培養の過程でビタミンＡなどを加えるタイミングを工夫した。新たな手法では、従来の方法に比べて作製効率が１０〜１００倍向上したとしている。 斎藤教授は「卵子の『一歩手前』という段階まで作製が可能となった。いずれ人でも同じことができると考えている」と話している。国の指針では、人のＥＳ細胞やｉＰＳ細胞から卵子や精子を作ることは認められているが、受精させることは禁じられている。 尾畑やよい・東京農業大教授（発生工学）の話「今回の成果で、卵子形成に必要な因子の研究が進むだろう。卵子そのものを作るまでにはまだ時間がかかると考えられ、今後の進展に注目したい」
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