日本国際博覧会協会（万博協会）は２３日、大阪・関西万博のシンボル・大屋根リングの一部を現在のように人が上がれる形で保存することを正式に決めた。 会場北東の２００メートルか南側の３５０メートルを、費用が抑えられる「展望台」などとして残す方針。 リングの１周２キロのうち、北東２００メートルは大阪府と大阪市が秋以降に開発事業者を公募するエリアにあり、事業者負担での保存を目指すが、応じる事業者が現れなければ開発まで猶予がある南３５０メートルを保存する。こうした方針は、国や万博協会、経済界、府・市でつくる２３日の検討会で打ち出され、同日の万博協会理事会で了承された。 検討会では、府と市が、リングの南３５０メートルを保存する場合の法的な位置づけについて、▽建築基準法の「建築物」▽同法の準用工作物（展望台）▽道路法に基づく道路施設（歩道橋）——の３案を提示した。 展望台案は、建築基準法の防耐火規定が適用されず、改修費が他の２案よりも抑えられる可能性がある。リング下部に物販店や飲食店を設置することはできないが、通行は可能だという。 検討会の方針では、建築物か展望台のいずれかとして残し、万博協会が概算費用を算出する。 吉村洋文知事は検討会後、記者団に「準用工作物（展望台）が現実的で、主軸になる」と述べ、展望台案が有力との見方を示した。 北東２００メートルの開発を希望する事業者２グループは府と市に対し、リングを保存する場合、防火対策の費用がかかることに難色を示している。府と市は事業者が保存に応じやすくするため、公募の際に展望台としての活用を促す。 一方、検討会では、管理主体や財源の議論は先送りとなった。８月末までに実務者間での合意を目指す。 府と市は、万博運営費の黒字をリングの保存費用に充てることを見越し、南３５０メートルは、剰余金の管理団体が管理主体となる案などを示した。
