メルセデスAMG本気の電気自動車「コンセプトAMG GT XX」|ほぼそのままの姿で来年、登場予定?

「V8の轟音を諦めない」と宣言してきたメルセデスAMGが、つい先日、本気の電気自動車「コンセプトAMG GT XX」を発表した。最高出力1,360hp、最高速度360km/h超、5分で400km走行分充電、と満を持して投入しただけのことはある。 【画像】過去と未来を結ぶタイムレスな美しさ、コンセプトAMG GT XXのディテール(写真15点) コンセプトAMG GT XXの外観は、過去のメルセデス・ベンツ・コンセプトカーの遺伝子を受け継ぎながらも、独自の個性を確立している。1960年代後期の伝説的なコンセプトカー「C111」、そして近年の「ビジョン・ワン・イレブン」へのオマージュが随所に散りばめられ、過去と未来を結ぶタイムレスな美しさを演出している。 全長5,204mm、全幅1,945mm(ミラー含む2,130mm)、全高1,317mmの堂々とした佇まいながら、抗力係数はわずか0.198を実現。これは舞い上がるワシと同等の空力性能であり、自然界でこれを上回るのは急降下するハヤブサや全速力のイルカ程度だそうな。この優れた空力特性により、最高速度360km/h超でもアクティブエアロなしでも安定したハンドリングを実現しているという。 電気モーターはフロントにひとつ、リアに2つ設置されている。既にランボルギーニがレヴエルトやテメラリオに採用されている、イギリスYASA製(メルセデス・ベンツ傘下)アキシャルフラックスモーター(軸方向磁束モーター)である。従来の電気モーターと比べて体積は3分の1、重量は3分の2、”ピザ用の箱に収まるサイズ”というのが売り文句だ。なお、アキシャルフラックスモーターは”ディスクモーター”と呼ばれることもある、と記せばイメージしやすいだろうか? このコンパクトさの秘密は、銅線の形状にある。従来の丸い銅線ではなく、長方形の銅線を採用しているのだ。メルセデスAMGの技術者は「イタリア人がラグーソースにスパゲッティではなく平たいタリアテッレを使うのと同じ理屈」と説明する。平たい形状により、限られたスペースにより多くの銅を詰め込むことができ、パワー密度を劇的に向上させている。 コンセプトAMG GT XXの技術革新は動力性能だけにとどまらない。GT XXのボディが光ることだ。MBUXフルイドライトペイントと呼ばれるエレクトロルミネッセント技術により、導電性塗装層に微弱電流を流すことでボディが発光する。この技術、実は実験航空機のマーキングにも使用される軍事技術の民生転用なのだ。レーダー探知を回避する特性を持ちながら、コンセプトAMG GT XXでは減速時の警告や充電状態の表示という実用的な用途に活用されている。 冒頭に記した「5分で400km走行分充電」という数値の凄さを実感するには具体例が必要だろう。これは東京から仙台までをノンストップで走破できる航続距離に相当する。この超高速充電を実現するため、メルセデスAMGは高出力充電の専門企業アルピトロニック社と協力し、標準CCSコネクターで850kW超の電流を伝送する世界初のプロトタイプ充電ステーションを開発している。日本への導入時期は未定だが、この技術革新の波及効果は計り知れない。 なお、従来の電気自動車はバッテリー残量80%を超えると充電速度が急激に低下する。これは電気自動車の「アキレス腱」とされてきたが、コンセプトGT XXは80%を超えても350kWの高速充電を維持し、バッテリー温度や充電状態に関係なく一定の性能を発揮する。 シートに使用されるLABFIBERバイオテック・レザー代替素材の主要成分の一つは、リサイクルされたAMG GT3レーシングタイヤであるのはSGD'sの一環。1本のタイヤから約4�の素材が生成される。サーキットを駆け抜けたタイヤが第二の人生をシートとして歩むのは、なかなかドラマチックなリサイクルではないか。 コンセプトAMG GT XXは現状、”コンセプトカー”ではあるものの、来年の市場投入は決まっている。ほぼそのままの姿で投入される、と言われている。メルセデスAMGが本気で挑む電気自動車は、従来のガソリン車の延長線上にはない完全に新しいカテゴリーの乗り物であることが伺える。その答がコンセプトAMG GT XXであろう。 文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

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