能登半島地震の被災地で、小学生の持久力に低下傾向がみられることが、金沢医科大学の津田龍佑准教授（発育発達学）の研究でわかった。 持久力は、歩く、走るといった運動で筋肉や心肺機能が鍛えられることで向上する。地震後、学校が集約された地域でスクールバスによる送迎が実施されるなど、体を動かす機会が減ったことが低下に影響したとみられる。 津田准教授は、奥能登地域の男女２１７人（２０２４年度卒の小学６年生）について、国の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を分析。地震前の４、５年生時点のデータと、地震後の６年生時点のデータを比較した。この結果、持久力が必要な「シャトルラン」で、数値の低下や伸びの鈍化がみられた。 シャトルランは、制限時間内に２０メートルの往復を繰り返す種目で、学年が上がるごとに回数が増えるのが一般的だ。しかし、今回の分析で、女子は４年生時点で３９・５回、５年生時点で４５・４回と増えたが、地震後の６年生時点では４４・３回に減少。前年度の６年生（５１・２回）を下回った。 男子も、４年生時点で４７・４回、５年生時点で５２・３回と増えたが、６年生時点では５２・７回と横ばいで、前年度の６年生（５９・４回）を下回った。 このほか、足腰の筋肉を使う「５０メートル走」も、６年生時点で女子が９・４秒（前年度９・２秒）、男子が９・３秒（同９・２秒）と、男女とも前年度より０・１〜０・２秒遅くなった。 前屈やボール投げなど、体の柔軟性や運動技術が求められる種目では目立った変化はなかった。 津田准教授は「限られたデータの分析結果だが、日頃の運動が関係する種目で数値の低下がみられたのは、生活環境の変化が影響した可能性がある」と指摘。「校庭に仮設校舎が建つなど、運動場所が限られている学校も多く、体を動かす機会を増やす工夫が必要だ」と述べた。
