【前後編の後編/前編からの続き】 一時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった国民民主党は、いわゆる「山尾ショック」の影響で支持率を大きく下げている。それにしても、この間の玉木雄一郎代表(56)の行動は、お粗末というほかない。関係者が明かした、山尾志桜里氏(50)の公認取り消しまでの全内幕をお届けしよう。 *** 【写真を見る】“美魔女”と呼ばれていた頃の「山尾志桜里氏」 前編【「玉木氏の話は全部、大ウソ」 会見前に“山尾切り”は決まっていた? 「“会見をやりたい”という山尾さんを執行部が止めていたのが真実」】では、玉木氏が“山尾切り”を決断したタイミングや、玉木氏がついている「ウソ」について、同党関係者の証言を紹介した。 玉木雄一代表 玉木氏の無責任なトンズラ体質はいまに始まったことではない。 昨年の衆院選で国民民主党候補として岡山1区から出馬した、現赤磐市議の佐々木雄司氏(54)が語る。 「私は赤磐市議を3期10年務めた後の2023年、旧知の同党岡山県連の幹部から衆院選への出馬を打診されました。ただし1区には自民党の逢沢一郎先生がいるため、小選挙区で出ても勝てる見込みはない。だから誘いに対して固辞を続けていたのですが、すると県連側が小選挙区だけでなく、“比例単独1位でも登録する”と重複立候補を提案してきたのです」 「玉木の取った行動はひど過ぎるね」 約束がほごにされないか不安だった佐々木氏は、同党の榛葉賀津也幹事長(58)から確約を得たほか、10年来の付き合いだった玉木氏からも直接、「岡山1区で必ず議席を取らせるから」との言質を得たことで出馬を決めた。 「ところが選挙直前になって、私を含め3人の候補が中国ブロックの比例1位に並記されることになり、結果、私は落選しました。選挙後、玉木さんに抗議するため携帯に連絡したのですが、何度かけても全く出ない。事務所にも連絡しましたが、梨のつぶてのままです。候補者を使い捨ての駒のように扱う政党に未来などあるはずがありません。玉木氏には本当に失望しました」 10日の山尾氏の出馬会見に出席したベテランカメラマンの堀田喬氏(79)の評も手厳しい。 「山尾の醜聞もヒドいものだから“どっちもどっち”といった声もあるけど、それでも彼女は3時間に及ぶ会見で批判の矢面に立ち続け、出馬への最低条件を乗り越えようとの姿勢は見せた。それに対し玉木の取った行動は“保身から慌ててはしごを外し、あとは知らんぷり”。ひど過ぎるね」 山尾氏、玉木氏のコメントは 山尾氏に取材を申し込んだが、 「お受けできません」 と答えるのみ。 玉木氏に公認見送りの経緯について尋ねると、 「(11日開催の)両院議員総会にて正式に決定されたものです。(一連の騒動で)党のガバナンスの不備を含む多くのご批判、ご指摘を頂いていると認識しており、改善に向けた検討を進めます」 と、榛葉幹事長名で回答した。 「早くもワンマン政党の限界が露呈した」 参院選での躍進が期待された同党だったが、そんなイケイケムードはいまや霧消したと話すのは国民民主党の国会議員である。 「玉木氏は今年3月、参院選で16議席の獲得を目標に掲げましたが、今では“10議席を超えれば御の字だ”と話す関係者が増えている。今回の山尾さんを巡る玉木氏の不手際については内心、眉をひそめる者も少なくないが、玉木氏の代わりがいないので、誰も表立って批判の声を上げようとしません。早くもワンマン政党の限界が露呈してしまった」 玉木氏は首相になりたいらしいが、とてもそんな器ではないだろう。 前編【「玉木氏の話は全部、大ウソ」 会見前に“山尾切り”は決まっていた? 「“会見をやりたい”という山尾さんを執行部が止めていたのが真実」】では、玉木氏が“山尾切り”を決断したタイミングや、玉木氏がついている「ウソ」について、同党関係者の証言を紹介している。 「週刊新潮」2025年6月26日号 掲載