【参院選前に考える】“失われた30年”何を失い何を得た?「every.しずおか」津川アンカーの目線で検証・第13回(静岡)

公示まであと1週間となった参議院選挙。最大の争点は“物価高対策”とも言われていますが…その要因は何なのか? 今から30年前の1995年。阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件など社会を不安にする出来事が相次いだこの年はバブル経済の崩壊後、日本が本格的な不況に入った年と言われています。 当時とモノの値段を比べると…レギュラーガソリンは1.8倍に。コメは1.8倍。一方で、サリーマンの給料はほぼ横ばいが続いていて“失われた30年”とも呼ばれています。 街の人に30年前と比べて生活は豊かになったのが聞いてみると…。 (40代後半・サラリーマン) 「横ばいな気がして、あまり変わってない。(給料は)ちょっと増えてるけど、多分物価の方が上がっている気がする」 (70代年・金生活者) 「(現役時代)給料がほとんど上がっていないから、年金も上がらない。年金だけでは生活がいっぱいいっぱい」 (50代・女性) 「30年前と今の自分を比べたら豊かにはなってます。お金の面だけではなく、家族が増えたりとか、趣味を持ったりとか、あと自分のやりたい仕事に就いたりとか」 私たちの生活が豊かになるために本当に必要な政策とは?選挙を前に考えます。 (スタジオ解説) (津川 祥吾 アンカー) このコーナーは日々お伝えしているニュースの中から私、津川の視線で選んだ話題を取り上げるというコーナーです。きょうのテーマはこちら。 「“失われた30年”何を失い、何を得たのか?」 失われたといわれていますが、何を失って、また、何を得たのかということですね。確かに失われたもの多いかと思いますし、そういったことよくいわれますけれども、何か得られたものもあったんじゃないのかなということですね。 1990年代の初頭にバブル経済が崩壊しました。ひょっとしたら若い人はあまりご存知ないかもしれませんが、非常に株価が上がって土地の値段も上がりました。非常に景気がいいといわれていましたが、そのバブルが崩壊した後ですね、モノやサービスの値段が下がり続けるデフレというものを日本経済が経験しました。その30年間ですね。“失われた30年”と表現することがありますが、きょうは、その生活にかかる様々なものを30年前とまずちょっと比べてみて、そして、今後それがどうなっていくのか、今後の社会をどのように見たらいいのかというところを一緒に考えていきたいと思います。 まず、30年前を振り返ってみたいと思いますが…。1995年ですね。これ私の写真で…ごめんなさい。私の話なんですけど、23歳ですね。大学生でした。23歳なので本当は大学卒業してもいいんですが、学歴、正確に言うとですね、北海道大学に入りました。経済学部におりました。大学入るのに2年余計にかかりました。出るのに5年かかりました。ですから大学3年生でした。これ天文台ですね。私、学生ボランティアの天文指導員というのをやってました。それも5年やってたんですね。正直に言いますが、言う話じゃないかもしれませんけれども…。 では30年前お2人どんなことをされていたのかちょっと思い出していただいていいですか…徳増さんは、30年前何を? (徳増 ないる キャスター) 30年前、私は実は…1995年ですよね。ちょうど高校を卒業して大学に入った年が1995年で、その卒業式の時の写真なんですけれども、恥ずかしいんですが、本当にお友達とどう過ごそうとか、これから大学に入ったら、アルバイトたくさんしてみたいなとか、いろいろなことを考えていましたけれども、将来については不安でしたね。何をして、どうやって生きてこうと悩んでいた時期だったかなと思います。 (津川 祥吾 アンカー) 景気が悪くなっている…みたいなところは高校生は感じてました? (徳増 ないる キャスター) ちょっと空気感はあったかもしれないんですけれど、やはり、まだ高校生、大学生で、あまり買い物をしないので、物価高だとか物価がどうなっているかという実感があまりなかったですね。 (津川 祥吾 アンカー) 若狭さんいかがですか? (若狭 勝 弁護士) 私の写真なんでないんですか?すごく精悍な写真をお見せしたかったのですけど…。 (津川 祥吾 アンカー) 後でネットであげていただいて…。 (若狭 勝 弁護士) 私はね、この30年間、本当に激動の社会を生きてきたという感じで、もう価値観がこの30年間にすごい変わった。30年前というのは、私は東京地検の特捜部で捜査の日々。1年間に5日ぐらいしか休んでいないんですよ。そういう日を過ごしていたことから考えると、30年経った今というのは、ある意味いい労働環境が…改善されたということで、それだけすごく価値観が変わった30年。失われたということもあるけれど、やはりいろいろと価値観が変わったという意味合いの30年という風に思います。 (津川 祥吾 アンカー) なるほど。まずですね、では、この30年間いろいろなものが変わりましたが、物価についてちょっと見ていきたいと思います。 ■消費者物価指数 30年間の消費者物価指数の変化ですね。2020年を100とした数値で見てみると、ことし急に上がりましたというのが分かりますが、実はその前ですね、ずっと90いくつ…というのは、実は少しずつ値段が下がっている、物価が下がっているという時代がずっと続いてきて、ここに来て急に上がってきていると、こういう風に見ることができますが、実はこれ30年間なんですが、もうちょっと昔から見てみると、こですね、1970年、私が生まれたのはこの辺ですけれども、実は物価はずっと基本的には上がってくるトレンドにあって、そして最近また上がっていますが、実はこの30年間がむしろ異常な状態で、物価が上がらない時期が続いてきたと。 ■モノの値段 これをデフレというわけですけども、具体的にですね、どんな物価の変化があったのかということですが、この30年という見方をすると、ガソリンはこのように上がりました、おコメ上がりました。おコメなどは特に去年、昨年からものすごく上がっているというのは、みなさん最近のニュースでよくご存知だと思いますが、コーヒーも30年前と比べるとこのぐらい増えました。カップ麺、カレーライス、土地の値段という風にありますが、実は、「?」になっていますけど、この中で、1つですね上がっていないものがあるのです。どれか分かりますか? (徳増 ないる キャスター) 若狭さんどれでしょう? (若狭 勝 弁護士) それ土地だと思います。 (津川 祥吾 アンカー) そう正解は土地です。なんと土地は1/3に減っています。 (徳増 ないる キャスター) かなり減っているんですね。 (津川 祥吾 アンカー) はい。バブルのことを思い出していただくと分かると思うんですが、私もさっきちらっと申し上げましたが、バブルの時は株価が上がって、もう1つ土地がものすごく上がりました。