駅から「徒歩7分」以内、人口が増えているエリア、広すぎない専有面積…「資産価値が下がりにくいマンション」を見抜くポイント【不動産コンサルタントが解説】

高騰が続いているマンション価格。とはいえ、選び方を間違えれば、将来的に大きく価格が下がる恐れもある。不動産コンサルタントで、著書に『中古マンション これからの買い方・売り方』がある後藤一仁氏が、エリア・立地から、駅徒歩分数、専有面積まで、「資産価値が落ちにくいマンション」を見抜くポイントを教える。 価格が下がりにくいマンションを選ぶ どのようなマンションだったら、購入後、価格が落ちにくいのか? 具体的に見ていきましょう。 ・「人気沿線」「人気駅」にある、「駅力」「街力」がある場所に建つ 「駅力」とは、さまざまな角度から見た「駅の総合的な力」のことです。 乗降客数や、駅そのものの機能などの基本的な力に加えて、駅ナカや駅ビル、駅周辺の各施設の充実度や生活利便性、駅前商店街の活気、人気度、文化度、人口増加率なども含みます。 乗り入れている路線数(複数路線が利用できるか?)や運行本数に加え、特急・急行・快速・準急などが停車するのか? 乗り換えはしやすいか、都心まで行きやすいかなど、目的地へのアクセスのしやすさが駅力に関係します。 また、改札階とホーム階が異なる場合、階段以外にエスカレーターはあるか? バリアフリー化(エレベーターやスロープ、転落防止ホームドア、幅広自動改札機、バリアフリートイレなどの設置)はされているかなども重要です。 たとえば駅ビルや駅前に23時〜24時くらいまで営業しているスーパーマーケットや、通勤前に子どもを預けて帰りに連れて帰れる保育施設があるなどは、ビジネスパーソンや共働き夫婦などにとって利便性がよく評価が上がるポイントです。 たとえば東京近郊であれば、日本を代表するビジネス中心地である「大丸有」といわれる大手町・丸ノ内・有楽町エリアや、世界の乗降者数の1位から3位までを独占する「3大副都心」の新宿・渋谷・池袋などの都心大ターミナル駅に1本で行ける(直結する)「人気沿線」「人気駅」にあるマンション。 仮に沿線そのものには人気・知名度がなくても、そのなかで駅力がある人気駅である場合は価格が維持されやすいです。 また、同じような価格・駅距離・グレードの2つの物件でどちらを購入するかを迷った場合の資産性視点からの考え方としては、他の都道府県の人や外国人でも知っているような「知名度のある駅」のほうが有利だといえます。 「人気がある市区内」や「複数路線が通っている駅」も同じく有利です。 また、鉄道の延伸や相互直通運転開始などで、交通利便性が向上して駅力が大幅にアップした街なども資産価値が維持・上昇するケースがあります。 駅から近いマンションがより有利になる ・「駅から徒歩7分以内」のマンション 最寄駅からマンションまでの徒歩分数は、今後も資産性が維持されやすいという視点からは、なるべく「7分以内」が望ましいです。 これから日本の人口が加速度的に減少していき、高齢化率がますます上がり、立地適正化計画についての具体的取組みを行っている都市も増え、街がどんどんコンパクト化していく以上、「立地」が今よりもっと重要になっていきます。資産価値を保つには「駅からの距離(駅から徒歩何分か)」という条件はとても大切なポイントです。 スーモやアットホームなどの不動産情報ポータルサイトで物件を調べるときには、「価格」や「面積」などと一緒に「駅徒歩分数(駅から徒歩何分か)」を早い段階で入力し、検索します。 最近では、駅徒歩分数「1分以内」「3分以内」「5分以内」「7分以内」「10分以内」「15分以内」「20分以内」「指定なし」「バス含む」などと細かく設定されており、「徒歩10分以内」でも結構遠く感じてしまわれがちです。 これからは「駅から近いマンション」はますます有利性を増します。徒歩7分(560m)以内に位置するマンションは数そのものが限られているため、とくに価格維持に力を発揮します。 5分(400m)以内や3分(240m)以内など駅から近くなればなるほど、資産価値は保たれやすくなり、たとえば駅直結のマンションなどは、希少性もあり、資産性はかなり保たれやすいといえるでしょう。 また、駅力が強く、街力が優れている、知名度・ブランド力がある人気エリアであるなど、駅からの距離以外の条件が優れている場合、必ずしも「徒歩7分」でなくても、徒歩8分や9分など、少しずつ条件をゆるくしてもよいと思います。 ただし、他の条件がかなりよく駅からの距離を妥協する場合でも、今後を考えるとマンションの場合は10分以内を限度にしたほうがよいと思います。 徒歩10分なら検索で「10分以内」で表示されますが、徒歩11分だと「15分以内」で検索しなければ表示されないので、「10分まで」で探している人に気づいてもらえない可能性があり、資産性に結構大きな違いが出ます。 一方、駅力が弱い小さな駅は、駅から徒歩5分どころか3分以内でも厳しいことがあります。 どんなエリアが価格が下がりにくいのか ・そのエリアの「ランドマーク」的なマンション そのエリアの住民なら誰もが知っていて「いつかはあのマンションに住みたい!」と多くの人が憧れるような、その地域の「ランドマーク」的な魅力のあるマンションがあります。 