【カイロ＝田尾茂樹】米国の軍事介入に対してイランが報復の構えを強める中、中東各地の親イラン勢力「抵抗の枢軸」の動向が注目されている。 　イエメンの反政府勢力フーシは２２日の声明で「イランへの攻撃が続けば、紅海の米軍資産を標的にする用意がある」と訴えた。米介入前の２１日にも「米国が侵略に関われば紅海の米船を標的にする」と主張した。 　イラクの親イラン民兵組織「カタイブ・ヒズボラ」も１５日の声明で「米軍が戦争に加われば、ためらうことなくこの地域の基地などを標的にする」と述べた。 　今のところ各勢力は具体的な動きを見せていない。これらの動向に詳しいエジプトのイスラム主義研究者アフマド・バン氏は「どう動くかはイランの対応次第だ」と話し、イランの報復方針を踏まえ、各勢力も対応を決めると推測する。イラクの民兵組織「アサイブ・アフル・ハック」は２２日の声明で「『指導者』の合図を待っている」と強調した。 　フーシは２０２２年に、イエメン内戦で暫定政権を支えてきた湾岸諸国の石油施設を攻撃したこともある。各勢力が米軍施設に加え、親米湾岸諸国の石油施設も標的にすれば、中東のさらなる混迷は不可避だ。 　弱体化する各勢力が組織の存続を優先するとの見方もある。 　フーシは米国と停戦した５月までの米軍の空爆で大きな被害を受けたとされ、米国を標的とすることへの警戒感があるとみられる。 　「抵抗の枢軸」の筆頭格だったレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも、イスラエルとの戦闘で多数の戦闘員やロケット弾を失って勢いが減退した。レバノン国内で影響力が低下し、政府による武装解除要求の圧力も受ける。米国やイスラエルはヒズボラの参戦を警戒し、米国はレバノン在住米国人に退避を命じたが、余力のないヒズボラは静観を余儀なくされている可能性もある。 　ヒズボラや、パレスチナ自治区ガザで抗戦を続けるイスラム主義組織ハマスの中には、イランが各勢力を守るために動かなかったことに不信を抱く声があるとも指摘され、イランがどこまで影響力を維持しているかも見通せない。 イラン核施設に着弾痕か、六つの穴を確認 　【ワシントン＝淵上隆悠】米ＣＮＮは２２日、米軍が地下貫通型の大型爆弾「バンカーバスター」で攻撃したイラン中部フォルドゥの核施設の衛星写真を分析した。攻撃前の２０日の写真と比較すると、地下にある施設の上部とみられる２か所の地点で三つずつ、計六つの着弾痕のような穴が確認された。ＣＮＮは、一部の建物がなくなったり、トンネルの入り口が損壊したりする被害が出ているとも指摘している。