90年に株価が下がり始めて91年に土地が下がり始めましたが…、不良債権とよく言われましたけれども、その土地を担保にしてお金を借りるとかしていましたので、なかなかそう簡単には下がらないということで、まだ30年前はかなり高かったので、その後、今、だいぶ下がってきて、今この値段という、土地の特徴があるという形でしょうか。このデフレの経済という形の中でしたけれども、30年比べると上がったように見ましたが、上がったのは実はつい最近で、ずっと上がっていなかった…このデフレ経済。若さんからは、「確かにいいこともあったよ」というお話を言っていただきましたが、経済にとってどんな影響があったと? (若狭 勝 弁護士) 経済にとってはですね、結局、物価が安定しているということは、それはそれなりにいいのかもしれないのですけれど、ただ、給料も上がらないということなので、結局そういう意味においては、給料、手取りが増えないということだとすると、やはりマインドとしては、どんどんどんどんと冷えていくという…そういう悪しき思いというのが出てくると思います。 (津川 祥吾 アンカー) このデフレ経済について、物価も上がらない、手取りも増えないけれども…物価も上がらないのなら安定しているのかなと見ることもできますが、実はこのデフレが経済に与えた影響は非常に大きいものがありました。そこは静岡の経済の専門家の方にお話をうかがってきました。 (静岡経済研究所 恒友 仁 専務理事) 「デフレというのは物価が上がらないということですね。物価が上がらないと何が起こるかっていうのは、企業収益が伸びないっていうことなので、賃金が上がって、物価がそれに伴って上がって企業の収益が上がる、このサイクルを繰り返すことによって経済成長が順調に伸びていき、それに伴ってさらにまた賃金が上がる、物価上がるという好循環が起こるのが正常な動きだと思うんですけれども、日本はそれが起こらずにデフレ状態が続いてしまったということで、これは私たちの生活を考えた時。決していい話ではない」 見せてもらったのは、海外との実質賃金の比較です。「実質賃金」は実際に受け取る給料である「名目賃金」から物価上昇による影響を差し引いた指標で労働者の購買力を表します。 (静岡経済研究所 恒友 仁 専務理事) 「日本は、1990年代初頭にバブルが崩壊しました。で、日本はですね、不良債権処理に10年以上も要してしまい、企業の新規投資が停滞し、個人消費も落ち込み、経済成長の足かせになっていた」「一方で、国際的に見ると1990年代後半から2000年代にかけて、IT革命が起こり、米国を中心に生産性が飛躍的に伸び、経済が伸びていった」 さらに少子高齢化が進んだことなど複数の要因が重なりデフレを長引かせたといいます。 一方で、ここ数年の物価高は「経済の健全な状態を表していない」と指摘します。 (静岡経済研究所 恒友 仁 専務理事) 「通常の物価上昇というのは、その経済が成長して、賃金上がって、物価が上がるのが正常なんですけど、最近の物価上昇というのは、コロナ禍からウクライナ情勢を経て供給側、つまり例えば外から輸入する原油の価格が上がってしまっただとかだとか、国内であればですね、お米の供給が需要に追いつかずに値段が上がっているという、正常、健康的な物価上昇ではないっていう意味で、非常に今は困った物価上昇と言えると思います」 (スタジオ解説) (津川 祥吾 アンカー) ■実質賃金国際比較 このそもそもデフレを脱却するべきというま1 つの大きなテーマがありましたがえデフレが脱却できたのかどうかこれ政府の言い方聞くとですねまちょっと微妙な言い方をするんですがまえデフレからは出しただろうとあるいは出すデフレは達成できたんじゃないかとま日銀なんかでもちょっとそういう言い方をします専門家の方でもちょっとこうえ言い方違うんですがただ共通するのはですねレフレは脱却してインフレ傾向に入ったけれども問題はここですね賃金が上がってないという問題ですはい この参議院選挙でもですねまさにその物価が上がってる問題物価高等対策の問題という部分と合わせて賃金が上がってこなかったこの30 年の問題えこれからどうすればいいのかっていうのがま1つ大きなテーマになるかと思います。でただですね、選挙になるとどうしてもそういった、どちらかというとネガティブな部分というものが、この30年、失われた30年ということの中で取り上げられる方が多いかと思いますが、先ほど冒頭申し上げました。一方で、この30年間で得られたものもあるのではないかということで、私はですね、こんなものがあったのではないかと思います。 ■30年間で得たもの ・働き方の変化 まず働き方の変化ですね。有給休暇有給休暇の取得率がだいぶ上がりました。30年前、私は大学を卒業して新卒で就職した頃はですね、有給などは取るものではないという風に言われてましたので、とんでもなかったなと思いますが、今だいぶ若い人を中心に、普通に取れるようになってきたと…まだまだかもしれませんが、ここはやはり大きく変わってきたと思いますね。 ・情報の進化 あるいは情報社会の進化。情報社会。95年といえば…Windows95 が発売されて大ヒットした年ですけれども。それまで社会の情報というものは組織が持っていた。それから個人がその情報にアクセスできるようになったというのがまさに95年だったかもしれません。そして 30年経つと、今、スマホの保有率が9割を超えました。当時のパソコンよりもはるかに優秀な能力を持ったスマホを多くの方々が持っていて、情報に接するだけではなくて、直接、社会に関わっていく…社会を変えようとするという力も得るようになってきたかもしれない。これはリスクもありますけれども、ある意味、まだまだ私たちが気づいていない大きな可能性を得たのかもしれないなという風に思います。 ■提言 そこで、きょうの提言はこちらです。 「“失われた30年”は、“準備の30年”と再定義」 失われた30年は逆に見るとですね、準備の30年間だったのではないか…そのように再定義することもできるのではないかということです。失われた30年間、経済はかつてのような勢いを失いました。ただ、その間に、私たちは働き方を見直したり、生活の仕方を見直したり、多くの価値観を共有できるような、そんな社会になってきたと思います。そういった意味で、私は、そんな中で思い出す言葉…こんな言葉がありますが…。 「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ」 これはですね、松下幸之助さんの薫陶を受けた経営者として有名な三洋電機元副社長・後藤清一さんの言葉なのですけれども、まさに景気が悪い時、辛い時は、その次に暖かい日が来る時のために、花を咲かせる時のために…根を生やしなさい、根を伸ばしなさいということですね 。この30年間、私たちはその根を伸ばしてきた30年間だったのではないかと、そのように捉えると、まさに、これからの30年間は新しい花を咲かせる30年間。それが私たちに課せられた宿題なのかもしれないなという風に思います。

