世界的社会現象となった『イカゲーム』の完結編となるシーズン3がついにNetflixで独占配信された。主人公ソン・ギフン(イ・ジョンジェ)らは、運営側への反乱を決意したものの失敗し、失意に沈んだシーズン2。続くシーズン3は、反乱の直後から物語が動き出す。今回クランクイン!は、本作で投資に失敗した元インフルエンサーのミョンギを演じるイム・シワンと、投資詐欺に遭いゲームに参加せざるを得なくなった妊婦のジュニを演じる元IZ*ONEのチョ・ユリににインタビューを実施。本シーズンから登場した新ゲームの撮影裏や衝撃の展開についてなどネタバレを交えながら話を聞いた。 ※シーズン3の重要なネタバレに触れています。ご注意ください 【写真】二人の表情がつらい 『イカゲーム』シーズン3場面写真 ■「かくれんぼ」は心身ともにつらかった イム・シワン演じるミョンギは、暗号通貨にまつわるYouTubeチャンネルを運営していたインフルエンサー。登録者を投資に誘導し、多額の損害を与えた後にチャンネルを閉鎖し失踪。詐欺と違反行為で手配され、逃亡中の身でゲームに参加するも、ゲーム会場で元恋人のジュニと再会し、気にかける。 チョ・ユリが演じるジュニは、ミョンギの元恋人で、彼の言葉を信じて怪しげな暗号通貨に投資した結果、負債を抱え、ゲームに参加することに。ミョンギの子どもを妊娠しており、一人で育てていくことを決意。ミョンギから気にかけられるも常に拒絶し、ギフンやヒョンジュ(パク・ソンフン)、クムジャ(カン・エシム)などと協力し、生き延びる方法を探り続ける。 そんな二人を待ち受けていたのは、第4のゲーム「かくれんぼ」。参加者たちは、ランダムで青組・赤組の2つのチームに振り分けられ、鍵が配られた青組は、30分以内に出口を見つけて脱出するか、赤組に捕まらなければクリア。ナイフが配られた赤組は、青組を見つけて殺せばクリアというルールでゲームが行われる。 「最も撮影が過酷だったゲームは?」と問われた二人は、そろって「かくれんぼ」を選んだ。赤組のミョンギはナムギュ(ノ・ジェウォン)と手を組んで行動。青組のジュニは、ヒョンジュとクムジャとともに出口を探した。今回も二人は別行動で、「かくれんぼ」を通してミョンギとジュニの関係はさらに修復が難しくなっていく。 ユリが「『かくれんぼ』はとても多くの人の死が絡んだゲームでした。ミョンギとの関係にヒビが入ったことを、ゲームに参加しながら表現しなければならなかったりと、いろいろな要素がこのゲームに詰まっていたと思います。かなりつらかったです。撮影も大変でした」と語ると、続けてシワンも「実は僕も『かくれんぼ』のシーンを選ぼうと思っていました」と賛同。シワン演じるミョンギは、「かくれんぼ」で取り返しのつかない事件を起こしてしまうのだった。 ■<重要ネタバレ注意>ミョンギは「許されない選択」をした 出口を見つけ、ケガをした足を引きずりながらも、ジュニとクムジャの元へ戻ってきたヒョンジュ。「みんなで出ましょう」と喜んだのもつかの間。突如、ヒョンジュが何者かに背後から刺されてしまう。一粒の涙を流し倒れ込むヒョンジュの後ろに立っていたのは、すでにゲームをクリアしているにもかからわらず、参加者を減らし賞金を増やすために殺しを続けていたミョンギだった。ゲームが始まる前にゼッケンを交換し、「絶対助けに行く」とジュニに約束したはずなのに——。 シワンは一連のミョンギの行動について「許されない選択」だと語った。「これまでのゲームではミョンギの人間的な部分を感じることができましたが、『かくれんぼ』では“許されない選択”をしました。ミョンギの行動は本当に残念ですし、それを表現しなければいけなかったことはかなりタフでした」と神経をすり減らすような思いで演じていたことを明かす。 またジュニのそばにい続けないミョンギは「理解できない」と一蹴。「自分にガールフレンドがいたら守ってあげる。もし守ってあげられなくても、一緒にいてあげることってできると思うんです。普通はそうしますよね。なのにジュニと距離を取ったことは、ミョンギの理解できない部分の1つでした」と真っすぐな思いを述べた。 さらにシワンはミョンギを演じるにあたり、「人間は美しい心を持っているのか、それとも悪い考えを持っているのか。それらが曖昧に交差するさまを表現するのがミッションだと思っていました」と話す。天使と悪魔がささやくように、ジュニとナムギュの存在がシワンを不安定にさせていったが、そのグラデーション作りは決して容易くはなく、「善悪の境界線をどこに引くのかというのはかなり悩みまして、ファン・ドンヒョク監督にたくさん質問をしながら芝居を作っていきました」と振り返った。 一方でジュニにも大きな試練が降り掛かった。出口を探す中で、突然破水。断末魔の叫びが聞こえる迷路で、新たな命を迎えなければならなくなったのだ。ユリにとって未知数の妊娠と出産だったが、「実際に出産や育児を経験した方が見ても違和感のないキャラクターに仕上げることがミッションでした」とリアリティーのある芝居を目指して役を作り上げていったと話す。そのために産婦人科の先生に意見を聞いたり、自身の母親にも赤ちゃんの世話について話を聞いたりしたのだとか。アイドル時代から称されるユリの努力家な部分はジュニの芝居にもにじみ出ていた。 回を重ねるごとに残酷さを増していく『イカゲーム』は、シーズン3でついに完結を迎えた。シワンとジュニは、本作に出演できたことについて、何度も感謝の言葉を述べていた。海外に行った際には、『イカゲーム』きっかけで自分を知ってくれた人がいたと話すシワン。ユリは長いオーディションを経て出演に至ったそうで、ここまでの歩みの長さをかみ締めていた。心身ともに過酷な撮影だったようだが、それぞれにとって大切な作品になったそうで「本当に感謝という気持ちでいっぱいです」と晴れやかな笑顔で答えていた。 (取材・文:阿部桜子) Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン1〜3は独占配信中。