立憲民主党の野田代表は、内閣不信任決議案の提出を見送る意向を固め、野党幹部に伝えました。 日本テレビ政治部・官邸キャップの平本典昭記者が「なぜ？不信任案提出『見送り』」「野田代表の心の内は？」「今後の展開は？」の3つの疑問について解説します。 ──まず、直球で聞きます。なぜ、不信任案提出は見送りになったのでしょうか？ 政治部官邸キャップ　平本典昭記者 「まず、最新情報をお伝えします。野田代表は午後になって一気に動きました。野党幹部と相次いで会談し、見送る意向を伝えました。主に2つの理由で提出は見送る、と。1つ目はアメリカとの関税協議が続いていること、2つ目は中東情勢が緊迫化している、そうした中で『政治空白』を作ってはいけないと」 「実は、ある立憲幹部はもう1つ、理由を取材に明かしています。『いま、衆議院で野党は過半数を持っている。衆議院を解散して議席数を増やす必要はない。参院選に専念すればいい』というものです」 「19日夕方、相次いで野党幹部に伝えました。いま、少数与党国会つまり野党が過半数を持つ中、その野党のパワーが出るのは『結束』した時です。なので、野田代表は不信任決議案を出すかどうか大事な決断をする前にまずは、野党の他の党首に仁義を切った形といえます」 ──では2つ目。この決断をした野田代表の心の内は？ 政治部官邸キャップ　平本典昭記者 「野田代表はこの決断、悩みに悩んでいたとみています。なぜなら『不信任案の決断』がこれまでと違うからです。石破首相は一貫して『不信任案が提出されれば即、解散する』という意向を示しています。ですので野田代表の決断に、ある立憲幹部は『事実上の総理大臣しか持たない解散権の行使』と同じくらい重い決断、と話しています」 「野田代表にはトラウマがあります。2012年、自身が首相として衆院の解散を決断しましたが、選挙で惨敗し、自民党に政権の座を奪われた苦い思い出があり、衆院選になるかもしれない今回、『決断に失敗は許されない』と、悩みに悩んでいるわけです」 「立憲内には『東京都議会議員選挙、参院選を控え、石破内閣への対決姿勢を強めるべき、不信任を提出すべき』という声も根強かったのです。一方で、野田代表の頭の中には『不信任案を提出し、衆院選となれば、多くの立憲民主党議員が議席を失うかもしれない』という弱気の考えも横切っていたと思います。このはざまで、決断は揺れに揺れていたとみています」 ──では、今後の展開は？ 政治部官邸キャップ　平本典昭記者 「野田代表はこのあと会見を開く予定です。理由について説明するとみられます」 「提出された場合、石破首相が衆院の解散に踏み切り、衆議院と参議院の同日選挙が行われるのではとの見方もありましたが、これで見送られることになります。そして今回の野田代表の決断が、都議会議員選挙、参議院選挙にどういった影響が出るのかが焦点となります」