マツダの最新型「高級“セダン”」がスゴい! 後輪駆動×美しすぎる「流麗」フォルムは“デザイン”にコダワリあり! 中国生産の「MAZDA EZ-6」が超カッコいい「理由」とは

美麗デザインの「MAZDA EZ-6」、実は「ベース車」があった!?  昨年2024年に長安マツダ汽車有限公司(以下長安マツダ)が発表したCDセグメントのBEV(バッテリーEV:電気自動車)セダン、「MAZDA EZ-6(以下、EZ-6)」。  グローバルモデル「MAZDA 6e」として、欧州でも今夏から販売が開始される美麗なデザインについて、デザイナーに話を聞くことができましたので紹介しましょう。 【画像】超カッコいい! これがマツダの最新型「高級“リア駆動”セダン」です! 画像で見る(30枚以上)  マツダの上級セグメントに属するこのクルマのデザインを仕上げるには、相当な苦労があったようです。 「MAZDA EZ-6」が美しすぎる理由とは  そもそもEZ-6は、マツダが出資する長安マツダが、2024年の北京モーターショーで発表したBEVセダンです。  内外装デザインはマツダが手がけましたが、実はベースとなる車両があるのはあまり知られていないかもしれません。  それは、長安汽車のプレミアムブランド深藍(ディーパル)のセダン「SL03」です。  つまりこのクルマの骨格を使いながら、マツダ独自の“魂動”(KODO)デザインをまとわせたのがEZ-6になるわけです。  ベース車があってそこに魂動デザインをまとわせるというのは、これまでにないチェレンジングなデザイン開発だったそうです。  ちなみに同じようなケースでは過去、海外向けピックアップトラック「BT-50」(ベースはいすゞ「D-MAX」)がありますが、これはほぼフロント周りのみの変更にとどまり、ボディ全体の変更は初めての試みだといいます。  しかも骨格、例えばAピラーの位置や角度、Cピラーの位置、車軸の位置も変えられないという大きなハードルがあるのですから、その制約は大きいものだったのです。  さらにバッテリーを搭載することから全高が高くなってしまうこと、かつベース車はFF的なサイドビューシルエットでした。  マツダでEZ-6のチーフデザイナーを務めた岩内義人氏は、その苦労について次のように話します。 「本来マツダとしては、車高を低くしたり、Aピラーを少し室内側に引いたり、キャビンをちょっとタイトにしたり、水平方向のキャラクターを作りたいと考えました。  しかしどうしても動かせない(前述の)箇所があり、ベース車両から印象を変えるのが難しかったですね」  そのため、開発の初期段階では非常に悩んだと明かしてくれました。 ●すっきりと「長く」見えるように  そこで様々なデザインテクニックを駆使することにしました。  まずはボディを薄く、低く見せるために、「あらゆるモチーフを水平方向に見せるために、12層に細かく分断してなるべく視線が前後方向に抜けるようにしています。これにより前後方向に長いカタマリに見えてくるのです」(岩内氏)。  洋服でも、横ストライプを着ると太ってボールドに見え、縦ストライプを着るとスリムに見えるのと同じ効果を狙ったわけです。  次に、ボディ上部にある前後のランプやドアハンドルなどを一直線に並べ、「長尺モチーフ」を創り上げました。  同時に、下回りにある「加飾や黒く落とした箇所を連続させてこちらも“長尺モチーフ”にしました」。この上下2本の長尺モチーフにより、クルマの全長を使い切り、「圧倒的な“長さ感”を演出しているのです」と説明。  こういった工夫により、スリークで長く見えるようになったといいます。 「弱点があるとそこに工夫(=テクニックや逆手に取るアイデア)が生まれます。  そこから副次的な効果として、これまでにない下部加飾のリッチなモダンさだけでなく、ウェッジの効いた初代アテンザを彷彿させるようなフレッシュなスポーティさも生まれたのです。  今回は弱点があり悩んだからこそ、従来のマツダから一歩踏み出すようなデザインができたのかなと思います」(岩内氏) 思わず嫉妬する「美しさ」!?  マツダ独自の魂動デザインでは、ボディの面や表情を創り上げる際に“艶”と“凛”という2つのワードをもとに造形しています。  艶について岩内さんは、「面に張りがあって豊かでセクシーな表情」。凛は、「フラットでシャープな緊張感のある表情です。この2つの面質のギャップを巧みに融合することで、ドラマチックな面を作っているのです」と話します。 「MAZDA EZ-6」チーフデザイナーを務めたマツダの岩内義人氏  ではEZ-6には、どのように当てはめたのでしょう。 「例えばリアのぎゅっと絞り込まれた紡錘形状ですが、相当丸みを帯びています。これが艶の表情です。  フロントフェイスは徹底した凛の表情で、モダンさを表現しています」(岩内氏)  これまでのマツダのフロントフェイスは、エアインテークやコーナーの形状で柔らかさを表現することが多かったのですが、「今回は割とスパスパッと切ったようなドライな面構成にすることで”凛“とした表情にしました」と説明しました。  またボディサイドのショルダー部分(サイドウインドウの下あたり)は、「(艶として)筋肉のようにとても張っていますが、その下にある照り面は、反り返るほどにシャープでスパッと切れている(凛の)表情としています。それらの表情によって過去最大級の“ギャップ”で極端に振り切りました」とのこと。 ●艶は15%、凜は30%アップ  これまでのモデルなどと比較すると、どのような差があるのでしょうか。 「個人的には艶は15%ぐらいアップさせて、凛が30%アップさせているようなイメージですね。  これまでにないモダンな新しさを出すため、特に凛の成分を多めに注入しています。  甘く感じさせるために、ちょっと塩を入れて甘さを引き立たせるというイメージです」  岩内氏は、そんな例え話とともに話してくれました。  その結果として生まれたEZ-6の全体のシルエットは、5ドアハッチバックをベースとしながら、ショートデッキを持たせたクーペスタイルといえるでしょう。 「スポーティかつ流麗さをまといながら、ハッチバックとしてのユーティリティにも優れている印象を与えています。  同時に魂動デザイン特有の後ろ足で勢いよく前に蹴り出す造形も表現されているでしょう。  マツダのCDセグメントセダンとしてモダンで伸びやかさが欲しかったので、(俯瞰したときに)シンプルで美しい紡錘形状を目指しました。そこに自然にタイヤのボリューム感を付け加えているのです。  いたずらに美しさの原理に反するような人工的なデザインではなく、ピュアでタイムレスな美しいデザインをやり切りました」(岩内氏) ※ ※ ※  実は岩内氏がベース車両を確認したとき、「結構レベルが高く、良い感じで出来ていてスゴいなと思い、ショックを受けました」と、正直な第一印象を語ってくれました。 「ですから中途半端な変え方をしてOEMで出したら恥をかいてしまいますので、そこを頑張って飛び越さないと絶対ダメだと気合が入りました」  そんな苦難を超えて誕生したEZ-6を、ベース車をつくった長安汽車の担当に見せたところ「『すごいのをつくって来た!』みたいな感じで、嫉妬されているんです」と少し嬉しそうに話してくれました。  欧州での販売も決まりグローバルとして展開が始まるEZ-6。セダン市場がシュリンクしているいまだからこそ、ぜひ日本にも導入し、市場の活性化を期待したいところです。

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