【解説】関税協議 日米首脳、なぜ合意に至らず?

G7サミットにあわせカナダを訪問している石破首相は、アメリカのトランプ大統領と会談しました。いわゆるトランプ関税をめぐる協議では全体合意に至らなかった一方、担当閣僚による協議を加速化させることで一致しました。 協議はなぜ合意には至らなかったのか、石破首相に同行している日本テレビ政治部・官邸キャップの平本典昭記者が解説します。     ◇ ——交渉では進展した部分もあったのでしょうか? 交渉の最前線にいる関係者に話を聞きました。協議は「対立、決裂というより落とし所の探り合い」になってきているということです。 別の外務省関係者は「原理原則論の対立から本当にダメなものが何か本音の議論に入っている」と話しています。そういう意味で協議は「進展」していますが「完全な合意」まではいかなかったようです。 ——「進展」の具体的な中身は明らかになっていないということでしょうか? はい、そうです。 ——石破首相はマル秘プランを用意していたのでしょうか? まず交渉の構図を整理します。アメリカが日本に求めているのは、貿易赤字の解消です。 日本はこの要求に応えるため、鉄鋼や造船などアメリカへの投資プランを示してきています。関係者によると、「ゴールデン・インベストメント・プラン(GIP)」とトランプ大統領の好きな「金」にちなんだ「黄金の投資計画」と呼んでいるそうです。 今回、新たな投資計画も伝えたということです。その様子を直接みた関係者は「大統領も関心を示していた」と話しています。 ——トランプ大統領が日本側の要求を受けいれる姿勢を見せたと捉えられますか? 日本がアメリカに求めている最も重要なものは、自動車関税25%の撤廃です。交渉に同席した関係者の1人は、今回の協議で「トランプ大統領も何がなんでも25から譲らない というわけではないと感じた」と話しています。 そして、日本側も「撤廃」つまりゼロではなく、どこまで現実的な妥協案があるか検討に入っているようです。 双方が妥協点を探り合うなか、17日は決定権者であるトランプ大統領が「イエス」と言うまでには至らず、閣僚でもう少し詰めてくれとなったというわけです。 ——次の直接交渉はいつ? そして合意は? 来週、オランダでNATO首脳会議があります。トランプ大統領も出席する予定です。その場で、次の会談を行う方向で調整しています。 今、不安要素が1つあります。ある外務省幹部は「中東情勢が泥沼化すると、相手をしてもらえなくなる」と関税協議に影響が出ることを心配しています。また、ある野党党首は「協議は全く前進していない。成果はゼロだ」と厳しくみています。 次のトップ会談で合意に至るのか、石破首相は会談後、周辺に「日本が積み上げられるものは全て積み上げている。トランプ大統領が日本を信頼して決断してくれるかだ」と話しています。

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