“オンカジ汚染”のフジテレビに迫る2つの危機 芋づる式に社員が摘発の懸念、モノ言う株主からさらに“ガバナンス不全”追及も

 中居正広氏の問題が長引くなか、フジテレビを襲う新たな問題が“オンカジ汚染”だ。若手アナに幹部社員と相次いで利用が発覚。株主総会を終えたフジだが、難題はまだまだ残っている。 【写真】「3週間でマイナス18000ドル」「この一週間では、、、言えない。」…鈴木善貴容疑者の“裏アカ”最後の投稿 局内で囁かれる「さらに上の役職の利用者もいるのか」  株主総会直前の6月23日、オンラインカジノで常習的に賭博をしたとして、フジテレビ・バラエティ制作部企画担当部長の鈴木善貴容疑者(44)が常習賭博容疑で逮捕された。総会では同局の清水賢治社長が質問に対して「大変申し訳なく思う」と謝罪する一幕もあった。  世間を驚かせたのは金額の大きさと“嘘”だ。 「鈴木容疑者はおよそ5年前にオンカジを始め、今年3月から1か月半の間に1億7000万円もの大金を賭けていたと見られます。しかもフジの聞き取り調査に『22年にオンカジはやめた』と説明していたが、それは賭博罪の時効成立(3年)を見越した方便で、実際には聞き取り調査後に懲戒処分を受けてからも懲りずにオンカジを続けていたという。鈴木容疑者の悪質性を重く見た警視庁は逮捕に踏み切りました」(全国紙社会部記者)  同局の山本賢太アナ(27)もオンカジを利用した単純賭博の疑いで書類送検されたが、2人には深いつながりがある。 「鈴木さんは2023年に始まった『ぽかぽか』の制作統括で、同番組には山本アナがレギュラー出演していた。山本アナにオンカジを教えたのは鈴木さんでした。  若手だけでなく部長クラスまで摘発されたことに多くの局員が衝撃を受けた。しかも山本アナに教えた鈴木さん自身、オンカジ利用の経緯について『5年ほど前に職場の先輩から誘われた』『周りでオンカジをやっている人がたくさんいた』と供述している。局内では“さらに上の役職にもいるのでは”と訝しがる声もあり、幹部級社員が相次いで離脱することになれば、組織として立ちゆかなくなります」(フジ局員)  鈴木容疑者は2003年にフジに入社。バラエティ畑で頭角を現わし、『ホンマでっか!?TV』『アウト×デラックス』など数々の人気番組を手がけた。 「バラエティが大好きで、常に『こんな番組はどうかな』とアイデアを出す仕事熱心なテレビマン。特に明石家さんまさん(69)から可愛がられてよく食事に行っていました。さんまさんのことは、『あれだけの大御所が若手時代の約束を忘れず番組に出てくれた』と心から尊敬していた。マツコ・デラックスさんとも親交が深く、バラエティの“エース”として慕われていました」(同前)  だが、その一方で、局内では“裏の顔”の存在が囁かれていた。 モノ言う株主からさらに“ガバナンス不全”追及も  鈴木容疑者は親しい局員に対して自身のSNSの“裏アカウント”の存在を明かしていた。別のフジ局員が語る。 「鈴木さんはギャンブルの成績を記録するインスタグラムの“裏アカウント”を持っていました。彼は昔から競馬やパチンコなどあらゆるギャンブルに手を出していましたが、最も好きだったのは競艇。裏アカのアカウント名は有名な競艇漫画を連想させるものでした」  鈴木容疑者のものとされる裏アカには2022年まで投稿があり、ギャンブルの沼にハマって“闇落ち”していく鈴木容疑者の苦悩が窺える。 「裏アカの最後のあたりは、オンカジ口座の残高照会の画像とともに『3時間でマイナス18000ドル(約260万円)』『打つと涙出てくる。吐き気も』といった書き込みや、『死』や『給料全滅』という絶望的な文字が並んでいました。  鈴木さんはフジ局内の同僚や先輩から多額の借金をしていた。裏アカには消費者金融からお金を借りた際のメールもあった。フジ上層部も、『ギャンブルはほどほどにしろ』と注意していたと聞きます」(同前)  中居氏のセクハラ問題の対応を誤り、スポンサーが軒並み撤退して経営的に大打撃を受けたフジ。株主総会でも外資系投資ファンドを代表とする“モノ言う株主”から厳しい攻勢を受けたが、オンカジ問題は今後のさらなる導火線となりかねない。フジテレビに詳しい放送コラムニストの高堀冬彦氏が語る。 「鈴木容疑者は港浩一・前社長の流れを汲むバラエティ業界の有名人。中居氏問題で刷新された経営陣にとって、“旧体制”に近い鈴木容疑者の不祥事は出鼻をくじくものだったでしょう。今後、モノ言う株主からさらに“ガバナンス不全”を追及される展開になりかねない」  前述の通り、鈴木容疑者は「周りでオンカジをやっている人がたくさんいた」と供述しており、今後、芋づる式に社員が摘発される懸念もある。 「さらなる“オンカジ汚染”が明らかになれば、スポンサーから『フジが会社として対処を誤っている』という目を向けられかねない。林芳正官房長官が政府としてフジのCM出稿を再開する方針を示しましたが、違法賭博に対する局のスタンスに問題があると判断されれば、出稿再開を躊躇する企業が出てくるかもしれない。これ以上CM出稿が遅れるのは避けたいはずです」(同前)  相次ぐ社員のオンカジ問題発覚についてフジは「警察の捜査に全面的に協力するとともに、再発防止に向け取り組んでまいります」(企業広報部)と回答した。  激動の株主総会を終えてなお、難局は続きそうだ。 ※週刊ポスト2025年7月11日号

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