新居探しで気づいた…妻・バービーとの「住まいに対する感覚の違い」

フォーリンラブのバービーさんと2021年4月に結婚し、2024年8月に第一子が誕生した夫・つーたんさんの連載「#nofilter」(毎月14日公開予定)。今回は、子育てをしていくなかで、生活環境における優先順位が変わったこともあり、最近引っ越しを考えていて、新居探しをしているというつーたんさんが、その過程で気づいたことや気持ちの変化などを率直に綴ります。 娘に“地元”をつくってあげたい 最近、家を探している。通勤中、ランチタイム、娘を寝かしつけたあとなど、ちょっとした隙間時間に気づけばスマホを手に取り、不動産情報サイトをパトロールしている。 そのせいか、僕のスマホはすっかり家探し中の人仕様になってしまった。SNSのタイムラインは一面、物件広告のオンパレード。かつてあれだけ僕に猛アピールしていたメンズ脱毛やマウスピース矯正の広告たちは、どこへ行ってしまったのだろう。彼らが恋しい……なんてことは、ない。 「○○までのアクセスが少し不便かな」「このルーフバルコニーなら神ちゃん(愛犬)がのびのび過ごせそう」「娘と一緒に歩くなら、この道は安全そう?」そんなふうに、家族それぞれの姿を思い浮かべながら、3人と1匹のまだ見ぬ暮らしを想像しながら新居を探している。数年前、同じ物件が今よりも3割以上安く出ていたことにふと気づいてしまうこともある。高騰する不動産価格を痛感し、スマホを見つめる目がつい細くなる。 我が家には、まもなく10ヵ月になる娘がいる。最近は毎日の成長が著しく、つかまり立ちで高速移動したり、愛犬の神とおもちゃの取り合いでも互角にやり合うようになった。日々成長を重ねている、その小さな背中を見ながら、改めてこんなことを思う。 この子に、“地元”をつくってあげたい。 その気持ちは、妻の地元・北海道栗山町に帰るたびに強くなる。僕の地元・埼玉ではなかなか芽生えない感情を、なぜか妻の地元では感じるのだ。生後9ヵ月にして、すでに4回も北海道に飛んでいる娘も、すっかり北海道の空気にも慣れてきたみたいだ。 妻の地元に行くと、町に顔見知りの人がとても多い。もちろん仕事柄、妻の顔が広いということもあると思うが、それでも多く感じる。 妻が栗山町で生活をしていた当時からの親類や友達の多くが現在も栗山町で生活をしているようだ。スーパーでもスナックでも誰かしらに遭遇する。その様子を隣で見ていると、「地元」のあたたかさを感じさせられる。地元って、ただ地名のことを言うんじゃないんだなと思わされる。 家探しの理由を必ず聞かれるけれど… 一方、僕の地元は埼玉県の田舎町。地元の駅に降り立つと深呼吸したくなるような懐かしさはあるものの、都内まで電車でもそこまで苦労なく出られる距離だからなのか、妻の実家で感じたような地元感が湧いてこない。連絡をとる地元の友達は各地に散らばっているし、帰ってもコミュニティが存在していない。実家に帰ることだけが帰省の目的になってしまうのだ。 だから、妻の地元に帰るたびに、娘に地元をつくるきっかけを与えてあげたいと思うのかもしれない。「久しぶり!」「小さい頃から知ってるのよ」と笑いかけられる、あの光景。娘にも、あんな風に「ただいま」と言える場所を持たせてあげたい。 「この度は、どうして家を探すことにしたんですか?」 不動産情報サイトから気になる物件の問い合わせをすると、瞬時に不動産会社の方から電話がかかってきた。そして、さまざまヒアリングされる中で、家探しの理由を必ず聞かれるのだが、明確な理由はないのでいつも回答に困ってしまう。 今の住まいに不満はない。セキュリティもしっかりしているし、都心部へのアクセスも良く、暮らしやすさでいえば申し分ない。3人と1匹には贅沢なくらいだ。 一方で、家賃はそれなりにするし、年齢的にも「そろそろ持ち家を考えてもいいのでは」という気持ちが芽生えてきてもいる。僕は現在35歳。もし、35年ローンを組んだら完済時には70歳だ。そんなことを考えて少し焦り始めたことも、家探しをしている理由のひとつなのかもしれない。 住まいに求める優先順位が変わってきた そういえば家探しを始めてから、ひとつ気付いたことがある。 僕はもともと、駅近至上主義だった。実家は田舎だけど、駅まで徒歩1分。