パレスチナ自治区ガザで病院の物資調達などの責任者を務める国際ＮＧＯ「国境なき医師団」の村元菜穂さん（３４）が２７日、読売新聞のオンライン取材に応じ、「医療や生活などあらゆる面で現地は困っている。一刻も早く停戦してほしい」と強調した。 国境なき医師団は、紛争や災害などによって人道危機に陥った地域で医療援助を行う非営利団体。ガザではイスラエルの攻撃が始まった２０２３年１０月以降、現地の医療機関で外科治療や理学療法などを行っている。今年５月時点で約１０００人のスタッフがガザでの活動に従事している。 村元さんは５月から現地で２回目の活動を始め、南部ハンユニスや中部デールバラハなどにある病院の物資調達や安全管理を担うチームをまとめている。 村元さんは「毎日のように空爆があり、ドローン（無人機）が飛んでいる。どこで誰が亡くなるか分からず、眠れない」と過酷な状況を説明した。多くの住民が野草を集めるなどして１日１食でしのぎ、ガスがないため調理用の燃料となる木材を探しているという。「何をするにも大きな壁がある」と感じている。国境なき医師団によると、鎮痛剤などの医薬品や病院で使う機材も不足している。 ガザでは食料の配布所付近でイスラエル軍の銃撃が相次ぐ。配布の度に多くの負傷者が病院に押し寄せているという。村元さんは「配布所自体が危険な地域にあり、支援は見せかけだ。（人を集めて攻撃の標的とするための）戦争の道具として使われているとしか思えない」と憤り、国際社会にこう訴えた。「世界中がイランとイスラエルの停戦に注目しているが、ガザでは食料や水がない状況が続いている。少しでもガザに目を向けてほしい」（国際部 村岡拓弥）
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