日常に潜む「小さな損」 「ポイントカードなどはお持ちですか?」と聞かれた際にめんどくさがって「ないです」と素っ気なく返事をしている人は、小さな損を積み重ねてしまっている。 同様に「恥ずかしいから」という理由でシニア割を使っていない人は、さらに大きな損をしているかもしれない。 実は、調べないと出てこない「シニア割」はいたるところにあり、なかには数万円もおトクになるサービスもある。 今回、本誌はあらゆるシニア割を徹底調査し、割引金額の大きなサービスと、日常的に使う可能性が高いものを厳選した。 まず割引金額の大きいものから見ていこう。 見逃してはならないのが、JRが提供しているジパング倶楽部だ。年会費3840円を支払えば、JR線で201キロ以上利用した場合に適用され、運賃・料金が1〜3回は20%オフに、4回〜20回は30%の割引が適用される。 夫婦で10万円以上おトクに! さらに、2年目以降は1回目から20回目まで30%オフが適用される仕組みだ。節約アドバイザーの和田由貴氏がこう語る。 「定期的に電車に乗って長距離移動する人はもちろん、電車での旅行をする人はすぐに元が取れます。 同じような仕組みにJR東日本とJR北海道が展開する『大人の休日倶楽部』や、JR東海の『50+(フィフティ・プラス)』、JR西日本の『おとなび』、JR九州の『ハロー!自由時間クラブ』など、地域ごとに同様のサービスがあるので、自分のエリアの割引を使うといいでしょう」 旅行に出かけるのであれば、ANAの「スマートシニア空割」やJALの「当日シニア割引」も賢く使いたい。 搭乗日当日の予約という条件があるものの、ANAは70%オフ、JALは81%も安くなる。ファイナンシャルプランナーの山口京子氏が語る。 「遠方のほうが、より金額が大きくなるので、おトク感は増します。たとえばある日の羽田−那覇。片道の通常料金は6万円弱ですが、シニア割引料金は1万7000円ほど。実に4万円以上も安くなる。夫婦ふたりなら片道で8万円、往復で16万円もトクすることになります」 ダブルでおトクな「G.G感謝デー」 そこまで旅行をしない人でも、シニア割は日常にあふれている。たとえばバスだ。 東京都は「東京都シルバーパス」、横浜市には「敬老特別乗車証」、大阪市には「敬老優待乗車証」、京都市には「敬老乗車証」など、自治体ごとにシニア割がある。 東京都の場合は2万510円の年会費が必要だが、横浜市のように免許を返納すれば無料といったように自治体ごとに制度が少しずつ異なっている。詳しくは、地元の区役所などに問い合わせるのがいいだろう。 さらに身近な買い物でもシニア割が数多くある。和田氏がおすすめするのはイオン系列の「G.G感謝デー」だ。 「毎月15日、55歳以上を対象に、電子マネーのG.G WAONや、クレジットカードのイオンカードなどで支払うと5%割引が適用されます。15日は『お客さまわくわくデー』でもあるので、WAONで支払えばポイントが2倍にもなり、ダブルでおトクとなります」 対象となるのは、全国のイオン、イオンスタイル、マックスバリュ、イオンスーパーセンター、ザ・ビッグなどのイオングループのお店だ。 和田氏は「イオンなどの大手でなくても、地場のスーパーでシニア向けに割引サービスを実施しているところは多いので、地元のスーパーで確認してほしい」と言う。 すかいらーくはいつでも5%オフ スーパーだけでなくドラッグストアでも15日はシニア割が適用されるケースが多い。和田氏が続ける。 「スギ薬局、ココカラファイン、ウエルシア、マツモトキヨシ、ツルハドラッグなど、多くのドラッグストアでシニア割があります。 たとえばスギ薬局ではアプリに登録をしてクーポンをもらいます。ココカラファインの場合は会計時に身分証を提示するだけで5%オフになります。日用品などはできるだけ15日に買いだめするように意識するといいでしょう」 買い物だけでなく飲食でもシニア割がある。山口氏がおすすめするのは、すかいらーくグループの「プラチナパスポート」だ。 「登録すると、60歳以上であれば誰でも利用可能で、会計時に5%割引が適用されます。同伴者は5名までという制限こそありますが、会計時にアプリ画面のバーコードまたはカードを提示するだけで割引が適用されるので簡単に使えるのもいい」 対象となるのは、ガスト、バーミヤン、ジョナサン、夢庵、ステーキガストなど。全国に約2100店舗ある、すかいらーくグループで使える。 映画館にもシニア割が!? また、映画館もシニア割がある。TOHOシネマズの場合は通常料金2000円が、60歳以上であればいつでも1300円で利用できる。同様のサービスが、各映画館ごとにあるので見逃さないようにしたい。 ここまで見てきたようなシニア割を駆使すれば、たとえ旅行をしていない月であっても、2万3000円も生活費を浮かせることができる。 ・食料品で—3500円(7万円→5%オフで6万6500円) ・ドラッグストアで—1750円(1万5000円→5%オフで1万4250円) ・外食で—1200円(2万円→5%オフで1万9000円) ・公共交通機関で—1万7750円(2万円→シルバーパスで月4000円) たとえ数千円の差であっても12ヵ月もあれば数万円になる。物価高のいまこそ、シニア割は最強の味方だ。恥ずかしがらずに、賢くトクすることで、暮らしを軽やかにすることができるはずだ。 「週刊現代」2025年6月23日号より “株主優待の奥義”を直伝…!6月優待は「すかいらーく」「マクドナルド」「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」に注目せよ!