乃木坂46、櫻坂46、日向坂46からなる「坂道グループ」の2025年上半期は、別れと出会いの連続だった。歴史の礎を築いたメンバーの卒業、そして、グループに希望をもたらす新メンバーの加入。ステージでの決意を新たにした各グループの激動の“半年間”をたどる。 【写真】2025年上半期に卒業した坂道グループのメンバー ■6期生が加入した乃木坂46 4〜5期生がけん引する時代に 2023年3月以降、3〜5期生のみの体制で歴史を紡いできた乃木坂46。1月の「37thSGアンダーライブ」を経て、2月に発表された6期生の加入はグループに新風をもたらした。 2024年の春と夏に開催されたオーディションで選ばれたのは、計11人の6期生だ。グループ初の6期生曲「タイムリミット片想い」でセンターに立ち、OGの生駒里奈らを輩出した秋田県の出身である矢田萌華らは、4月のお披露目イベント「初披露の会『はじめまして、6期⽣です』」などを通じて、それぞれの個性を発揮している。 新たな力を得た一方、最も上の世代であり加入当時には12人だった3期生は、昨年の“卒業ラッシュ”を経て、本年も卒業が続き残るメンバーは5人に。2月には与田祐希が出身地である福岡県のみずほPayPayドーム福岡で有終の美を飾り、4月の「38thSGアンダーライブ」で卒業セレモニーを行った佐藤楓は5月に活動終了。26日には、中村麗乃が卒業セレモニーを行なった。 ただ、どれほど形が変わろうとも、歴史は続いていく。5月に行われたデビュー13周年記念公演「13th YEAR BIRTHDAY LIVE」では、3月リリースの38thシングル「ネーブルオレンジ」でWセンターを務めた5期生の井上和と中西アルノを中心に、4期生と5期生のメンバーがステージをけん引。グループの新たな未来を予感させた。 7月には4期生の賀喜遥香がセンターを務める、39thシングル「Same numbers」をリリース。同月5〜9月にかけて、グループの聖地である東京・明治神宮野球場を含む全国7都市16公演を巡る「真夏の全国ツアー 2025」への期待値は高い。 ■頼もしい四期生の加入で一期生全員卒業の櫻坂46は勢い新たに 2015年8月に結成された欅坂46からの改名は、2020年10月。櫻坂46としての活動は4年以上となり、本年の上半期で礎を築いた一期生全員が卒業したのは、グループの大きな分岐点となった。 2024年内にリリースした10thシングル「I want tomorrow to come」の活動をもって卒業した齋藤冬優花は、昨年12月の「10th Single BACKS LIVE!!」で卒業セレモニーが行われ、本年1月に活動を終了。3月には、欅坂46時代からグループのパフォーマンスを支える振付師・TAKAHIRO氏が主宰を務めるダンスクリエイティブカンパニー「INFINITY」への所属を発表し、ファンを驚かせた。 齋藤と同じく、10thシングルの活動をもってグループを卒業した上村莉菜は、2月に活動を終了。同月にグループは、二期生の森田ひかるが表題曲センターを務める11thシングル「UDAGAWA GENERATION」をリリースした。 その11thシングルの活動をもって卒業したのは、グループ“最後の一期生”となった小池美波だ。3月のイベント「Buddies感謝祭 2025」では卒業セレモニーが行われ、小池が5月に活動を終了して以降、グループは二〜三期生による新体制へと移行した。 ただ、その過程では新たな希望も生まれた。4月に発表された、四期生の加入だ。2024年8月にスタートしたオーディションで選ばれたのは、9人の新メンバー。グループ初の四期生曲「死んだふり」でセンターを担う山田桃実らは、YouTubeの公式ドキュメンタリー動画「櫻坂46 四期生物語 ーいま、わたしたちに、できることー」でも記録される汗と涙を流した合宿で頼もしさを増し、初の大舞台となった12日に開催の四期生単独イベント「First Showcase」で勇ましく躍動した。 グループは4月より、初の京セラドーム大阪での千秋楽を控える全国5都市11公演を巡るツアー「5th TOUR 2025 “Addiction”」を行脚中だ。 同月リリースの2ndアルバム「Addiction」に収録された、二期生の山崎天と藤吉夏鈴のWセンターによるリード曲「Addiction」で二〜三期生が全員参加だったのは、一期生“ゼロ”となったグループが新たに一枚岩となって進もうとする決意ともとれた。三期生の的野美青が初の表題曲センターを託された最新の12thシングル「Make or Break」のリリースも経て、勢いはますます加速する。 ※山崎天の崎は正式には「たつさき」 ■キャプテン交代の新体制でチャレンジングなステージに立った日向坂46 櫻坂46と同じく、上半期で一期生が全員卒業した日向坂46。前身のけやき坂46が結成されてから9年以上、2019年2月のグループ改名から5年以上の歴史が大きく動いた。 昨年に続く“卒業ラッシュ”として、1月初旬には初代キャプテンを務めた佐々木久美、佐々木美玲、高瀬愛奈が同時に卒業を発表して話題に。同月には、すでに卒業を発表していた東村芽依の卒業セレモニーが開催され、12月に卒業セレモニーを行なった二期生の丹生明里も活動を終了した。 グループの聖地である神奈川・横浜スタジアムで4月に開催し、OGの長濱ねるらもステージに駆け付けたデビュー6周年記念公演「6回目のひな誕祭」では、初日に佐々木美玲、最終日には佐々木久美の卒業セレモニーを実施。5月に開催した「13th Single ひなた坂46 LIVE」では高瀬愛奈の卒業セレモニーが行われ、二期生がグループのトップを担う新体制がスタートした。 新体制への以降を強く象徴したのが、キャプテンの交代だ。先述した「6回目のひな誕祭」の最終日には当時、副キャプテンだった三期生の高橋未来虹の新キャプテン就任を発表。ステージでは、先代の佐々木久美が高橋へ「これからあなたは、日向坂46のキャプテンとしてグループを守っていってください」と伝え、未来を託した。 そして、3月に加入を発表した五期生は、グループの多幸感を強めた。2024年8月にスタートしたオーディションによって10人が加入。グループ初の五期生曲「ジャーマンアイリス」でセンターを務める大野愛実をはじめ、東京・国立代々木競技場第一体育館で5月に開催した「おもてなし会」などで、フレッシュな笑顔を見せている。 同月には五期生の「おもてなし会」に続き、会場を同じくして新体制の初陣となった2日間にわたる「BRAND NEW LIVE 2025 『OVER THE RAINBOW』」」も開催。二期生の小坂菜緒が表題曲センターを務める1月リリースの13thシングル「卒業写真だけが知ってる」と5月リリースの14thシングル「Love yourself!」も披露した公演では、ライブ定番曲の「JOYFUL LOVE」などに頼らない、新体制を象徴するチャレンジングなステージでファンを魅了した。 直近では、二期生の富田鈴花が卒業を発表し、27日の『「Love yourself!」発売記念配信ミニライブ』で卒業セレモニーを実施。7月23日にはソロライブ「Suzuka Tomita (Hinatazaka46) One Last Live on MTV」を東京・立川ステージガーデンで開催する。 富田の活動終了後、けやき坂46に加入した当時は9人だった二期生が4人となるのは寂しい。しかし、9〜11月に開催の全国6都市13公演を巡る全国ツアーに向けてたくましさを増すグループは、着実な一歩を刻む。(文・カネコシュウヘイ) ※高橋未来虹の高は正式には「はしごだか」