電気の回路には「抵抗」が入っているが、なぜ「ジャマなもの」をわざわざ入れるのだろうか? 生徒たちに楽しく理科を学んでほしい、友達が多くて愉快な先生の「あきとんとん」と、好奇心旺盛で、一味ちがう感性や予測不能な言動で周囲を楽しませる女の子「りりかさん」の対談形式で解説する。 ※本稿は、あきとんとん著『150分で理科のきほんがすっきりわかる おとなサイエンス』から一部を抜粋・編集したものです。 Q. 「電気を流すにはジャマ者が必要」ってホント? りりかさん:電気の回路には抵抗を入れる……って聞いたんですけど、ジャマなものなんてないほうがよくないですか? あきとんとん:入れるからには理由があるんだよ。今回は電気のイメージもつかめるように、説明していくよ。 A. ホント! 電圧の調整にはジャマ者(=抵抗)が必要! りりかさん:ジャマになるものをわざわざ入れる意味がわからないんですよね。必要なものだけを集めたほうが、効率はよくなりませんか? あきとんとん:気持ちはわかるけど、世の中必ずしも「必要なものだけ」を集めたほうが効率的になるとは限らないよ。特に、すごく長い目で見たときにね。 りりかさん:なんか深い話ですね……。具体例、ありますか? あきとんとん:……。 りりかさん:ないんですね……。 あきとんとん:「今のやりとりの価値」にいつか気づく日がくるかもしれないよ。本題に戻ろう。 りりかさん:あ、逃げた。 あきとんとん:電気を流す回路を作るときには、たいていの場合は抵抗器っていう、電気を流れにくくするものを入れるんだ! 抵抗器にもいろいろあって、炭素の仲間やさまざまな金属が使われているよ。 りりかさん:電気を流したいはずなのに、わざわざ流れにくくするのがよくわからないんですよね。なぜなんでしょうか? あきとんとん:答えはシンプルで、回路の中の電気を調節するためだね。もしくは電圧を調節するためって覚えたほうがいいかもしれないね。 「水車」や「石ころ」のようなもの りりかさん:電圧って聞いたことはあるんですけど、どんなものかイメージがつかみづらいんですよね。見えませんし。 あきとんとん:電圧は電気を押し出す力と理解しておくとわかりやすいよ。だから、電圧が大きいとその分大きい電気が流れる! ただ、流れすぎると困る場合もあるから、抵抗で調節している……って感じだね。 りりかさん:うーん、抵抗を入れる理由はわかりましたけど、わかりやすいたとえ話はありませんか? あきとんとん:よくたとえられるのは水の流れだね。高いところに川があると、上から下に水は流れようとするよね。その勢いが電圧のイメージ。実際の川の流れが電流で、そこに石だったり砂利だったり、水車があったら流れにくくなるよね。その石やら水車やらが抵抗のイメージ。 りりかさん:なるほど……! わかってきたような気がします。 電流は電圧に比例する「オームの法則」 あきとんとん:すばらしい理解力だ。それで、この抵抗、電圧、電流の関係を表しているのがオームの法則。電圧=抵抗×電流って式だね。 アルファベットを使うと電圧はV、抵抗はR、電流はIを使って表すから、V=RIだ。これを少し数学的に見て、Vをy、Iをx、Rをaと置いたら、式はどうなる? りりかさん:y=axになりますね。 あきとんとん:そう! 比例の式になるね。だから、オームの法則は比例の式なんだ! どういう比例かというと、電流Iは電圧Vに比例する式だね。電圧が電気を押し出す力だと考えると、式の意味もわかるね。 ちなみに、川の流れで説明したときに水車があったと思うけど、この水車を動かす力が電力だね。電力=電圧×電流で求められるよ。 りりかさん:たとえ話って、イメージをつかむのに役立ちますね。 あきとんとん:なんか深い話だね! 他にも具体例はあるかな? りりかさん:……。 他のクイズに挑戦するならもっと読む→「なんで水って燃えないの?」子どもに聞かれたら大人も悩む「素朴な疑問」の答えは…?【理科クイズ】 【まとめ】 ・オームの法則:電流は電圧に比例するという法則。V=RI 電圧V[V]、抵抗R[Ω]、電流I[A] ・電力:1秒あたりに消費される電気エネルギーの量。単位は[W] 電力=電圧×電流 【もっと読む】「なんで水って燃えないの?」子どもに聞かれたら大人も悩む「素朴な疑問」の答えは…?【理科クイズ】