【ワシントン＝淵上隆悠、カイロ＝田尾茂樹】米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは１８日、複数の関係者の話として、トランプ米大統領がイラン攻撃の計画を承認したと報じた。 　イランの核開発放棄の意思を確かめるため、最終命令は保留している。イスラエルとイランの交戦は２０日で１週間となるが、攻撃の応酬は激化するばかりで、収束に向かう兆しは見えない。 　報道によると、トランプ氏は１７日深夜に攻撃計画を承認した。米ＣＮＮによると、戦闘長期化のリスクなどについて、政権内で分析が続いているという。 　トランプ氏は１８日、記者団に「何事も遅すぎることはない」と語り、イランとの交渉がまだ可能との見方を示した上で、「最終決定はしていない。私は期限の１秒前に決断を下すのが好きだ」とも述べ、ぎりぎりまで検討する姿勢を見せた。 　ヘグセス米国防長官は１８日の上院公聴会で「我々の仕事は大統領に選択肢を用意することだ」と述べた。 　米国の軍事介入の可能性が高まる中、イラン国営通信によると、カゼム・ガリババディ外務次官は１９日、「軍事の決定権者があらゆる選択肢を検討している」と話し、米国をけん制した。一方でイラン外務省は１９日、アッバス・アラグチ外相が２０日にジュネーブで欧州３か国側と核問題を協議すると発表した。交戦開始後、イラン側と西側諸国との直接協議は初めてで、行方が注目される。 　イスラエルとイランの攻撃の応酬は１９日も続いた。イスラエル軍は、使用されていないアラク重水炉がある西部ホンダブの核施設を空爆した。炉が修復され、核兵器開発に使用されるのを防ぐためとしている。 　１８日には首都テヘランの警察本部や、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどに提供されていた対戦車ミサイルの生産拠点なども攻撃した。イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は１９日、ＳＮＳで、政府機関などへの「攻撃強化を指示した」と明かした。 　イランも徹底抗戦の構えを崩しておらず、イスラエル民放チャンネル１２によると、１９日にはイスラエル南部の病院などがミサイル攻撃を受け、２７０人以上が負傷した。カッツ氏は「戦争犯罪だ」と非難したが、イラン側は「軍施設を狙った」と反論した。 　被害はイラン側で大きく膨らんでいる。死者数は、イラン側の６３９人（在米人権団体発表）に対し、イスラエル側は２４人（政府発表）となっている。