夏場に窓を開けていると、電車の到着を告げるアナウンスが家まで聞こえてくる。その声を聞いてから急いで走れば、なんとか間に合う距離だった。そのため、初めての一人暮らしも、駅前のマンションにこだわって選んでいた。 駅に近い=安心、便利、正解。 長らく、そう信じて疑わなかった。 でもつい最近は、その考えも少し変わってきた。娘と手をつないで歩く未来を想像すると、「近さ」よりも「安全な道のり」が大切に思えてくる。神ちゃんにとっても、交通量の多い通りより、草の匂いがする静かな小道の方が似合う気がする。そんなふうに、自分の中で“何を大事にしたいか”の優先順位が、知らぬ間に少しずつ入れ替わっていたことに気づかされた。 もうひとつ、僕は目先のことしか見えてないんだなと考えさせられた。 それは、妻との“家に対する感覚の違い”により、自覚したのだ。 「私は、“終の棲家”って決めなくてもいいと思ってるよ。ライフステージに合わせて、住まいも変わっていくのが自然じゃない?」 彼女のその言葉に、最初は少し戸惑った。僕の中では、家を買う=定住=終の棲家というイメージが根深くあったからだ。誰かにそう教わったわけではないけれど、なんとなくそう思っていた。 でも考えてみれば、働き方も、子どもの成長も、自分たちの価値観だってゆっくりと形を変えていく。だったら、住む家そのものも変わっていっていいはずだ。むしろ、変わっていける方が健やかで自然なのかもしれない。妻のこうした柔らかい思考は、いつも僕の堅い考え方を崩してくれるので助かっている。 家を買うことは、“どこに住むか”を決めることじゃなくて、“これから、どんなふうに暮らしたいか”を考える行為なんだと改めて気づかされた。そう考えると、家探しも少し楽しくなってくる。マンション、戸建て、売地にこだわらず幅広く探しているため、毎日多くの物件情報を見ては僕らの将来を想像している。 気になる物件と出会い、内見へ そんな中、僕にとって運命を感じた物件に出会った。不動産会社からもらった情報の中に、ひっそりと紛れていた一軒。元々メインで探していたエリアからは離れているし、周辺環境がものすごく便利というわけでもない。 その物件は土地だったのだが、いわゆるきれいな整形地とは言いがたい、少しいびつな輪郭をしていた。それでも、夫婦そろって気になったのでなんとなく見学に行ってみたのだ。 実際に足を運んでみると、そこにはまだ解体前の古屋が残っていた。解体を待つその家には、どこか懐かしさと気品が同居していて、縁側から差し込む光や、たくさんの愛情を受けてきたんだろうなと感じさせる庭木にぬくもりを感じた。なぜか心が動いたのだ。 妻は、ぽつりと「ここ、いいかもね」とつぶやいた。それは、条件ではなく、感覚の一致だった。これまでいくつか内見してきた中で、夫婦ふたりの気持ちが初めて重なった、記念すべき物件だった。 その後、少し考えたのちに申し込んだが、タッチの差で先に申し込みが入ってしまったようで、今回はご縁がなかった。それ以来、僕の家選びが少し変わったように思う。 ・娘がのびのび遊べる、陽の光がたっぷり入るリビング ・家族の会話が自然と生まれるカウンターキッチン(できればアイランド) ・愛犬の神が日向でウトウトできる窓辺のスペース 図面やスペックでは把握しきれない「居心地の良さ」こそ、僕たちにとっての優先事項になってきた。これを書いている今も、まだ「ここだ」と思える家には出会えていない。けれど、不思議と心は落ち着いている。 妻曰く、占いによると今年の9月以降に良い物件に出会うらしい。もちろん占いだから出会わないかもしれない。でも出会うかも、と思うだけでちょっとワクワクする。 家を探すつもりが、いつの間にか「自分たちらしい暮らしって、どんなだろう」と考える時間になっていた。駅からの距離、築年数、価格帯。どれも大切だけど、最後の一押しは「なんか、いいね」の一言になりそうだ。 だからこそ今は、娘の成長に思いを馳せ、神ちゃんとの穏やかな時間を想像し、僕たちらしい暮らしの輪郭を、少しずつ描いていく。見つけたいのは、ただの「家」じゃなくて、僕らの「これからを照らす場所」なのだと思う。 「イクメンだね」バービーの夫がこの言葉にモヤモヤして考えたこと

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