もっと
Recommendations

「最悪!水浸しになった!」列島各地で局地的な大雨 ジメジメ蒸し暑さいつまで続く?週末は“真夏のような暑さ”に【news23】

ジメジメとした蒸し暑さが続いていますが、週末は再び、真夏のような…

イランは「核開発断念」に応じない方針、米との協議再開は「支持する」…報道官が明言

【テヘラン=吉形祐司、ワシントン=阿部真司】イランのファテメ・…

マフラーから“炎”吹く改造ランボ… 不正車検の疑いで6人逮捕

改造した「ランボルギーニ」の車検を不正に通させたとして、カスタム…

ペルー最高峰ワスカラン山で“ベテランクライマー”日本人女性遭難 1人死亡、1人救助活動中

南米ペルーにある最高峰ワスカラン山を登山中だったベテランクライマ…

グループで海水浴場で遊んでいた小学生2人溺れる…1人死亡 福岡・三苫海岸

きょう午後、福岡市の三苫海岸で「子ども2人が溺れている」と小学6年…

「反省の態度もない」“ひょっこり男”に懲役1年の実刑判決 千葉地裁松戸支部

自転車で“ひょっこり”と飛び出す男。千葉地裁松戸支部はきょう、男…

「イノシシのわなを見に行った2人が帰ってこない」と通報、2人とも山中で死亡…首などに傷

26日午後8時5分頃、徳島県内に住む高齢男性の家族から「イノシ…

反米世論広めたい中国、イラン攻撃を「国際法違反」と批判…中露主導の国防相会議で

【北京=吉永亜希子】中国山東省青島で25、26日、中露が主導す…

バレー男子日本代表、前回王者&五輪連覇のフランス撃破!フルセットの激闘制す 最多23得点の宮浦「最後まで気持ち乗せて」【ネーションズリーグ】

世界のTOP18チームが集うネーションズリーグの予選ラウンド第2週、ブ…

バレー男子日本代表、前回王者&五輪連覇のフランスを撃破!フルセットの激闘制す 宮浦健人が最多23得点【ネーションズリーグ】

世界のTOP18チームが集うネーションズリーグの予選ラウンド第2週、ブ…

loading...