6月22日に、国交正常化から60年を迎える日本と韓国。近年、KｰPOPやドラマなど韓国人気が高まっている日本ですが、今月、新大統領が誕生した韓国との関係は今後、どうなるのでしょうか？ 【写真を見る】推し活やボケ防止？に韓国語 学ぶ人は過去最多に “日韓関係”新大統領誕生でどうなる？ 国交正常化から60年 グルメやファッション、音楽など、観光地として人気の「韓国」。その人気はこんなところまで… （韓国語教室の生徒） 「韓国がすごく好き。アイドルの言っていることを聞き取れたり、韓国ドラマを字幕なしで見られることに憧れ」 「推しの言っている言葉が聞き取れるようになりたい」 韓国の音楽＝KｰPOPや韓国ドラマなどをきっかけに「韓国語」を学ぶ人が増えているのです。 （ハングル語学堂 金大年 代表） 「（生徒数は）かなり増えている、コロナ禍の前に比べて倍くらい。1年ごとに2～3割ずつ増えている。KｰPOPやドラマが好きな人がかなり多い。（旅行先として）韓国は近いので現地に行って使ってみたいとか。韓国語で何か伝えたいという人が多い」 “韓国語”受験者は過去最多 ｢推し｣のために学ぶファン 韓国政府が公式に認定する唯一の韓国語能力試験「TOPIK」の受験者数はどんどん増えていて、去年は4万人超えと過去最多を更新。10年前の2倍以上になっています。 レッスンを受けるこちらの親子。推しは、兵役を今月中に終え、グループでの活動再開に期待が高まる「BTS」です。自宅にはいたる所に推し活グッズが… （娘・舞さん(18)） 「（グッズを）私は使う派だけど…。お母さんは大事にしまう派」 （母・樋口薫さん(46)） 「（Q:推しのグッズが段ボール6個分以上ある？）すごいですね…」 （娘・舞さん(18)） 「（母が）楽しそうに見える。一緒の趣味というか、韓国語で質問しあったり、（親子で）話す機会が増えたと感じる」 韓国語を学ぶ人の中にはシニア層も多く、他の韓国語教室では… （チ・ヒョヌ(俳優) 推し 60代） 「ファンレターを書く時に、先生にも手伝ってもらうけど言い回しが（推し活に）役立っている。なかなか会えないからいい」 推し活以外にこんな人も… “推し活”の韓国では新大統領が誕生 （80代） 「（韓国語でコメント）先日テレビで『冬のソナタ』を見たら、字幕を見なくても90%理解できて本当にうれしかった」 「娘に介護を望めないから、ボケられないと思って（始めた）」 （80代）「（韓国語でコメント）韓国語はボケ防止の薬」 「韓流ブーム」は、2003年放送のドラマ「冬のソナタ」から始まり、その後KｰPOPアイドルなどの人気が高まり、現在は“第4次ブーム”と言われています。 その韓国に大きな動きが…。 今月4日、選挙で勝利した、李在明（イ・ジェミョン）氏が大統領に就任したのです。 非常戒厳宣言を出した尹（ユン）前大統領が職務停止となり、半年近く大統領不在の状態が続いた韓国。深まった社会の分断の解消を目指します。李在明新大統領は過去、日本に対して、“敵性国家”と表現するなど厳しい発言を繰り返してきました。 ■2022年 李在明氏のYouTubeより （共に民主党・代表(当時) 李在明氏） 「（日本は）いまだに侵略の歴史を明白に真摯に謝ることなく、慰安婦や強制徴用問題に反論し、独島（竹島）を日本の領土だと主張している」 どうなる？日韓関係 韓国料理店で聞くと… 日韓関係の改善を進めた前の政権を「対日屈辱外交」と批判してきた一方、今回の大統領選では日本を「重要な協力パートナーだ」と強調しています。 名古屋市中区にある韓国料理店。韓国人の妻と日本人の夫の2人で店を切り盛りしています。最近は韓国人観光客も多く訪れるという中、新大統領による今後の日韓関係について聞いてみると… （妻・趙玉順さん） 「心配しないでも大丈夫。国民の支持を集めないとだめだから、そう（発言）している。今は若い子たちがしっかりしているし、みんなSNSで調べているし、政治がいくら言っても自分で判断する」 （夫・佐藤利男さん） 「難しい要素はいろいろありそうだけど、どうなるか微妙やね。うまく協調して、今までみたいに少しずつ改善されればいいなと思うけど難しい」 日本を“敵性国家”と表現したことについて、日韓関係に詳しい専門家は… 良好な日韓関係　“推し活”カギに？ （南山大学 総合政策学部 平岩俊司教授） 「日韓関係を良くした尹（ユン）前政権に対して、批判するためにあえて（言ったこと）。大統領選の過程で実用主義を主張して、『日本は重要な国家である』という言い方をしているし、最初の段階でこれまでの枠組みを大きく変えようということではないと思う」 今後の日韓関係については。 （平岩俊司教授）「彼ら（韓国）にとっての最大の課題は、朝鮮半島を二度と戦場にしないこと。北朝鮮政策を軸に日韓関係に対する影響が出てくる可能性はあると思う」 平岩教授によりますと、韓国の中ではアメリカの同盟を軸に北朝鮮に対して抑止政策をとる「保守派」と、北朝鮮との関係を構築することで攻めこまれないようにする「進歩派」に分かれていて、李新大統領は進歩派にあたります。 （平岩俊司教授） 「彼ら（韓国）からすると根っこは同じだが、日本からすると全く違う政策として映るので、どういうかたちで政策協調ができるのか、日本にとっても重要な問題だから、しっかり調整していく必要がある」 「市井の人たちの交流をいかに生かしていくのかが、今後の日韓双方の首脳に求められることだろう」 日本と韓国 どう関係を築いていくのか 日本で暮らす韓国語教室の先生たちの思いは… （ハングル語学堂 韓国人講師） 「そんなに悪くならないと思っているけど、ちょっと不安。日本に住んでいるから、できればいい関係にしてほしい」 （ハングル語学堂 韓国人講師） 「2019年だったかな…“ノージャパン”日本製品の不買運動があったとき、日本が好きで行きたいけど、やっぱり周りの目を気にして（日本に）行かない人が多かった。政治活動で日本が嫌いだという行動になるのは、敵をつくりたいから、日本や北朝鮮を利用するのでは。今は敵をつくる必要はない」 6月9日、石破総理は李新大統領と初めて電話会談を行い、日韓関係を安定的に発展させることを確認しました。 6月22日には国交正常化から60年を迎える日本と韓国。民間の交流が深まる中、両国は関係をどう築いていくのでしょうか。