【バンフ（カナダ西部）＝山本貴徳、酒井圭吾】先進７か国首脳会議（Ｇ７サミット）に出席する各国首脳は１５日、会場となるカナダ西部カナナスキスに続々と到着した。 １６日から始まる議論では、イスラエルとイランの交戦を受け、中東情勢が焦点の一つとなる見通しだ。 イスラエルとイランの攻撃の応酬は激しさを増している。Ｇ７各国は、事態のさらなる悪化を避けるため、双方に自制を呼びかける方針だ。イスラエルを擁護する米国も、今回は交渉による打開を重視している。 メルツ独首相は１５日、カナダへの出発前に記者団に対し、イランの核兵器保有には反対する姿勢を示しつつ、「紛争の拡大を阻止しなければならない」と語った。マクロン仏大統領も記者団に「米国は全ての国を交渉のテーブルに戻す力を持っている」と語り、米国による仲裁に期待を示した。議長国カナダのカーニー首相や英国のスターマー首相は１５日に現地入りした。 イスラエルとイランの対立に周辺国が巻き込まれた場合は、中東地域全体が不安定化するリスクもある。情勢が刻々と変化する中で、欧州連合（ＥＵ）高官は「首脳レベルで徹底した意見交換が行われる」ことに価値があると説明する。今回のサミットでは首脳宣言の採択は見送られる方向だが、中東情勢に関する共同声明の発表に向け水面下で調整が行われているという。 交戦の激化によって、原油の供給への懸念が広がり、国際市場では原油価格が急騰している。今回のサミットでは、ウクライナを侵略するロシアへの追加制裁の一環として、原油価格の上限引き下げについても議題になる見通しだったが、議論の行方に影響が及ぶ可能性がある。
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