《オンカジの”儲からない”実態》逮捕されたフジテレビPは2400万円のマイナス、280億円賭けた「バカラのカリスマ」も数千万円のマイナス 勝てない前提のイカサマか

 フジテレビのバラエティ制作部の企画担当部長で「ぽかぽか」などを担当する鈴木善貴容疑者が2024年9月から2025年5月にかけて、スマートフォンなどからオンラインカジノにアクセスし、繰り返し金を賭けた常習賭博の疑いで逮捕された。およそ1億円をかけ、2400万円のマイナスだったという。うまい話には裏がある、と言われるように、絶対に儲かる賭け事は存在しない。いや、むしろ基本的に損をするように出来ているのではないか。ライターの宮添優氏が、オンラインカジノに振り回される人たちは何で収益を得ているのかについて探った。 【写真】改正法でオンカジの広告宣伝も違法に  * * *  オリンピック選手から野球選手、お笑い芸人、最近はアイドルまで、様々な属性の有名人による利用が明るみに出て、警察の事情聴取や書類送検が相次いでいる一連の「オンラインカジノ問題」(以下オンカジ問題)。  先日、フジテレビアナウンサーによる「オンカジ」関与が発覚。社内処分と謹慎という甘い処分であったが、今度は同局の幹部候補社員が、常習的に「オンカジ」を利用したとして逮捕された。以前の記事で、筆者が「調査されている」と書いた、幹部候補とも言われていた男性社員である。フジ関係者によれば、この男性社員はオンラインカジノの他にも、海外のカジノにも頻繁に通い、同僚や会社にまで借金していたというから、マスコミ社員という「エリート」的な生活を行っていても、オンカジの魔力からは逃れられないと言うことだろうか。 「オンカジ」関連の摘発が続くが、ただ単純に「違法なギャンブル」に大多数の日本人が手を染めていた事件、とはいえないほど、様々な問題が噴出している。 「無料版」のオンカジは、日本国内からもスマホで気軽にアプリをダウンロードできる。そして、これら「無料版」の広告に日本の有名アスリートや芸能人が出演してきた。知名度が高い人物による広告出演の効果は高く、多くの日本人ユーザーが、無料版の先にある「有料版」の利用についても「合法」と誤認した可能性が高いといわれ、摘発された人々からも「合法だと思った」という供述が出ている。  だが、オンカジのほとんどが海外に本店を置く事業者であること、その本店所在地であるその国・地域では合法なカジノであることが、対策の難易度を高めている。それでも、許認可権限を持つ関係国の日本向けのサービスを停止するよう政府が働きかけたり、ネット広告などを通じたサイトへの誘導を禁止する法案が衆議院で可決されるなど、徐々に対策がすすめられている。  そしていま、捜査当局は日本人ユーザーを「オンカジ」に取り込んでいた人々の存在に注目しているという。事件を取材する大手紙社会部デスクが解説する。 「オンカジを自身のSNSで紹介するインフルエンサーの存在です。彼らは、何十万、何百万にのぼるフォロワーへ向けてオンカジを紹介し、その紹介を通じてフォロワーが登録、課金することで少なくない利益を得ていたのです。オンカジを利用して摘発された者の中には、インフルエンサーの投稿を見て手を出したという例も少なくなく、こうした紹介者についても、捜査が進んでいるようです」(大手紙社会部デスク) 逮捕された「カリスマ」の収支は大赤字  つい最近「バカラのカリスマ」と呼ばれていた、オンカジ業界における大物インフルエンサーが常習賭博容疑で逮捕されたことで、界隈に向けられていた疑惑が再燃しているという。東南アジア在住で、多くのオンライン系ギャンブル経験があるという不動産会社経営の日本人男性(40代)が打ち明ける。 「オンカジ業者の素性については、昔から色々と議論されてきました。どこがまともでどこが駄目だと。しかし、日本向けの海外のオンカジ業者は、日本人が日本国内にいてオンカジに金をかけることを知っていることは明らかなわけですから、その時点でまともな事業者ではないというしかない。最近、常習賭博の疑いで日本人の男が逮捕されましたが、彼は”明鏡止水”のハンドルネームを使い、オンカジで勝ち続ける自身の収支などを発信していました。ただ、報道されて皆が驚きました。掛け金は280億円で、個人としては過去最高額だったそうですが、その収支は実は数千万円のマイナス。オンカジをSNSで紹介するアフィリエイトで数百万円を得ていましたが、トータルでもマイナスだったのです」(オンラインギャンブルに詳しい日本人男性)  オンカジに手を出して摘発された有名人たちについて振り返ると、ほぼ全員がオンカジにおける収支は「マイナス」であったと報じられていると男性は指摘する。そして、オンカジ自体が実は「勝てない」前提であり、違法や合法という以前に「イカサマ」ではないか、と彼は言うのだ。その証左のひとつが、前出の「勝った」とSNSで吹聴していた「カリスマ」ですら収支が大きなマイナスだったことにあると続けた。 「私もかつて、かなりオンカジにハマっていたのでわかりますが、まず勝てない(笑)。今、東南アジアに点在する中国系詐欺集団の拠点に、複数の日本人がいると報道されていますが、そうした拠点では、中国系がオンラインカジノの運営にも携わっていると現地メディアが報じています。日本でもメジャーなオンカジ業者は、あまり馴染みがない小国やタックスヘイブンの地域に置かれている場合が多いです。それらの多くに中国系が関与しているのは間違いないだろうと思いますよ」(オンラインギャンブルに詳しい日本人男性)  しばらく前から、オンカジに手を出し、あっという間に数百万円の借金を抱えたあげく、SNSで「闇バイト」に募集して犯行に加担し逮捕される、というパターンも散見される。最近では、三菱UFJ銀行など大手金融機関が「オンラインカジノへの送金」が認められた場合、口座の使用を停止するとアナウンスするなど、うっかりオンカジに手を出しただけで、相当な社会的制裁を受ける可能性が高い。  社会問題として注目される犯罪は、広く世に注意喚起をするという意味もこめてなのだろう、有名人の摘発が目立つ。オンラインカジノもそういった犯罪なので、経験者人口300万人超と言われる規模ならだけではなく公務員や大企業幹部、大手マスコミ勤務者などにも、捜査の手が伸びている。今後も摘発者は増える可能性が高い。デメリットだらけのオンカジに手を出す理由は、何一つないはずだ。

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