「のらくろ」作者・田河水泡が「泡」から「包」に変えた謎…人気の四コマに厳しい現実描く

 太平洋戦争中に発行された「戦時版よみうり」紙面のデジタル化がほぼ完了し、近く読売新聞記事データベース「ヨミダス」に収載される。  戦時版は戦地や銃後の様子を伝える記事とともに、漫画「のらくろ」の4コマ連載も確認された。(メディア局専門委員 原田信彦)  デジタル化にあたっては、紙面の多くを所蔵する長野県の県立長野図書館から特別貸し出しを受けた。2024年4月、「ヨミダス」を担当する本社社員が同図書館を訪れて現物を閲覧したところ、80年を超す保存の間に紙は茶色に変色していたものの、記事は十分に判読できることを確認。本社の保存分と併せるとほぼすべてのページがそろうことも分かり、デジタル化の作業が本格的にスタートした。 「泡」は験が悪かった?  戦時版に掲載された「のらくろ」のタイトル(1944年3月1日掲載)を見ると、作者の田河水泡の「泡」の字が、サンズイが外れた「包」となっている。戦前・戦中の漫画作品に詳しい明治大学の宮本大人教授(55)によると、田河は太平洋戦争の開戦翌年ごろから「包」の字を用いるようになっていたという。時節柄、「水泡」という名前はよくないと考えたのかどうか、真相は不明だ。宮本教授は「『のらくろ』には本編から枝分かれした作品がいくつかあり、戦時版の4コマはその一つと言える」と指摘する。  田河水泡の弟子で、「のらくろ」の執筆権を継承した山根青鬼さん(89)に、戦時版の「のらくろ」4コマ連載を見てもらった。山根さんは、やなせたかしさんがモデルとなったNHKの朝ドラ「あんぱん」で漫画指導を担当。ドラマに登場する「のらくろ」の絵は山根さんが描いた。作品に目を通した山根さんは「4コマの基本をちゃんとやってらっしゃる」と感慨深げ。「田河先生には『4コマがうまく描ければ長編も描ける』と、ひたすら4コマを描かされたんだよ」と懐かしんだ。戦時版「のらくろ」は、戦況の悪化につれ、防空訓練や食料事情のひっ迫といった、銃後の厳しい現実が頻繁に描かれるようになる。「だんだん笑いがなくなってくる。時代だよ。しょうがないね」

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