第1回【佐々木朗希「60日間の負傷者リスト」入りで“今季絶望”か…ロッテOB投手は「新人賞どころか1シーズン投げ切れるか不安だった」】からの続き──。ドジャースは6月20日、佐々木朗希(23)が60日間の負傷者リストに移行したと発表した。デーブ・ロバーツ監督(53)は「あくまで手続き的なもの。回復の流れには影響ない」とコメントするが、佐々木の“回復”をめぐっては、最近になって不可解な点がいくつも浮上している。(全3回の第2回) *** 【写真】目元がソックリ? 佐々木朗希と同じく地元・大船渡高校で活躍した、弟の佐々木怜希選手。兄のメジャー挑戦と時を同じくして中央大学に進学 佐々木の病状は「右肩インピンジメント症候群」と発表されている。肩を動かす際、腱が筋肉や骨に挟まれて痛みが生じるという状態だ。難病ということはなく、特に投手は珍しくない。そのため当初は6月下旬の早期復帰説さえ流れていた。 佐々木朗希 6月20日から佐々木はようやくキャッチボールを再開させたが、一時期はノースロー調整が続いていた。アメリカの一部メディアは前半戦の復帰は絶望的と報道。それに加えて再びの負傷者リスト入りである。 ドジャースが新たな左腕ザック・ペンロッド(28)を獲得したため、ロ—スター(公式戦に出場できる40人の選手枠)を空ける必要が生じたのは事実だろう。だが当然ながら佐々木の肩の状態も懸念される。 その一方で不可解なのがデーブ・ロバーツ監督(53)の発言だ。6月に入ると佐々木の不調について「痛みが原因かどうか分からない」、「不快感で、痛みではないと思う」、「彼は調子を上げられる気がしないそうだ」などと説明したのだ。(註1) ドジャースのマーク・プライアー投手コーチ(44)も佐々木に痛みはないと断言。「故障した選手は皆、どこかでまた痛くなるんじゃないかと心配している。そういう“メンタルの壁”は乗り越えないといけない」との発言をサンスポが伝えている。(註2) またロバーツ監督も、佐々木がキャッチボールを再開したことに触れて「今は肩の痛みはないと言っていた。痛みがないというのは最も重要」と説明したという。 痛みに神経質すぎる性格 ならば佐々木の抱えている問題は肉体的なものではなく、精神的なものなのか──こう考える野球ファンもきっと多いだろう。 野球解説者の前田幸長氏はロッテ、中日、巨人の3球団で投手として活躍。先発、中継ぎ、クローザーの全てを経験した。佐々木にとってロッテの先輩投手にあたる前田氏は「多分、佐々木投手は体調が万全でないと投げられない、という精神状態なのではないでしょうか」と言う。 「痛みに敏感で、ピッチングに集中できないのでしょう。今シーズンは制球に苦しむ場面が多く、これは肩などの違和感がメンタルに影響を及ぼしたと考えられます。確かに我慢できない痛みというのはあります。そんな時は投げられなくて当たり前です。しかし、長い投手人生を歩むためには痛みや不調と上手に付き合っていく必要があります。佐々木投手はプロ野球の5年間で一度も規定投球回数に達しませんでした。自分の限界を知り、体の違和感をごまかしながらローテーションを守り切るという経験を積めていません。佐々木投手が直面している問題の原因でしょう」 大切にされすぎた佐々木 プロ野球選手の体にかかる負担は大きい。100%ベストの体調でプレーするなど絶対に不可能だ。 「投げれば投げるほど肩の状態が悪くなるのは事実です。加齢も体の様々な場所に悪影響をもたらします。痛めた場所に完璧な治療を行ったとしても、痛める前の状態に戻すのは無理です。プロ野球選手として数年も働けば、体のあちこちが常に悲鳴を上げる状態になります。そうした体調をうまくコントロールしながら、1シーズンを投げきるということがプロのピッチャーに求められているのです。ところが佐々木投手はあまりにも大切にされすぎて、常にケガをする手前で投球を回避させられてきました。これではケガとうまく付き合うという経験が得られません。そのため自分の限界も分からない。その結果が今の佐々木投手ということでしょう」(同・前田氏) 第3回【160キロの剛速球を封じた「佐々木朗希」はメジャーで成功するか…“ガラスのエース”にロッテOB投手が「マイナー行き」を勧める理由】では、プロ野球の世界でも増えつつある「無理をしない」という調整法の弊害などについて詳細に報じている──。 註1:Roki Sasaki Shut Down From Throwing Due To Right Shoulder Trouble(DodgerBlue.com:6月15日) 註2:【MLB】佐々木朗希はブルペン入り目途立たず 投手コーチ「“メンタルの壁”乗り越えないと」 右肩違和感でIL入り(サンスポ:6月11日) デイリー新潮編集部