そのようなマンションは「売り物件が出たら教えてほしい」と待っている人もつねにいることも多く、資産価値が維持されやすいです。購入するときに少し価格が高くても、売るときも高く売れる傾向があります。 ・大規模な再開発エリアに建つマンション 駅周辺などに規模の大きい再開発があると、街の価値が上がり、価格が下がりにくい傾向があります。 ・人口が増えていて、若年層の流入があるエリアに建つマンション 人口が増えているエリア、つねに若年層の流入があるエリアは、街の雰囲気が若々しく保たれやすく街力も維持されやすいことから資産価値も下がりにくいです。 人口は自治体のウェブサイトや不動産情報ライブラリ、その他のサイトなどで調べてみましょう(街によっては未公表の場合もあります)。 ・眺望がいいマンション、前面に眺望を遮る建物がなく(今後も建つ可能性は低く)、眺望が開けた場所に立地するマンション バルコニーの向こう側が地形的に下がっていて眺望が開けている場合は希少価値があります。とくに、南側が下がっている(南傾斜)場合の希少価値はいうまでもありません。 また、たとえば、都市部であるのにバルコニーに面したリビングから有名な山が望める、海が見える(水平線から朝日が上がったりや夕日が沈んでいくのが見える)、有名なタワーが見えて夜景がきれいなどは価値があります。 ただし、注意点は「今のその眺望がこれからも見られるか」です。前面に眺望を遮る建物が今後建つ可能性がないか、もし建つとしたらどのくらいの高さ・規模の建物が建つ可能性があるのか、すでに建築確認申請が入っていないかなどを確認する必要があります。 自分が依頼しているエージェントに確認してもらうのがいいですが、役所の建築審査課などで自分でも確認できます。 ・「陽当たり」「風通し」がいいマンション たとえば、築年数が経過しフルリノベーションなどで、間取り、設備をその時代に合わせた最新のものに変えたとしても「陽当たり」「風通し」は、前述の「眺望」と並んで、変えられない要素です。 物件を購入する際に何を重視したかなどのアンケート調査などでも、「陽当たり」は立地、価格、間取り・広さなどに続き、上位に位置することが多いです。 その広さが本当に必要なのかよく考える ・あまり広すぎない専有面積のマンション マンション購入を希望している人のなかには、頭の中でなんとなく最低でも専有面積70〜80m2台の広さのものを買うことが当たり前と思っている人がいます。 子どもが生まれたばかりの夫婦や、まだ子どもがいない夫婦でも将来子どもができたときのこと、そして、男の子と女の子ができてそれぞれに個室が必要となったときのことなどを想像して、やはり最低でも70m2以上の3LDKは必要だ、いや、夫婦それぞれの個室が必要な場合や、どちらかの両親が泊まりに来たときのことなども考えると最低でも4LDK以上、できれば80m2以上の面積は必要だ(欲をいえばそれ以上、広ければ広いほどよい)と思い込んでいることが多いです。 一方、国勢調査の世帯の家族類型によれば、2020年時点で、「夫婦と子どもから成る世帯(いわゆるファミリー世帯)」は1394.9万世帯に対して、「一人暮らし世帯」が2115.1万世帯、「夫婦のみ世帯」が1115.9万世帯で、すでに「一人暮らし世帯」と「夫婦のみ世帯」の合計数が「ファミリー世帯」数の2.3倍以上になっていて、「一人暮らし世帯」のみでも「ファミリー世帯」数を超えています。 ちなみに東京都の例で見てみると、2020年の国勢調査結果に基づく一般世帯数に占める家族類型別世帯数の割合は、「単独世帯」が50.2%と過半数に達していて、次いで「夫婦と子ども」の世帯が22.0%、「夫婦のみの世帯」は16.4%となっています(東京都「東京都の統計——予測結果の概要」より)。 同調査によれば、東京都では、子どものいない世帯(単身世帯と夫婦のみの世帯)が、66.6%と、3分の2を占めていて「子どもがいる世帯」は3分の1とのことです。 夫婦と子どもからなる、いわゆるファミリー世帯は75m2や80m2以上を必要とするかもしれません。 しかし今後ますます割合が増えると予想されている「一人暮らし世帯」と「夫婦のみ世帯」は必ずしもその広さを必要としないであろうことから、これからの時代、本当に75m2や80m2以上の面積のマンションを買ってしまってよいのか? ベストな選択であるのかをしっかりと考える必要があります。 ただし、子育てファミリー層が多いエリアで購入しようとしている場合、75m2や80m2以上の面積の物件が人気で、そのくらいの面積の物件でないと需要がない(売りにくい)地域の場合はこの限りではなく、そのエリアに適した広さの住戸を購入したほうが資産性が保たれやすいこともあります。 つづく記事〈「最上階」が強力、人気公立小学校の学区内…まだある「資産価値が下がりにくいマンション」を見抜くポイント【不動産コンサルタントが解説】〉でも、まだあるマンションの資産価値を見極める具体的なポイントの数々を解説していきます。 【つづきを読む】「最上階」が強力、人気公立小学校の学区内…まだある「資産価値が下がりにくいマンション」を見抜くポイント【不動産コンサルタントが解説】

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