津波や液状化など大きな被害をもたらした新潟地震から61年となる6月16日、 各地で避難訓練が行われました。新潟市の小学校では能登半島地震の教訓から設置された鍵ボックスを地域の住民がはじめて使用しました。 昼過ぎの校舎に響く非常ベル。新潟市東区にある桃山小学校では新潟地震が起きた時間に合わせて避難訓練が行われました。 61年前の1964年6月16日に発生した新潟地震。津波や液状化により被害が拡大し、県内では14人が亡くなり、3277世帯の建物が全壊しました。 海から近い桃山小学校。津波警報が出た想定で、校舎の3階と4階への垂直避難の動きも確認していました。その裏で行われていたのは地域住民の避難訓練です。こちらのボックスから学校の鍵を取り出し自力で校舎内に避難するといいます。非常用ベルが鳴ると… （リポート） 「いま緑色のランプが点滅しました。遠隔操作の鍵ボックスが開いたことを表しています」 能登半島地震では避難所の鍵を持つ管理者が現れず、窓ガラスを割って避難したケースが市内で11件ありました。 新潟市はこれを踏まえ、避難施設に暗証番号式や遠隔操作式の「鍵ボックス」を導入しています。計315の施設で鍵を持っていなくても避難所を開けられるようになりました。16日、はじめて使用した住民は… 〈住民〉 「前の時は、ああいうものがなくて暗証番号でやってた。それが今回遠隔でやってくれるので、その分落ち着いて（避難）できる」 訓練を終えた児童と住民はその後、新潟地震の当時、桃山小学校で5年生の担任をしていた鍋谷總子さん（88）の話を聞きました。 相次ぐ余震で避難するのも大変だったといいます。 〈鍋谷總子さん〉 「また余震がきました。階段、真っ直ぐ登れません。グラグラグラ。体が手すりの方にぶつかって、今度は反対に壁の方にぶつかったりしながら教室へ行きました」 みんなでグラウンドに避難したといいます。 〈鍋谷總子さん〉 「その時です。ドーンとすごい音がしました。地震？いや違うと思って、後ろを振り向いたら昭和石油の石油タンクが爆発しました。最初に真っ黒い煙がどーっと空に上がりました。そのうちに赤いちろりちろりとした炎が見えたと思ったら、真っ赤な火の玉の様なものが空に向かってドーンと上がりました」 飲まず食わずで近くの中学校や大学などに避難を繰り返しながらも、3日2晩かけて誰一人欠けることなく全校児童を保護者に引き渡したといいます。 〈鍋谷總子さん〉 「自分だったら、こういう時どうする？どうしたらいいか。ということを、きょう家へ帰ったらおうちの人たちと話し合ってみてください」 〈児童〉 「避難の仕方は昔と今とは少し違うと思うので、昔のやり方と比べることも大切だと思います」 「訓練でもしゃべらず、ふざけないでしっかりやることが大切だと思いました」 当時、大きな被害を出した石油コンビナートでの火災。16日はタンクで火災が発生した想定での訓練も行われました。消防のはしご車などが集まり、高さ約20メートルから一斉に放水します。 新潟地震の石油コンビナート火災は鎮火まで2週間かかりました。16日の訓練には複数の消防署や事業者が参加し消火活動の連携を確認しました。 〈新潟市消防局　阿尻豊司 消防司令長〉 「震災想定は、想定を上げてもその上、その上をいく災害が起きている。現状の資機材の性能をフルで発揮できるように日ごろから訓練し、事業者と連携を深めながら正しくじん速に対応できるように訓練を重ねたい」 この訓練は17日も行われる予定です。