障がいを持つ人と大学生がともに働くカフェが、23日、姫路大学(姫路市)に設けられた。障がいを持つ人の社会参加を支援するとともに、学生には多様性への理解を深めてもらうための実践教育の場となることを目指す。 カフェの様子 　このカフェは、地元企業・福祉事務所・大学が対等な立場で連携する実践教育「インクルーシブ・プロジェクト」の一環。「インクルーシブ・プロジェクト」とは「皆同じではなく、ひとり一人が特別な存在。誰もが共に生きる社会を目指す」というもので、社会福祉法人あすか会（揖保郡太子町）の利用者と姫路大学の学生ボランティアが互いに協力し、地元の自家焙煎珈琲スタンド「ほんまる珈琲」(姫路市)の本格的なコーヒーを提供する。また、あすか会の作業所で作ったスイーツも販売する。この日は、知的障害や自閉症の症状を持つ4人と、教育学部の4年生4人が、ペアとなり、次々と訪れる学生や職員の注文に対応した。 カフェの様子 　あすか会のメンバーは、同施設が運営するカフェで働くこともあるが、外に出て、一般の人や大学生と関わる機会はあまりなく、「この日のために家で練習してきた」という人もいた。学生とコミュニケーションをとりながら接客し、福祉事務所のスタッフも「いつもより生き生きとした表情です」と驚いていた。客足が途切れると、利用者と学生が談笑する声が響いていた。 カフェの様子 　ほんまる珈琲の本丸雄一さんは、障がいがある人も集える地域の居場所、コミュニティづくりを目指して、姫路市内に自身のカフェをオープンした。今回は大学内に「出張」し、「社会に出る前の大学生が障がいを持つ人と共に働くことで気づくことがある。誰もがともに生きる社会を目指すためにどんなことが必要なのか考える機会にしてほしい」と話す。 カフェの様子 　また大学側も、「障がい者雇用が法律で定められているが、受け入れる側の理解が追い付いていない。まずは障がい者を知ることから始めていかないといない。今回をロールモデルに今後、さらにいろいろな事業所でこのような展開ができれば」と期待を寄せる。 カフェの様子 　参加した学生は、「授業でインクルーシブ・プロジェクトについて学んでいたので、この取り組みに参加しようと思った」と話し、営業終了後、「計算が困難な利用者さんが不安になるケースがあり、確認作業を協力する事で安心して作業を行うことができた」「それぞれの障がい特性に合わせて考えられる機会となり学びになった」などの感想を寄せ、「楽しかった」と振り返った。 　姫路大学は、このようなカフェを今年度、さらに数回開催する予定。