公認取り消し騒動「山尾志桜里氏」が国民民主党を訴えたらどうなる? 法曹家が忠告する「勝訴の可能性はあるけれど……」

 第1回【「謝罪会見」翌日に“公認見送り”は国民民主の大失態…ハシゴをはずされた「山尾志桜里氏」が“不倫質問”に耐え続けた2時間半は何だったのか?】からの続き──。山尾志桜里氏は国民民主党を相手取って訴訟を起こすべきだ、という意見がネット上などで散見される。(全2回の第2回)  *** 【写真を見る】“美魔女”候補と呼ばれていた頃の山尾氏  山尾氏が6月12日に発表した文書「両院議員総会での公認取消決定について」によると、そもそも山尾氏に出馬を要請したのは国民民主党の玉木雄一郎代表だった。担当記者が言う。 「山尾さんと玉木さんは2009年8月の衆議院選挙で共に初当選した“同期議員”で、2人とも旧国民民主党に所属していた時期もありました。要するに政治家として仲が良く、玉木さんはいわば三顧の礼を尽くすようにして山尾さんに出馬を打診したわけです。ところがネット上で山尾さんに対する批判が集中すると、手の平を返したかのような玉木さんの態度が文書には詳述されています。そして6月10日に山尾さんが2時間半に及ぶ会見を終えると、翌11日に国民民主党は山尾さんの公認内定を取り消してしまいました」 “出馬会見”に臨んだ山尾氏だったが  この騒動で山尾氏が被った精神的苦痛は相当のものがあるだろう。国民民主党に慰謝料を請求する訴訟を起こすことだってできるはずだ──こうした意見がネット上で拡散している。  しかし検察官と衆議院議員の経験を持ち、現在は弁護士として活躍する若狭勝氏は「もちろん山尾さんが国民民主党に訴訟を起こすことは可能です。裁判所が山尾さんの訴えに理解を示す場面もあるでしょう。ただし、もし本当に提訴に踏み切れば『労多くして功少なし』という結果になると思います」と指摘する。 「公認」と「公認内定」の違い 「山尾さんの側が入念な訴訟準備を行い、法廷で丁寧な立証や主張を行えば、ひょっとすると勝訴できるかもしれません。ただし名誉が一気に回復するような高額の慰謝料が認められる可能性は低いでしょう。勝訴したとしても、いわゆる“辛勝”というレベルだと考えられます。そもそも大学生が企業から内定を取り消された、という場合とは異なり、山尾さんは参議院選挙に出馬しようとしていたわけです。出馬会見では高い水準の説明責任が求められますので、記者とのやり取りで精神的苦痛が認められるとは考えにくい。国民民主党が公認内定を取り消したことも、政治家になろうという人間ならある程度は我慢すべき、と裁判所が判断する可能性はあると思います」(同・若狭氏)  山尾氏は文書の中で《党から正式な公認内定を受けても、党の都合で排除されてしまう政党では、志ある方も今後立候補の決断に躊躇してしまうのではないでしょうか》と指摘している。ここで注目すべきは「公認内定」という言葉だ。 「つまり正式な公認ではない可能性があるわけです。やはり正式な『公認』を取り消されたのと、『公認内定』を取り消されたのとでは、裁判所の評価が変わる可能性があります。もし裁判所が山尾さんは『公認』を取り消されたのではなく、『公認内定』を取り消されたのだと認めれば、たとえ勝訴しても慰謝料が低く抑えられるかもしれません。いずれにしても、山尾さんと国民民主党が裁判で激しく争うような事態になれば、率直に言って、彼女のイメージが悪くなることはあっても、良くなることはないでしょう。裁判を起こしても『労多くして功少なし』という結果になると予想する最大の理由です」(同・若狭氏) 一寸先は闇  衆議院議員の経験も持つ若狭氏に改めて今回の騒動をどう見ているか質問を依頼すると、「玉木さんの見通しが甘かったということでしょう」と言う。 「玉木さんは昨年の11月、女性との不倫を認めて謝罪しました。この時の有権者は玉木さんをそれほど批判しなかったので、山尾さんも自分と同じように乗り切れると考えて公認内定を出したのではないでしょうか。政治の世界で怖いのは、たった一つのミスでも党の支持率を致命的に低下させることがあることです。2017年に小池百合子さんが表明した『排除の論理』で希望の党の支持率が激減したことは、私も関係者の一人として目の当たりにしました。飛ぶ鳥を落とす勢いのある政党のほうが、かえって落とし穴に落ちる可能性がある。まさに一寸先は闇という格言の通りだと思います」  第1回【「謝罪会見」翌日に“公認見送り”は国民民主の大失態…ハシゴをはずされた「山尾志桜里氏」が“不倫質問”に耐え続けた2時間半は何だったのか?】では、改めて国民民主党の山尾志桜里氏に対する“ひどい仕打ち”について詳細に報じている──。 デイリー新潮編集部

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