2000円を切る備蓄米が店頭で販売されるようになりましたが、気になるのは新米の価格です。この秋にスーパーで並ぶ新米は、いくらで買えるのでしょうか。 6月28日・土曜日、静岡市のスーパーでは…。 (記者) 「午前8時から整理券が配布される予定なのですが、6時半過ぎの時点ですでに300人を超える人が備蓄米を求めて並んでいます」 田子重・西中原店には開店前から長い行列が…。一番前で並んでいた人は…。 (一番前で並ぶ人・70代) Q.きょう何時から並んでいる? 「2時半ごろから。(備蓄米は)どんな味がするか少し心配だったけど、たまたま知人からもらって食べたら普段のコメとそん色なかったから買うつもりになった」 この店では、予定より1時間前倒して販売を開始。オープンすると、列に並んでいた人たちは待ちに待った備蓄米を次々と手に取っていきました。販売されたのは2021年産の「古古古米」2000袋で、価格は5キロ1922円と2000円を切りました。 一方で、備蓄米以外のコメ価格を見てみると…。秋田県産や新潟県産の“銘柄米”は5キロ4000円台でした。コメの高止まりが続く状況に消費者は…。 (静岡市民・70代) 「並んで買いたくない。並ばなくて買える状態になってもらいたい」 (静岡市民) 「コメは当たり前に食べられるものかなと思っていたが、コメが貴重なものになって高価なものになった気がする」 こうした中、小泉農水相が打ち出したのが輸入米の入札前倒しです。 (小泉農水相) 「まずはコメの価格高騰を抑えてコメ離れを防ぐことが重要だと考えていますので。今回、入札前倒しを実施することと致しました」 政府が毎年、関税なしでアメリカやタイなどからコメを輸入しています。その量は一定の枠が決まっていて、約77万トン。うち、10万トンが主食用、67万トンが飼料用や加工用などです。 今回、入札が前倒しされたのは主食用の3万トン。例年9月ごろに入札が実施され民間企業に売り渡されますが、高止まりが続くコメ価格を下げるため、2か月ほど前倒しされました。 (小泉農水相) 「前倒しして実施したのは中食・外食業界からの声に応えるためです。これによって安価で安定的なコメの供給につながることを期待します」 一方で、気になるのはこの秋、販売される“新米の価格”です。 (伊藤 薫平 キャスター) 「青々とした田んぼが広がっています。こちらが3か月後に収穫を迎えるという御殿場のコシヒカリです」 約200アールの水田で米を育てている安木雄太さん41歳。他業種から転職しコメづくりは2025年で2年目。農薬や除草剤を極力抑えるなど、こだわりを持って栽培しています。 (伊藤 薫平 キャスター) 「こんにちはー。今、どんな作業をしていたんですか?」 (コメ農家 安木 雄太さん・41歳) 「今は田んぼの除草作業をしていました。除草剤を使う量を減らしたくて」 (伊藤 薫平 キャスター) 「こちらは全てJAに出す?」 (コメ農家 安木 雄太さん・41歳) 「こちらはJAには出さなくて、自分がかけた労力に見合った金額でないと続けていけないので、売り先はJAもあるし、他にも取引先があって、その中で経営者として、どこと取引するか選ぶ」 今、コメを巡り注目されているのが、JAがコメを出荷した農家に支払う「概算金」です。コメは農家からJAグループ、卸・小売業者を経て私たち消費者の手元に届くことになります。コメの価格は概算金がもとになって決まるので“新米価格の指標になる”ともいわれています。 それに伴い、新米価格も2024年を上回るよう、安木さんは期待を込めています。 (コメ農家 安木 雄太さん・41歳) 「(玄米60キロあたり)去年より3割くらい上がって約2万4500円と聞いています。概算金が上がる時点で価格は下がらないと思いました。概算金がそれだけの金額なのに新米の価格を下げるのは無理だと思うし、新米はかける手間も違うし、『御殿場コシヒカリ』はおいしいので、5キロ4000円から4500円くらいになると思います」 「概算金」をアップさせる理由について、「JA静岡経済連」は、コメの生産コストが上昇していることや、民間のコメ業者との集荷競争が激しくなっていることなどを理由にあげています。 (JA静岡経済連 長橋 隆史 部長) 「生産者の人が今コメを作るのにも経費が非常に上がってきているのも鑑みて、概算金についてはちょっと高い価格を提示させていただこうかなと思っています。緊急事態にMA米はいいと思うが基本的には、国内産で食べるものについては消費ができていけばいいのかなと思っている」 一方、JAの担当者は、新米の価格について「備蓄米や輸入米の放出によって市場に多くのコメが出回っているため、5キロ3000円台後半ぐらいに落ち着くのでは」とみています。