《薬代はホントに増える?》ロキソニン、アレルギー薬が”保険適用外”で大炎上…医師会が猛反発する「クスリ改革」は、実はメリットだらけだった!

「このままでは患者負担が増大する!」「受診控えや薬の乱用につながり国民の健康が脅かされる」 6月11日に自民・公明両党と日本維新が合意した “OTC類似薬の保険外し” について、医師等の団体である全国保険医団体連合会(保団連)はすぐさま反対を表明しました。 OTC類似薬とは、医師の処方なしでは買えない処方薬の中で、同じ成分・効果の市販薬(OTC薬)がすでにあるもののこと。アレルギー症状をおさえるアレジオン錠、痛み止めのロキソニン錠、さらに胃腸の働きを整えるマグミット錠など、私たちにもおなじみの薬が含まれます。これらが今後、保険適用外になる可能性があるとして、ネット上では大いに批判の声が上がりました。 本当に、ロキソニンやアレジオンは気軽に飲める薬ではなくなってしまうのでしょうか? 本稿では、医師や薬剤師、持病を持つ患者らに取材し、実際の処方シミュレーションを交えて 、この期待と懸念点を解説します。 いちいち病院に行かなくても、薬がすぐ買えるように まず、今回比較する薬の分類を整理すると「処方薬」は医師の指示がなければ手に入らないもので、「OTC薬」はドラッグストアなどで市販され一部薬剤師による取扱が必要となるものを指します。そして3党合意では、「OTC薬と似ている処方薬の保険適応を見直し、あわせて処方薬をOTC薬として市販できるようにする」とあります。 つまりこれは、これまで医師の判断を必要としていた、強い効果の薬を必要としている患者が、クリニックや調剤薬局の待ち時間から解放されて好きな時に購入できるようになるとも言えるのです。そして候補として挙げられている18種類の薬剤は、いずれも海外で処方薬からOTC薬に切り替えた実績があるものです。 アトピーと喘息の持病を抱えるという35歳の男性会社員は、期待をこう語ります。 「会社によっては有給休暇が取りにくく、いちいち病院に行く時間がコストになる。これまで自分の体に合う処方薬はOTC化されていなかったのですが、今回の見直し候補に入っています。私のように症状が出やすい身からすると、薬局ですぐ買えるのはありがたい」 単純に価格の比較だけでは見落とされがちな「薬を必要としている人が、働き方や時間の制約を受けずに購入できる」というメリットもあるのです。現代人が重視するタイパの面を、医師等の団体はおざなりにしています。 一方で、国民が最も関心を持っているのは、自分が実際に支払う薬代は結局どうなるのかという部分でしょう。 そこで、現役薬剤師・医師に取材し、実際の処方に基づいたシミュレーションをしてもらいました。 実際に支払う薬代はどうなる?薬剤師と医師に聞いてみた 保険適応で処方薬を手に入れる場合は一般的に、まずクリニックで医師に処方箋を書いてもらい、つぎに薬局に行って薬を受け取るといった手順が必要です。 このとき3割負担の場合は、クリニックと薬局の診察料および調剤料で、再診の場合でも1200円前後がかかり、これに薬価自己負担分を足したものが実際に支払う金額となります。そうなるとおおむね1600円程度までのOTC薬は処方薬よりもコスパ・タイパともに良く、医療アクセスが改善すると言えます。 取材した薬剤師と医師の協力のもとシミュレーションすると、図表のとおり。花粉症や乾燥肌でクリニックを受診し、調剤薬局で処方薬を受け取ると3割負担で1500円前後。薬局でOTC薬を直接購入すると1300円程度となり、私たち利用者の実費負担はいくぶん減少、必要となる時間は大幅に節約されます。 つまり、ネット上で批判されているように、アレジオン錠やロキソニン錠が保険適用外になるからといって、使うべき薬がわかっているなら我々の実際の負担が増えるわけではないのです。 一方で、アトピー性皮膚炎や喘息の場合はOTC薬のほうが負担増になります。ただ、そもそもステロイドの塗り薬の中でも強いものや、吸入薬などは今回の見直し候補には含まれていないので、重い症状のある方は従来通り、保険診療で医師による処方薬を中心とした治療を受けることになるでしょう。 医療従事者専用サイト「エムスリー」の調査によると、こういった改革に、大病院などで働く勤務医および薬剤師の60%以上が賛成、逆に開業医の56%が反対しています。 つまり、医師のなかでも賛成派は多く、むしろ今後の医療をより良くするものだと判断しているのです。 ・・・・・・ 【つづきを読む】『「ロキソニンの保険外し」で大炎上…「OTC薬見直し」は本当に悪なのか?医師・薬剤師が明かす、その「知られざる恩恵」』 【つづきを読む】「ロキソニンの保険外し」で大炎上…「OTC薬見直し」は本当に悪なのか?医師・薬剤師が明かす、その「知られざる恩恵」

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