おしゃれに老いる、素敵に老いる、小さくて快適な暮らしのための、スッキリする断捨離。ところでお金は？　住まいは？　親の介護は？　お墓はどうしよう？ 日本でしばしば話題になる老い支度」だが、ドイツ人はどうしているのか？　合理的で節約を重んじているのか？　親子関係はどのようなものだろう？ 日本とドイツにルーツを持つサンドラ・ヘフェリンが、実際のインタビューをもとに綴る実用エッセイ、 『ドイツ人は飾らず・悩まず・さらりと老いる』 より、一部を抜粋・編集してお届けする。 『ドイツ人は飾らず・悩まず・さらりと老いる』　連載第27回 『年次有給休暇はなんと30日!?　「趣味」と「友達」を生涯愛するドイツ人の驚きのワークライフバランス』より続く。 「友達」の定義 「友達」の定義は、日本とドイツで少し違います。日本の社会人は忙しいので、数年に一度しか会わない人のことを「友達」と言っている人もたくさんいます。 一方、ドイツの「友達」の定義は、週末には一緒に出かけ、スポーツなどの共通の趣味を一緒に楽しむ関係が今現在もある人です。会う頻度は高めですし、まるで学生同士のように、とことん語り合ったりもします。その結果、付き合いがずっと続くのです。 たとえ昔の友人でも何年も会っていない場合、ドイツの感覚だと「友達」とは言わないかもしれません。やはり「友情のケア」をちゃんとしているということでしょう。 「友達は少なくてもいい。でもその少ない友達を大事にしたい」と話すのは、日本在住のあるドイツ人男性です。彼には「本当に親しい友達」が二人いて、そのうちの一人は15年前に趣味を通して出会ったのだとか。 「彼とはいつも本音で話をするんだ。周りの人たち、特に家族や友達のような『大事にしている人』とは、何か問題があったらその都度、自分の気持ちを全部話したほうがいい。我慢を重ねて、何も言わない時間が長くなると、それが溜まりに溜まって大きな問題になるからね。とにかくよく話してコミュニケーションを取るのが一番だと思う」 「仕事は？」の質問に「年金生活者！」と即答 東京でクラシックのコンサートに行き、あるドイツ人男性を紹介された時のこと。お互いに自己紹介をする中で、私が「お仕事は何を？」と質問をしたところ、彼は、それはそれは嬉しそうな顔で「年金生活者！」と答えました。待ち望んでいたたくさんの自由な時間を、毎日満喫している様子が伝わってきて、それ以来、私は「老後」を考える時、笑顔で「私は年金生活者！」と言えるような生活をしたいなと思うのでした。 「仕事が生きがい」とか、「一生、現役で働いていたい」という生き方も否定はしません。でも、その仕事は一生続けられる仕事なのでしょうか？　もし、会社を退職したらできない仕事だとすると、むしろ現役時代から「自由時間をたくさんもち、楽しんでいた人」のほうが老後を楽しめるのではないでしょうか。なぜなら老後は自由な時間はたっぷりあるわけですから。 「年金だけでは生活していけないから、老後も働く」という問題はもちろんあります。その一方で、日本の高齢者の多くが、「老後のために」と蓄えた資産を使わないまま、亡くなっているのです。 蓄えることと同じように「時間とお金の使い道」について友と語らう。ドイツ式に、そんな週末を過ごしてはどうでしょう？ 気取らず生きるコツ �「友達」は、毎日植木に水をやるように、絶えずメンテナンスする �「友達」だからこそ、思ったことをはっきり伝える �自信をもって「年金生活者！」と言おう 『「日本人女性は年齢を気にしすぎ」…加齢に悲観的な日本人が学ぶべきドイツ人の“年齢に悩まされない”衝撃の思考法とは』へ続く。 【つづきを読む】「日本人女性は年齢を気にしすぎ」…加齢に悲観的な日本人が学ぶべきドイツ人の“年齢に悩まされない”衝撃の思考法とは